太助と魔王

温水康弘

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第五章 内乱のエルフ国

その十 ホビット族の集落にて

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「あ~っ、何なのこのとんでもない森林は!これじゃあジャングルじゃないの」
「まぁまぁ、これでも難易度高いテーマパークだと思えば気が楽よミルク」
「何がテーマパークじゃ!完全に危険地帯じゃないの!」

 さて、私とミルクは北の森林奥地にあるというホビット族の集落に向かっている。
 目的は現在そのホビット族の集落で保護されているアンナとクロの保護と合流だ。
 dが、それにはこの面倒な森林を再び通り抜けないといけない。
 私は前に緑の神殿に行った時に経験してるが相も変わらず森林には凶悪な魔物がわんさかいるわ、吸血植物に底なし沼と天然の要塞だ。

「もう嫌!金貨い釣られて着いてきてみれば下手な洗浄よりも質が悪いわよ」
「まぁまぁ、もうすぐ緑の神殿があった場所に到着するわ。今夜はそこでキャンプね」

 そうこうしている内に私とミルクは緑の神殿のある場所へたどり着いた。
 だけど……そこで私達が見たのは実に信じがたい光景であった。

「し、神殿が跡形もなくなくなっているわ」
「ヒカル……大きな穴があるだけじゃないの。本当にここに建物があったの?」

 確かに前に来た時には神殿はあった。
 しかし、今はただ神殿は存在しておらず地面に大きなクレーターがあるのみであった。
 あのホーンって奴……あの時余程強力な魔法を行使したみたいね。
 そうじゃないと、ここまでの惨状にはならないわ。

「もしかして……太助とファブリーズはこの大爆発に巻き込まれて」
「何バカな事言ってるの!現にヒカルが生きてるしアンナとクロの無事も確認されている。きっとあの二人も無事よ」

 本当にそうだといいけど。
 とにかく、今日はもう日が沈む。
 今夜はここでキャンプだ。
 私は簡易ハウスを展開して夕食の準備だ。
 今夜はアンナがいないので私が作る事に。
 ちなみに今夜の夕食は鶏肉入りの野菜炒めに白いご飯だ。
 ミルクが一緒なだけありがたいが、やはりいつもと比べると寂しい夕食だ。

「そういえばライト伯爵とはどうなの?」
「うんうん!私とライトきゅんはいつもラブラブよ💛流石に今回はドワーフ国で留守番だけどね」
「相変わらずね」
「処でヒカルの所も宰相くんと結婚してるのよね。しかもアンナさんとも結婚してるそうじゃないの」
「まぁ、三人仲良くやってるわ」
「なら……いっそもう一人増えても問題ないんじゃないの?」
「もう一人?」
「ほら、約一名……一緒に行動してるのに仲間外れ扱い受けてる人」

 仲間外れの女性……ってまさか。

「もしかしてファフリーズの事?」
「そう!彼女魔族なのにお嫁に行き遅れてるそうじゃないの。いっそあの宰相くんが引き取ったらどうかしら?」
「はは……太助がどう思ってるかな?」
「案外お似合いかもよ。あの行き遅が宰相くんから球根されたら一発よ」
「はぁ、太助は私とアンナで手一杯だと思うけどねぇ」
「いや!私が見た限りあの宰相くんは懐の大きい男の子だと思ずわよ。最終的に嫁さん二桁いきそうだけど」
「ふ、二桁ぁ?」

 流石に冗談じゃないわよ!
 太助が二桁の嫁さんゲットだなんてあり得ないわよ。
 せいぜい私が認めるのは後数人ぐらいよ。
 まぁ、三人目としてファフリーズなら考えてもいいけどね。
 暴走しがちだけど優秀だし。

 それから次の日。
 キャンプを片付けて、いざホビット族の集落へ出発しようと思った時であった。

「ミルク……気付いてる?」
「一人……いや三人ね」

 どうやら森林の向こう側から怪しい気配が三つ!
 私達はすぐに戦闘態勢を取る。

「来るわよ!」
「さっさと来なさいな」

 森林から見tぅつの人影が飛び出した!
 しかsもいずれも小さい!

「!?ちょっと彼等って」
「間違いないわ……こいつ等はホビットよ」

 私たちの前に現れたのは小さな体格をした一見して可愛い小人。
 間違いない。
 彼等はホビットだ。
 でも……そのホビット達はそれぞれナイフと弓で私達を威嚇しているわ。

「ふん!やる気なら……この大斧でわからせてあげるわ」
「待って!その前に私が話してみる」

 確かに彼等がアンナとクロを保護してるなら不毛な争いは避けるべきだ。
 私は警戒してるホビット達に話しかける。

「私はコショウ問屋のカル。実は……」

 私はホビットに私達の事情を話したわ。
 ちなみに私が魔王だと隠しているのはホビットに警戒させない為。

「という訳なの。私達は貴方達が保護した仲間を迎えに来たの」
「…………」
「だから、私達を貴方達の住処へ案内してくれない?」

 それからホビット達は何やらヒソヒソと話していたわ。
 そしてホビットの一人が私達に反しかけてきたわ。

「あの二人の仲間ですか。では……一緒に来てください」

 良かった。
 どうやら話が通じたみたい。
 という訳で私とミルクは三人のホビットの案内で一路ホビット族の集落へ。
 それから二時間程……私達はホビット族の集落へ到着した。

