73 / 99
第五章 内乱のエルフ国
五 親友との再会
しおりを挟む思わぬ形で再開した私とフェミー。
フェミーはここでは何かと警備兵の詰め所へ。
そこで私はフェミーから色々と聞かされる事に。
「全く、あのガラの悪いチンピラも相手が悪すぎたわね。相手はあの魔王国の魔王なのよ」
「これはどうも」
「それと……改めて聞くけど一国の魔王様がどうしてこんな田舎国家にやってきた訳?まさか観光って雰囲気じゃなさそうだけど」
「
私はフェミーからの書状をフェミーに見せた。
「これを見たら、遠回しに助けてほしいと言ってるようなものじゃないの。だから私はフェミーを助けに来たのよ」
「!?」
フェミーは自分が書いて私に届けた書状を見て驚く。
「まさか、本当に助けに来るなんて」
「そりゃ私達は友達でしょう!」
「でも……本当はそれだけじゃないんでしょう。仮にも貴方は魔王国の魔王ですもの」
「……御免、それ図星」
私はフェミーに魔王としてエルフ国へやってきた目的を話した。
「そう、香辛料の地出入問題調査と伝説の巨神復活の阻止をしに来たんだ」
「まぁ、あの伝説の巨神とやらが魔王国に攻め込まれたら厄介だしね。だけど……私がフェミーを助けに来たのも事実よ」
「ヒカル」
フェミーは私の手を握り大粒の涙を流す。
余程うれしかったのね。
「ヒカル、私のブログを助けて!アカウント将軍を止めて!そしてエルフ国を救ってほしい」
「えっ?ブログって」
「私の哀切な人。そしてアカウント将軍の息子なの」
なんですって!
フェミーの恋人ってあのアカウント将軍の息子?
「ブログはダークエルフだけど私と将来を誓い合った関係。だけどあのアカウント将軍の反乱以来、彼とは連絡がとれないの」
「まさか父親の反乱に参加してるとか?」
「それにしては洗浄で見かけた兵士はいなかったそうなの。それにブログはそうゆう過激な事は嫌っていたから」
「案外、今の父親とは反目してる可能性がある訳ね」
「ブログ……今貴方はどうしているの?」
そうか。
現在フェミーの恋人は行方不明。
しかも父親であるアカウント将軍と反目してる可能性もある訳か。
「フェミー、他に現状でわかってる事を話して」
「うん。アカウント将軍は海岸にある神殿から伝説の巨神復活に必要な青の刻印を入手したそうよ」
「げっ」
「伝説の巨神復活に必要な刻印は三つ。その一つの赤の刻印は母上……ルシフェル王が持っているわ」
「そう。じゃあ残る一つは何処にあるの?」
「ここから北にある森林の神殿にある緑の刻印があるわ。多分アカウント将軍の次の狙いはその神殿ね」
成程ね。
となると私達の次の行き先はもう決まったも当然ね。
「北の神殿……フェミー、悪いけど案内頼めるかしら?」
「えっ!今からって、もう日は暮れてるわよ。今夜はもう休んだら?」
確かにもう日没は過ぎて月と星空が輝く時間だ。
フェミー曰く現在アカウント将軍の一団は海南地帯から動いていないそうだ。
もっとも現在エルフ国の軍勢がアカウント将軍の一団の侵入を防いでいるとの報告もある。
となると今焦って行動するのは得策ではないわね。
「まぁ、神殿には明日行くとして……今夜はどう?」
私は自分の無限バックからワインやウォッカ等のエルフ国では味わえないお酒を出した。
これにはフェミーも大喜び。
「久しぶり~っ!正直ここのお酒は個性がないのよね。米酒もいいけど……やっぱり酒といえばこうゆうのよね」
「流石に方繰りしい警備兵の詰め所ではマズイから……フェミー、何処かにに静かな空き地がない?」
「あるある!だけどどうして空き地?なんなら宿でも行きましょうよ」
「いやぁ、エルフ国の料理は美味しいんだけど何か物足りない印象もあるから……」
それからフェミーの案内で首都の郊外にある空き地へ案内された。
