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第五章 内乱のエルフ国
その九 王との謁見
しおりを挟むヒカル!ヒカル!!
誰かが私を呼ぶ声がする。
私はその声に応じるように静かに瞳を開く。
「良かった!気が付いたわ」
「あれ……私は?」
目を覚ました私の前にはフェミーがいた。
そういえば……あの緑の神殿はどうなったの!
太助は?アンナは?ファフリーズは?クロは?
皆どうしたの?
「落ち着いてヒカル!ここはエルフ国の首都にあるお城の中よ」
「えっ!」
フェミーは……あの時何が起こったのかを話してくれた。
ホーンが放った魔法により緑の神殿は木っ端微塵に壊されたわ。
その魔法で私達が全滅寸前で……太助が咄嗟にテレポートの魔法を行使したらしいの。
結果としては……とりあえず私とフェミーはエルフ国の首都へ飛ばされて首都にいた衛兵に回収されたみたい。
ただフェミー曰く太助のテレポートがランダムに起動したらしく結果、私達は離れ離れになったみたい。
「多分、他の皆も太助さんのテレポートであの魔法による大爆発から逃れてるから無事だと思うわ」
「なら……早く皆を探さないと」
「ダメよ!まだヒ無理をしてはいけないわ」
確かに、あの強烈な魔法による影響かまだ体のあちこちが痛い。
とりあえず自分のリンクミラーを取り出そうとしたが……ない!
「ヒカル、悪いけど貴方が持ってた荷物は全て衛兵は持って行っちゃったわよ」
「えっ!じゃあ無限バックも」
「残念ながらね。正直私はともかく貴方は招待府警の魔族さんだからね」
弱ったな。
これでは太助達と連絡と取れないし無限バックの荷物がないと何かと不便だし。
「フェミー!とにかく私の荷物返してよ。あれが無いと太助達を探せないよ」
「悪いけど、それは私の一存では決められないわ。まずは母上……ルシフェル王に会ってみたら?」
「えっ、ここの王様に?」
それから私はフェミーから回復魔法を施してもらいルシフェル王と謁見する事に。
さて、場所は変わってお城の謁見の間へ。
そこには玉座に座っているルシフェル王と宰相の姿があった。
「貴方が我が娘フェミーの友人ですか。表を上げなさい」
「お初にお目にかかります。私は魔王国のコショウ問屋の一人娘であるヒカルと申す者です」
「あぁ、先日我が国へ香辛料の取引に来られた行商人ですね。貴方の事は商業ギルドから伺っております」
フェミーは難色を示したけど私としては暫くの間ルシフェル王には私の本当の身分は教えない方がいいと判断したわ。
正直招待を隠していた方が色々と動きやすいしね。
「それとフェミーの報告では貴方達御一行はフェミーの頼みを聞き入れ緑の神殿へお供されたとか」
「友人の頼みです。当然の行動でございます」
「この件に関してはありがとうございました。衛兵、あれをここへ」
すると衛兵が私の荷物を持ってきてくれた。
しかも金貨百枚入りの袋も一緒に。
「幸い貴方の身分と潔白は証明されました。故に貴方の所有物はお返しします」
「あ、ありがとうございます」
私は早速戻ってきた荷物から自分のリンクミラーを取り出して他の皆と連絡を試みる。
まずは太助から……ダメだ、反応がない。
続いてはファフリーズも連絡を……こちらもダメだ。
今度はクロと連絡……!?これは南欧有り!
早速クロと通話を試みる。
「クロ!聞こえるなら返事をして」
(――――まさか、魔王様ですか。私ですクロです……アンナ殿も一緒です)
良かった!
何とか通じた。
しかもアンナの無事も確認できたわ。
「アンナも無事なのね!ちょっと変わってくれる?」
(ううっ、ヒカルか。無事でよかった)
「それはこっちの台詞よ。今、二人は何処にいるの」
(実は……私達はホビットの集落にいるんだ)
「ホビット?」
(北の森林奥地に住む小人族・ホビットの小さな集落に私とクロは保護されたんだ。結構可愛くて愛想のいい連中だぞ)
小人族ホビット。
聞いたことがあるわ。
あまり文明や文化に興味がないけど心優しい小人が住む集落がエルフ国の片隅にあるとか。
とにかくアンナとクロはそのホビットに保護されてる訳ね。
(本当はさっさと集落を出てヒカルと合流したいんだが生憎甲冑が壊れて変形ができないんだ)
「えっ?あの変幻自在の甲冑が」
(だから迂闊にあの魔境に近い森林を抜け出せないんだ。本当に気のいい小人達に救われたのが救いだよ)
「判ったわ、集落の座標はリンクミラーからの発信で判明してるから迎えに行くわ」
さて、太助とファブリーズの行方が気になるけど……とりあえず今は行方が判明しているアンナとクロと合流するのが先決ね。
「じゃあフェミー、今からアンナとクロと合流しに行ってくるわ」
「!?ヒカル本気なの?ホビットの集落はあの北野森林の奥にあるのよ!まさか一人で天然要塞みたいな森林へ行くつもり!」
「仕方がないでしょう。とりあえず今は行方が判明してるのから合流しないと。それに私の巻ではアカウント将軍一味は生きてるわよ」
「!?」
「だから一刻も早く体制を整えたいのよ。さもないとここにある赤と緑の刻印を狙ってアカウント将軍一味g襲ってくるわよ」
「なら……私も一緒に」
フェミーも私の旅路へ郷亮かと思われた時であった。
ルシフェル王がフェミーを止めた!
「フェミー、それはなりません」
「母上、どうしてですか」
「母として行かせる訳にはいかないのです。それに……フェミー、貴方は既に次期国王の資格を得ている故に王としても行かせる訳には」
えっ?
それはどうゆう事なの。
「元来、緑の刻印は次期王位継承者が手にするべきもの。そしてフェミー、貴方は先日の件で見事緑の神殿の試練を乗り越え緑の刻印を手にしました」
「まさか……刻印にそうゆう意味が」
「フェミー、貴方はもう立派な王位継承者。故に軽々しい行動は慎みなさい」
あらら。
あの緑の刻印って伝説の巨神復活の鍵だけではなく王位継承権の証でもあった訳ね。
そして成り行きとはいえフェミーは王位継承の試練を受けて乗り越えて次の王様になる権利を得たのか。
「確かに勝手な事をしたのは母としては嘆かわしいですがエルフ国国王としては実に喜ばしい事をしたのですよフェミー」
「しかし」
「貴方は既に次期国王なのです。重ねて告げます……軽々しい行動は慎みなさい」
確かにこれてでフェミーを同行させる訳にはいかないわね。
仕方がないわ。
アンナとクロは私が一人で迎えに行きますか。
さて、返してもらった荷物を再確認して……いざお城を出てあの大魔境へ再挑戦しようとした時であった!
「ハハハ!これは面白い事になってるじゃねぇか」
お城の城門前に一人の女ドワーフがいかにも重そうな大斧を手にして立っていた。
そして、私はこの女ドワーフとは認識がある!
「一応聞くけど……貴方は一体何方様?」
「ドワーフ国武装問屋の一人娘……ミルクだ」
「アンタ、嘘つくならもう少し上手くつきなさいな。ドワーフ国の国王様がこんな国へ何用なのよ」
「そうゆうアンタこそコショウ問屋の娘とか大嘘ついて!魔王国の魔王がど~してここにいる訳?」
はい、もうこの物語を最初から読んでいる方はご存じでしょう。
彼女はドワーフ国の国王であるミルク。
「ミルク!本当の目的を言いなさい」
「いやぁ、今度このエルフ国で戦争始まるそうじゃないの。だから私は未分画してエルフ国へs間ざまな武具を売ろうと思ってね」
「あ~っ、アンタって死の商人でもやるつもりかい!」
「愛しのライトきゅんとの結婚資金がどうしても欲しいのよ。そうゆうヒカルこそ何故エルフ国に?」
「友達の窮地を救う為よ!金の亡者と一緒にしないで」
全く、このドワーフ国の国王も呆れたわね。
これを婚約者であるライト伯爵が聞いたらどんな顔をするかしら。
待てよ!
いい事を思いついたわ。
「ねぇ、ミルクさん」
「何よ」
「共通金貨百枚あげるから今から一緒に仲間迎えに行かない?」
「金貨百枚だって!」
「下手に市の商人やるよりかは割に合う筈よ。さぁ、どうするの」
「金貨百枚だな。絶対に用意しろよ」
「はい商談成立!では今から北野森林奥地にあるホビット族集落へ出発!」
「なにっ、あの魔境と言われる北野森林へか!冗談じゃないわよ」
はい旅は道連れ世は情け!
二人揃って一騎当千の私達。
それではアンナとクロが待つホビット族の集落へ行って見よう!
そして、その様子をお城の窓から見ていたルシフェル王。
「ふふふ、あの化け物で有名な魔王国とドワーフ国の国王が行ったか。まぁ、我がエルフ国の為にせいぜい利用させてもらうぞ」
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