太助と魔王

温水康弘

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第五章 内乱のエルフ国

その十二 真実

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 ダークエルフの集落で囚われていたフェミー王女の恋人であるブログさん。
 とりあえず太助とファブリーズはブログさんの足かせを外して牢獄から出して自分達の簡易ハウス内にある風呂に入れて食事を与える事に。

「すみません、食事はやはり野菜とかのほうが?」
「いや、私としては肉が食べたい。何しろフェミーに肉の味を教えられたからな」
「それなら美味しい牛肉がありますからステーキはどうですか?」
「おぉ、有難い!久々の肉だ。実に楽しみだ」

 早速ファフリーズが台所で牛肉ステーキの準備を始めたわ。
 そういえばファフリーズはアンナには勝てないけど料理が上手いのよね。
 まぁ……魔王国で売れ残って独り身だったから一人で何でも家の事はやってた筈だし。

「はい!ファフリーズ特製の牛肉ステーキですわ。ライスとスープもありますからどうぞ!」

 早速、太助とブログさんはそのファフリーズが作った料理を食べたわ。

「!?これは……素晴らしい味だ」
「うわぁ、これはアンナ姉ちゃんに負けないぐらい美味しいよ」
「お褒めに上がり光栄ですわ。こででどうして私は売れ残ってるのかしら?」

 これはファフリーズの料理は太助もブログさんも気に入ったみたいね。
 それから太助とファブリーズは簡易ハウスのリビングで……部六さんから色々と聞いてみる事に。

「さて、どこから話すべきかな」
「まずは……どうしてアカウント将軍、ブログさんの父親があのような事を」
「父上か……父上はあのルシフェル王に騙されてるのだ」
「騙されてる?」

 ブログさんの話はこうだった。
 今回の反乱は全てルシフェル王による諸外国侵略計画が発端である事に。
 前々からルシフェル王はエルフ国の地方開発には蔑ろにしており同じ国に住まうダークエルフとホビット族を迫害していたそうだ。
 アカウント将軍は元々前の国王に仕えていたのだが今のルシフェル王になってから追放され今に至るらしい。

「そして……その前の国王がフェミーの実の母親だ」
「!?なんだって」
「フェミーは実の母親が早くに亡くなってから今のルシフェル王の養子になった」
「…………」
「私とフェミーはフェミーの実母が健在な頃に出会い互いに惹かれあい将来を誓い合った。だがフェミーの実母が亡くなってからは」
「ルシフェル王により引き離された訳ですか」
「うむ。dが、それでもフェミーとは秘密裡に会っていたんだ。しかしルシフェル王にはダークエルフに対して強硬手段に出たのだ」

 それからブログさんの話は続く。

「ある時、どうゆう風の吹き回しかルシフェル王が自らダークエルフの集落へ姿を現したのだ」
「それで……ルシフェル王は何故に」
「ルシフェル王は……あろう事かダークエルフの集落にいた父上を含むみんなを魅了の魔法で……自分の操り人形にしたのだ!」

 なんですって!
 もし……それが本当ならアカウント将軍による反乱はルシフェル王による自作自演って事になるじゃないの。

「幸い私はその時一人で狩りに出ていたので魅了の魔法にかかるのは免れましたが……結果として洗脳された父上達に捕えられた訳です」

 そうか。
 これは大変ね。

「ファフリーズさん、ブログさん」
「太助殿」
「どうやら例の伝説の巨神を蘇らせたいのは他ならぬルシフェル王!そしてその目的は魔王国やドワーフ国への侵略」
「あのクソババァ!(ボキッボキッ)絶対にギッタギタにしてあげますわ!」

 あのルシフェル王とんだ食わせ物だったみたいね。
 しかも太助の推測にファフリーズが殺意の闘気を放出させちゃってるわ!