さて、ここなら大騒ぎしても迷惑がかからないわね。
私は無限バックから少し大きいカプセルを取り出して空き地のど真ん中へ設置。
すると……カプセルは急速に膨張して一件の家が形成さされたわ。
「ヒカル……これって」
「魔王国が開発した簡易ハウスよ。結構広いからごゆっくり!」
それからは私達にとって長い夜の幕開けとなった。
親友と一緒に楽しい酒盛り。
そしてアンナが作る様々な肉料理が食卓を彩る。
あっ、助……太助は米酒以外は飲んじゃダメよ。
太助が虎になったら宴会が台無しになるからね。
「ははは!それでね、ヒカルったら魔王国の衛兵全員に喧嘩を売って……全員ぶっ飛ばしちゃったのよ」
「やめてよ!昔の事よ」
私とフェミーは魔王国で一緒に学んでいた時の思い出を語り合っていた。
けど気のせいか太助を始めアンナとファブリーズも呆れていた様子。
「そういえば……ヒカルって最近結婚したそうじゃないの!相手はどんな人?」
「ふふふ!」
私は皆の前で太助を抱きしめて「彼が私の夫よ💛」と告げた。
「由利太助です。魔王国の宰相をしています」
「えっ?という事は貴方がヒカルの右腕と言われている宰相太助!」
「とりあえず宰相として頑張っています」
そこへ今度はアンナが太助に抱き着いた。
フェミーは不思議そうに感じたわ。
「由利太助の第二婦人の紫陽花アンナだ。役職は魔王国正規軍所属の左将軍だ」
「えっ……そうだった、確か魔王国は人口事情から一夫多妻制だったわね。それにしても魔王に左将軍とは流石は魔王国の宰相ね」
おや?
フェミーったら今度は一人でウォッカをがぶ飲みしているファフリーズの元へ行っちゃったわ。
「ねぇ……もしかして貴方もあの宰相君の奥様なの?」
「ううっ、もしそうでしたら私全く苦労していませんわ!」
あっ、フェミー完全に地雷を踏んだわよ。
ファフリーズはフェミーの襟をつかみ泣きながらこう告げたわ。
「私は魔王国正規軍の右将軍ファブリーズ!現在お婿さん募集中よ!」
「はは……ちなみにファフリーズのお年は?」
「十五歳よ!それがどうかしたの長生きのエルフさん!」
「十五?確か魔王国でその年まで結婚できないと……オールドミスまっしぐらの売れ残り」
あっ、また地雷を踏んだ。
「悪かったわね!エルフのクソババァっ!!」
「ババァ?まぁ魔族と比べたらエルフ国はそう言われても仕方がないぐらい長生きだけど……私がまだピチピチの百二十歳よ!」
「百二十?これは立派なご老人だ事で!その分だと恋愛すら知らずに……(ゴチッ)痛い」
「二人共いい加減にしなさい!今日は楽しい宴会なんだから、そうゆうのは無しよ!」
「「は~い」」
全く困った二人ね。
魔王である私から見ればどっちも精神年齢が同じぐらいにしか見えないわ。
それから暫くはアンナが作った料理で盛り上がる。
特にフェミーはエルフなのに肉料理を美味しく食べていたわ。
まぁ魔王国へ留学していた時に肉の味を知った上に帰国後も度々狩りをしては熊とか鹿を仕留めて食べてるとか。
「うんうん!このフライドチキン最高ね!」
「魔王国で作った鶏肉を我が国最高のシェフが料理してるもの。美味しいにきまtぅ輝でしょう」
「そうね。流石は太助殿の奥さんだけの事はあるわ。同じ奥さんでもヒカルじゃこうはいかないものね」
「悪かったわね。悔しいけど料理ではアンナには敵わないわ」
どうせ私は料理は聞きない事はないけどアンナには敵わないわよ。
それに私だって太助には色々と手作り料理を食べてもらってるんだからね。
「ねぇヒカル……明日本当に北の神殿に行くつもり?一度私の母上、いえルシフェル王がに謁見したほうがいいのでは?」
「フェミー、私達はお忍びでこの国に来ているのよ。それに国王と謁見して魔王国が介入したとアカウント将軍側が知ったら何しでかすかわからないわよ」
