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第四章 魔王国の日常 パート01
その十二 魔王様の夏休み 02
しおりを挟むそれから、やって来ました夏休み初日。
私は太助・アンナ・ファブリーズ・クロを伴って港町ウエストへ向かっていた。
今回は魔族国の魔王としての夏休みなので堂々とワイバーンに乗って港町ウエストへひとっ飛び!
だから港町ウエストへは一時間もかからなかったわ。
港町ウエストの発着口にワイバーンを止めて、いざ港町ウエストへ。
「う~ん!潮の香が気持ちいいわ」
「休み中はあそこの宿に泊まるんだよ。結構広いねヒカルちゃん」
「あれって私達のような貴族や来賓の為に作られた宿よ」
「それで……じゃあとりあえず荷物を宿に置いていこうか」
私達が宿へ荷物を置いていこうとした時であった。
その時だった。
港町ウエストの関所を抜けて何かが私達の元へやってくる何かが来た。
私とファブリーズとクロは「何だあれは?」という印象。
見るからに緑の箱に四つの車輪がついている。
あれを見た太助とアンナはこう呟く。
「あれって車だよね、アンナ姉ちゃん」
「まさか、この世界で車を見かけるとはね。車体のセンスは最悪だけど」
太助とアンナ曰くあれは車という乗り物らしい。
その車って乗り物が何故にこちらに走ってくる訳?
流石に得体のしれない何かという事でファブリーズとクロがそれぞれ手に武器を持って警戒態勢。
だけど、その車は……私達の目の前で停止したわ。
そして……車の扉がゆっくりと開く。
車の中から私達が知る二人のドワーフが姿を現したわ。
「よぉ!魔王国の諸君。お出迎えご苦労」
「す……すみません」
「「「「「あ~っ!ミルク国王にライト伯爵」」」」」
なんと車に乗っていたのはミルク国王とライト伯爵。
しかもこの車を運転していたのは他でもないミルク国王!
「どう?我がドワーフ国が超移動大要塞の技術を応用して開発した自走者は」
「そうか……こっちの世界では自走者と呼ぶんだ」
「おや?宰相さんはこの自走者に興味がおありで」
「まぁ……僕が元いた世界にもこうゆうのがありまして」
足助曰くドワーフ国は自分達のいた世界と同じような文明になりそうだと私に告げた。
確かに魔法技術重視の魔王国(ただ約一名要職にマッドな機械技術者がいるけど)と比べるとドワーフ国はこうゆう機械やからくり重視になる傾向ね。
それにしても自走者か。
これは個人的に欲しいわね。
「じゃあ、最初に何をする?やっぱり海で泳ぐ」
「そうね!この海で泳ぐのは気持ちいいでしょうね」
という訳で、まずは海で泳ぐわよ!
では早速服を脱いで……って太助にアンナ!それにミルクにライト君までどうして止めるのよ。
「ヒカル……アンタ裸で泳ごうとしたでしょう」
「そりゃそうでしょう。魔族は裸で泳ぐのが当たり前……」
「こらっ!魔族だけならともかく、ここにはドワーフ二人に異世界人二人がいるのよ。アンタ達の常識が通じる状況じゃないわっ」
確かに裸で泳ぐのは太助とアンナ、ミルクとライトが拒絶反応を示している。
そこへライト君が自走者がら大きなトランクを出してきた。
ライト君がそのトランクをミルクに手渡すと私達にこう告げた。
「ほら!貴方達の水着をドワーフ国の技術で作っておいたから即刻これに着替えなさい。ちなみにサイズは宰相君に聞いてるから安心してね」
太助……私達のスリーサイズをドワーフ国に漏らしたの?
それはそれで問題になると思うんだけど!
それから私達は宿で水着にお着換え。
先に着替えを終えていた太助とライト君が海水浴に必要なパラソルやシート等の準備をしていたわ。
「すみません、魔王国の宰相様にこんな事させてしまって」
「そうゆう君こそドワーフ国の伯爵様でしょう。それに僕は宰相でなかったらただの平民当然だし」
「いえ、魔王国は生まれの身分は役に立たない実力主義でしょう。その魔王国で宰相してるのは凄いと思います」
「ライト君こそパティシエとしては相当な実力者じゃないか。もっと自信を持ったほうがいいと思うよ」
なんだかんだで男の子同士、何かと気が合うのかしら。
それから二人は黙々と準備を続けていたわ。
「ふぅ、なんとか終わったね」
「はい!後はヒカルちゃん達が……どうやら来たみたいだよ」
「お~い!太助、お待たせ」
そこへ私たち絶世の美女達が浜辺へご入場!
私達はミルクが用意してきた水着を着用しているわ。
ちなみにアンナは白いセパレート水着と呼べれるものであまり色気のない水着。
ただ本人はこうゆうのでいいと言ってるけど本当にいいの?
そして結構スリーサイズのいいミルクとファブリーズはそれぞれ青と赤のビキニ。
流石は色気ムンムンの二人にはピッタリだと思う。
特におっぱいの大きいファフリーズは赤いビキニのブラの大きさが目立つ事。
そして私とクロはミルク曰く一般的なワンピースの水着。
ちなみに私はピンクでクロは黒色で小さなスカート付きだ。
私はミルクにビキニ水着を要求したがミルク曰く「体のスタイルが不相応」と一刀両断。
一方のクロは偲装束みたいでお気に入りだそうで。
それからアンナ主導で準備体操を行った後は……いざ海へ!
「さぁ太助!行こうっ」
「あっヒカルちゃん、あまり引っ張らないでよ」
私はとりあえず太助と一緒に海を堪能。
最初、水着は邪魔だと思っていたが意外と動きやすくていい感じ。
悔しいけど、こうゆう技術はドワーフ国の方が優れている感じね。
さて、私は水の中でも活動と通話ができる魔法を自分と太助にかけて……いざ海の中へ!
そこには普段見慣れない光景が。
「うわぁ……」
「太助、これが海の中なんだね」
「僕……こうゆうの本でしか見たことがないから」
「私もよ。魔王国ってこの港町ウエストが出来る前は誰も海を知らなかったからね」
本当に近頃は海が身近に感じるわ。
以前はウエスト山脈をワイバーンで超えないと行けない筈だったからね。
様々な海産物に魚介類。
故に魔王国にとってこの港町ウエストは重要な場所なのよ。
それから数分程、太助と海の中を楽しんだ後で浜辺へ戻る。
そこで私と太助が見たものは。
「うおおおおおおおおおっ!負けるかっ」
「いやっ、勝つのは私だっ」
「私も負けませんわよ」
なんとまぁ、ミルクとアンナとファブリーズが海で誰が一番早く泳げるか競争してるわ。
そして、この様子をライト君とクロが呆れて眺めている状況。
「――――ライト、今度私が予想的級したら伯爵の作ったスイーツをもらう」
「はは……ならば、このタルトはどうでしょうか」
おいおい!
クロの奴、あの三人の競争で賭け事?
魔王国は賭け事御法度よ!
「これっ、クロ」
「あっ魔王様」
「ダメじゃないの!どんな形であれ賭け事をするのは魔王国では違法行為なのよ」
「――――申し訳ございません。つい他国で賭け事をしていた感覚になっていまして」
「ライト君!そのタルトは私達全員にお願いね」
「わかりました。ではあそこのテーブルで食べましょう」
さ~て、私達はあの三人の誰が勝つかを観戦しながらライト君の特製タルトを食べましょう。
おや?
ライト君が何やら飲み物を用意してきたわ。
それは何なの?
「これはコーラといいましてドワーフ国で流行している飲み物ですよ」
「えっ?ドワーフ国にはコーラがあるの!」
あらら、太助ったらコーラに興味があるのか飛びついちゃったわ。
太助がライト君に色々と聞いた処、なんとこの世界でコーラを発明したのは若い頃のラー男爵だそう。
あいつ昔は慢心せずにこうゆう精進をしていた訳か。
「う~ん、これは今度ラー男爵を訪ねて作り方教えてもらおうかな?勿論特許料払って」
「太助!今は夏休み中だから仕事の事は忘れて一緒にコーラとタルトを頂きましょう」
「じゃあライト君、この話はまた別の機会に」
それから争っている三人を後目にライト君が用意したスイーツとコーラを楽しんでいわわ。
特に太助ったらコーラを飲んで涙を流してたわ。
コーラって太助のいた世界にもあった飲み物だったのかしら?
私も飲んでみたけど……これは確かに癖になりそう。
とりあえず気が付けばもう夕暮れ。
もうすぐ夜だ。
アンナは一足先に宿に戻り本日の夕食の準備を始めている。
そして残る私達は急いで後片付け。
正直魔王になって初めてマトモな夏休みになったけど実に楽しいものね。
「それにしても綺麗ね。夕方の海は」
「本当にきれいな夕日だねヒカルちゃん。こうゆうのって何処の世界も一緒なんだな」
「魔王様、宰相様、片付け終わりましたよ。そろそろ宿に戻りましょう」
「判ったわファフリーズ。今行くわ」
それから私達は宿へ戻る事に。
そして私達はアンナが作った夕食を楽しむ事になる。
ちなみに今夜の夕食はアンナ特製の焼きそばだ。
我が国の香辛料から作ったソースに特上の麺。
更にミルクが持ってきた特上の豚肉。
正に魔王国とドワーフ国が互いの特産物を合わせて作った、ある意味国同士の合作だ。
「これは美味いわ!流石はアンナね」
「へへ……これもヒカルやミルク国王様が用意してくれた食材があってこそです」
「確かに魔王国の香辛料はいいよ。僕としてもスイーツの隠し味にしたいな」
「あら、ライトったら相変わらず研究熱心ね」
こうして私達の夏休み初日は楽しく過ぎていく。
残り日程もこんな風に過ごせたらいいなと私は勿論、太助や他の皆もそう思っていた。
だけど……このまますんなり私達の夏休みは終わらなかった。
次の日、とんでもないトラブルが発生したのだ!
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