「キレた!こうしてはいられない。早くヒカルちゃんと合流して全てを伝えないと」
「ですが……このダークエルフの集落がどこにあるのかわからない上にリンクミラーも洗脳されていたダークエルフに壊されてるし」

 これで思わぬ問題発生。
 リンクミラーが破壊されてるから連絡が取れないしここがどこなのか判らないからテレポートで移動する事も叶わない。
 折角真相を知ったのにこれではどうにもならない。

「太助殿の仲間が何処にいるか判ればいいんだな」
「ブログさん、何かいい手があるのですか」
「うむ、ここはダークエルフの集落だ。首都までなら私が道案内できよう」
「助かります!では早速」
「いや、ここはホビット族の協力を仰ごうと思う。それにここにいる同胞達も力になると思うぞ」
「それでは僕達は首都に行く前にホビット族の集落へ向かいます。テレポートで行きますから座標を教えてください」
「わかった。では私は精鋭を集めて首都へ攻め込む準備をしよう」
「そうですね。大切な人と肉親を助けないといけませんからねブログさん」
「あの女にフェミーを利用させはせん。ただ……ホビット族はテレパシーが使えますから嘘は厳禁ですのでご注意を」

 さて、太助とファブリーズがやるべき事は決まったみたいね。
 ホビット族の集落……って今、私達がいる場所じゃないの!
 となると善は急げよ。
 太助とファブリーズは簡易ハウスを無限バックへ収納して、いざホビット族の集落へ。
 外にはダークエルフの皆様がそれぞれ戦闘準備してたみたいだけど?

「ひぃ~っ!化物魔族だ」
「お、お許しを」
「殺される!また殺される!」
「おっお助け~っ」

 あちゃ~っ。
 ダークエルフの皆様、一度ファフリーズによって息の根止められてるから完全にその恐怖が蘇ったみたい。
 確か皆様は魅了の魔法で洗脳されてたけど流石に息の根止められた時の記憶は残っているようで。

「はは……いざ魅了が解けて正気に戻れば恐怖のみが残るわけか」
「助け様!いくらなんでもあんまりですわ」
「案外これだから行き遅れになるかもね。あまりにも怖いから」
「悪かったですね!どうせ私は凶暴な女ですわ」
「なんなら僕がもらってあげようか?」
「えっ!」

 それから太助は暫く沈黙。
 そしてファフリーズが先程の発言に質問の嵐。

 さて……これは偶然か。
 太助とファブリーズはブログさんを引き連れてホビット族の集落へ!
 
「ではファフリーズさん、ブログさん、そろそろ行きますよ」
「準備はよろしくてよ太助様」
「宜しく頼む」

 では太助は静かに魔法の詠唱を始めたわ。
 三人の足元に魔法陣が展開……そしてそれが輝くわ。
 そして……詠唱をして太助は自分が唯一使える魔法を起動するわ!




 テレポート



 すると三人は見送りに来ていたダークエルフの皆様の前で光となって消えていったわ。
 さて、一方のホビット族の集落では?

「畜生~っ!これじゃあ首都に直接転移できないじゃないの」
「明らかに時間との勝負だというのに……またあの面倒な森林抜けないといけないの?」

 魔王ヒカル・グレーズである私とミルクはホビット族の集落で立ち往生。
 急いでエルフ国の首都へ行ってフェミーを助けないといけないのにあのルシフェル王の奴、首都に何等かの結界をしたらしくテレオートで行けやしない。
 正に八方ふさがりだわ。

「こうなったらクロが戻り次第空から行こうかしら」
「飛行ならやめときなさいな。この辺の空は凶暴なドラゴンが常時徘徊してるから飛んで行くのは地上よりリスクが高いわよ」
「あ~っ、こうゆう時……太助ならどうするの?」

 そんな時だった。
 集落の空き地に少し大きな魔法陣が。
 そして、その魔法陣kら……三人の人影が。
 その三人の人影。
 内、二人には私には見覚えがあった!




「ただいまヒカルちゃん」 
「た……太助、それにファフリーズも」






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