「けどいいの?下手したらヒカル達まで逆賊として追われる羽目になるわよ」
「上等よ!いざとなったらアカウント将軍だろうがエルフ国の国王だろうが魔王である私がわからせてやるんだからね」
「はは、その辺は流石は魔王ね」
それから暫く楽しい宴会は四遅くまで続いたわ。
そして気が付けば私は太助とアンナと一緒のベットで寝ていたわ。
後で知ったけどファフリーズが気を利かせたみたい。
そして時刻は午前二時ぐらい。
フェミーは簡易ハウスの外で一人物思いに耽っていたわ。
そこへファフリーズが姿を現したわ。
「まだ眠れませんか。フェミー王女様」
「これは魔王軍の右将軍様」
「どうです?もう一杯?」
フェミーとファブリーズは簡易ハウスの野外で一緒に飲み直す事に。
綺麗な月夜の下で二人による無礼講。
「そうですか。ブログさんとはエルフ国帰国直後に知り合ったのですか」
「母上は最低十年は交際して見極めなさいと言ってたけど……私はこの人だと確信してるわ」
「ですが現在行方不明ですか。やはり父親と反目して姿をくらましているのかしら」
「いっそ父親と一緒にクーデターしてるほうがまだ気が楽だったわ。まぁ、彼の事だから今の父親の行動は納得できないと思うけど」
「正直フェミー王女様が羨ましいですわ。私なんか今だにいい相手に出会えていませんから」
ファフリーズは赤ワインを一気飲みして引き続き愚痴る。
「私……なまじ才能がありすぎる故に小さい頃から殿方からは避けられている印象で」
「そりゃ魔王軍の重鎮まで上り詰めるぐらいだものね」
「だけど、次の魔王を決める時に私、魔王様と最後まで魔王の座を争っていたのですが……世の中上には上がいたようで」
「確かにヒカルはあらゆる面でけた違いだったらしいからね。そりゃ相手が悪すぎたみたいね」
「…………」
「ファフリーズさん?泣いているのですか?」
ファフリーズは大粒の涙を流しながらフェミーにこう呟く。
「私は魔族としても一番になれず、女としても相手にされない。惨めな中途半端な存在なんです」
「ファフリーズさん」
「どうせ中途半端な新古品女なんて誰も相手にする訳がありませんわ!このまま生涯独身で終わる女ですわ!」
完全に絶望しているファフリーズ。
そんなフェミーはニヤリと笑いある事を提案した。
「いっそ……あの宰相様の嫁にしてもらったら?」
「えっ!」
「あの宰相……太助君かしら。あの幼い年齢で二人の女傑をお嫁さんにしてるのよ!きっとファフリーズがその放漫なボディで迫ったらきっと轟沈可能よ」
「うへっ!わ、私が宰相様のお嫁さんに?無理よ!彼はもう魔王様にアンナの二人もお嫁さんにしてるのよ。今沢私が」
「貴方、魔王軍の将軍様でしょう。才覚だって十分資格あるじゃないの!」
「ええええええっ!」
「そのナイスバディと将軍としての才覚さえあれば、あのエロガキ宰相様を落とすなんて楽勝だと思うけどな」
ファフリーズったら完全に頭の中が来るグルのパニック状態!
そして酒も入っていたせいもあり、その場でノックアウト!
「うふふ、やっぱり魔族って結構可愛いものね。だけど、これでお開きね」
こうして私達親友同士の再開を祝う宴会は今度こそこれでお開き。
夜が明けたら北の神殿へ出発よ!
あれ?
私達……誰か一人忘れてなかったかしら?
「――――ひどい。私一人情報集めやらせて自分達は宴会だなんて。私も酒と料理を頂きたかった」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)


冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。


魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる