太助と魔王

温水康弘

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第四章 魔王国の日常 パート01

その十一 魔王様の夏休み 01

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 この魔王国にも季節というものがある。
 夏は暑いし冬は寒い。
 そして四季が巡り年月は過ぎていく。
 
「太助~っ、最近暑いね」
「確かに暑いね。この世界にも季節はあるんだね」
「うん、今は暑いし冬になれば寒いし雪も降るわよ」
「ある意味安心したよ。今は夏なんだね」

 そう、魔王国は現在夏真っ盛り!
 気温は実に高く暑い暑い。

「太助、仕事もひと段落したし今からかき氷でも食べる?」
「えっ?かき氷がこの世界にあるの?」
「まぁ、魔法で氷の塊作ってから粉末状にしてシロップをかけるだけだから私でも作れるけど」
「じゃあ作ってくれる?」
「は~い💛」

 それから数分後。
 私が作ったかき氷を太助と一緒に食べる事に。

「うん!このキーンという感覚がいいのよね」
「美味しいねヒカルちゃん。夏はやっぱりこれだね」

 本当はアイスクリームも作りたいけど、あれってどうしても牛乳が必要だからね。
 現在ようやく牛と豚の家畜産業が起動に乗ったばかりで城下町で牛乳が出回るようになったけど……まだ高価だからね。
 それについては太助もアンナも残念そうだったな。
 そこへ執務室へパンジーが入ってきたわ。

「魔王様、そろそろ今年の夏休みの予定をお決めになられたらどうでしょう」
「あぁ、もう今年も夏休みの時期ね。もっとも昨年は男達が行方不明になっていたから夏休み返上で仕事してたっけ」
「ですが今年は男達も戻ってきましたし宰相様を始め人材も充実してきました。今年は夏休みをとっても問題ないでしょう」

 そうか。
 魔王就任直後は死んだクローム将軍のせいで夏休み処じゃなかったけど今年は男が戻った上に太助を始め有能な人材も充実してきたしね。
 肝心の国力や軍事力も充実してきたし今年は数日何処かでのんびりするのもいいわよね。

「そうね、太助とアンナは当然一緒に休むとして……他に誰か連れて行こうと思うけど誰がいい太助?」
「まずミクシィさんは国に残さないといけないしロイドさんの家族は僕達とは別の日取で休むと聞いてるし」
「そうだ!ファブリーズとクロはどうかしら?」
「確かにあの二人なら問題ないね」
「よし、後で二人も誘ってみましょう。後は何処で過ごそうかしら」
「なら港町ウエストはどうかな。あそこなら海があるから泳げるし海の幸が美味しいからいい避暑地にうってつけだよ」

 よし!
 事実上魔王になって初めての夏休みは港町ウエストで過ごす事に決定!
 行くメンバーは私と太助にアンナ、それにファブリーズとクロの四人で行く事に。
 これは楽しいバカンスになりそうね。

「となると……まずは夏休みまでに色々と仕事を片付けないとね」
「太助……こうゆう時に仕事の話はやめて欲しかったわね」

 それから私は自分のリンクミラーでファブリーズとクロに連絡。
 二人共二つ返事で同行してくれるとの事。
 後は夏休み開始までに急ぎの仕事を片付けておかないとね。
 そして、その夜。
 今夜も私達三人は寝室で裸で楽しい交尾を楽しんでいたわ。
 そこで太助は私にある質問をしてきたわ。

「ヒカルちゃん、この世界に水着ってあるの?」
「水着?」
「そう!水着。水の中を及ぶ為に切る服装だよ」

 水着?
 太助……貴方、何を言っているの?
 海で泳ぐといえば……全裸で泳ぐのが当然じゃないの!
 それを聞いた瞬間、太助とアンナは唖然茫然に。

「ないない!いくらエロ好きの私でも往来で全裸なんてありえないわ!」
「本当にこの世界に水着って無いの?」

 これには太助もアンナも抗議!
 だけど魔王国にそうゆうのは……待てよ?確かドワーフ国にそのようなものがあったような。
 なら善は急げだ。
 早速私はリンクミラーでドワーフ国のミルク国王へご連絡!

(何よ、折角愛しのライト君と楽しい添い寝を楽しんでたのに)
「夜遅くに済まないわね。確かドワーフ国に水着があるそうじゃないの」
(えっ?水着だって)

 私は今度の夏休みに港町ウエストへ行く事を伝え太助とアンナが水着が無いと海に行くのは嫌だと話した。

(海に行く時は水着着るのは当たり前でしょう!何?魔王国では全裸が当たり前?)
「どうも異世界から来た太助とアンナは受け入れられないのよ。なんならサイズ教えるから水着手配してくれない?」
(ほほう、ならば私とライト君もそっちに行くわ!) 
「えっ!そっちの国は大丈夫なの?」
(マリが頼りになるから数日なら大丈夫よ。それに一度ライト君と一緒に遊びに行きたいと思ってたし💛)
「じゃあ、水着の事はお願いね」

 やれやれ。
 どうやら今度の休みはミルク国王とライト伯爵も同行する羽目になったわね。
 これは結構賑やかな奴休みになりそうね。

「という訳でミルク国王とライト伯爵が夏休みに同行する事になったわ」
「はは……これは面倒な事になったね」
「となると休み中でも下手な料理やおもてなしはできそうにないな」
「という訳でアンナ!悪いけど休み中は料理の監修をお願いするわ。何しろ友好国の国王と婿さんだからね」

 それにしてもあのドワーフ国の新婚夫婦(正確には婚約者同士)も来ることになるとは。
 これは飛んだ奴休みになりそう。




 さて、こうして私達の夏休みが始まった!
 果たしてこのまますんなり休めるといいけど。





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