「ここか。それにしても随分寂しい街並みね」
「今時竪穴式住居だなんていつの時代の環境なの。本当にこれは集落が相応しいわね」

 確かにこれは町や村と呼ぶには環境や施設さ寂しすぎる。
 ここのホビットってよくもこのような環境で暮らせるものね。

「――――!?ヒカル様、それみミルク様まで」
「クロ!よかった……本当に無事だったのね」

 ここでクロが元気な姿で私たちも前へ現れた。
 良かった……本当に無事だったんだ。

「――――申し訳ありません。私とアンナ殿はなんとかここに飛ばされてホビットに保護されましたが荷物が失われてしまいまして」
「それで魔境のような森林を抜けられずにいたのね」
「――――幸い私のリンクミラーだけは失わずに済みましたのでヒカル様と連絡が取れた訳です」
「でも本当に無事でよかったわ。それでアンナは何処に?」

 クロの話だとアンナはホビットに料理を教えている最中だという。
 では早速、私達はその料理を教えているという場所へ。
 
「という訳で包丁は……!?ひ、ヒカル」
「アンナ!良かった」

 私はアンナの姿を見た直後、アンナに抱き着き互いの無事を確認した。
 本当に無事でよかった。
 これで残るは太助とファブリーズだけね。
 それから暫くして私達はホビット族の長と面会する事に。

「そうですか。そこの二人を迎えに。遠く魔王国から大変でしたな」
「初めまして長老様、私は魔王国でコショウ問屋の娘であるヒカルと申す者です」
「私はドワーフ国で武具承認をしているミルクといいます」

 私とミルクは身分を隠してホビット族の長老に自己紹介。
 しかし、長老派そんな私達を見てこう告げる。

「嘘は感心しませんな。魔王国の魔法様にドワーフ国で国王様」
「えっ!」
「はっはっはっ、ホビット族は心を読む能力があるのじゃ。故に我々に嘘は通用しませんぞ」
「はは……」
「じゃが、同時に貴方達が決して悪人ではない事も理解しております。どうも仲間を迎えに来たのも真実みたいですしな」

 それから私達はホビット族の集落の成り立ちを長老から聞いた。
 昔はホビットもエルフ国の人々とも仲良くやっていたとか。
 しかし、今の国王になってからというものホビットは迫害されて、この魔境の奥地へ追いやられたという。
 待てよ……今ノック王ってまさか!

「まさか貴方達は今のエルフ国国王であるルシフェル王にこんな場所まで追いやられたの!」
「さよう、故に信用できる魔王様とドワーフ国国王様に忠告します。あのルシフェル王を信用してはなりません」
「となると……私の友達も信用できないとでも?」
「いえ、直接会った訳ではありませんが魔王様の友人は魔王様の心を読んだ限り信用できそうです」
「それはどうも」
「ですが、あのエルフ国の国王の事!恐らくその友人のみが危険に晒される恐れがあります」

 うわぁ、あのルシフェル王ってとんだ食わせ物ね。
 いくら心が読めるからって、こんなとんでもない魔境みたいな集落に追い込むなんて呆れた王様ね。
 私だったら心を読める特技を利用して色々と使える役職につけるのに。

「こりゃ……太助とファブリーズの事が気になるけどエルフ国国王が信用できないと判明した以上フェミーを首都に置いとけないわ」
「となると一旦首都に戻ってフェミーを連れて、この集落に匿うか」
「その法がいいわねアンナ。もうこの集落の座標は記憶済みだからテレポートでいつでも来られるわ」

 太助とファブリーズが気になるけど、まずはフェミーを信用できないルシフェル王から引き離すのが先決ね。
 その上で今までの情報を整理して今後の事を考えよう。
 まずクロにはアンナの甲冑の修理をさせるべく一人魔王国へテレポートして転送させた。
 とにかくアンナの甲冑を修理しないとアンナはまともに戦えない。
 ついでにクロには魔王国にいる幹部へエルフ国への緊急警戒態勢を取るように伝令もお願いした。
 場合によっては我が国の正規軍に動いてもらう子tになると思う。

「――――では私はひとまず魔王国へ戻ります」
「頼むわよクロ。アンナの甲冑と現状報告をお願いね」

 私は地面に魔法陣を展開してクロを魔王国へ転送する。





 テレポート





 クロは無事に魔王国へ転送されたみたいだ。
 クロには甲冑の修理が完了次第再びこの集落へ転送してもらう予定だ。
 ちなみにアンナは甲冑が無いのと暫くホビット質に料理を教えたいとの事で暫く集落でお留守番。
 そして私とミルクは危険が迫るフェミーを迎えに行くべくエルフ国首都へテレオートする事に。

「じゃあ行ってくるねアンナ」
「気をつけてなヒカル、ミルク様」
「とりあえずリンクミラーとか必要な物はおいていくから何かあったら使ってね」

 当面このホビット族の集落が私達のベースになる。 
 こりゃ思ったより……この内乱には裏がある。
 とにかく、まずはフェミーの身柄を確保だ。
 私とミルクは魔法陣の中央に立ち詠唱を始める。
 



 テレオート





 はい、これで私達はエルフ国の首都へ……の筈がどうゆう訳か何かの力に弾き飛ばされた!
 結果、私とミルクはホビット族の集落へ逆戻り!!

「ヒカル、ミルク様っ!」
「あ~っ、これってどうゆう事なのよヒカル!」
「くそっ!やってくれたな。どうやらエルフ国の首都に何かの決壊が張られていて……そのせいで転送が失敗したみたい」

 なんてこった!
 まんまとしてやられた。
 これではエルフ国の首都に行くにはあの魔境を抜けないといけないじゃないの。
 この間にフェミーが危ないわ。
 今から魔境を抜けたら手遅れになる恐れがあるわ。
 本当に万事休すよ!




「太助……こうゆう時貴方ならどうするの?助けて!」







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