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第四章 魔王国の日常 パート01
その一 いつもの日常 01
しおりを挟む私、魔王ヒカル・グレーズの朝は早い。
朝六時になると魔王城から鐘の音色が響き渡る。
それが魔王国城下町中に響き渡り我が国の国民に朝を告げる音色となる。
「う……ううん」
「ふあぁっ」
「もう朝か」
そして私の寝室で私と太助とアンナがほぼ同時に目を覚ます。
ちなみに昨夜も激しくて楽しい交尾をしてたので私達は三人共全裸だ。
「ヒカルちゃんにアンナ姉ちゃん、おはようございます」
「うん!太助もアンナもね」
「よぉ、ヒカルも太助ちゃんも起きてるか?」
私達は全員起きているのを確認した後でガウンを身に着けて、まずはお風呂。
風呂に向かう途中で執事のパンジーと出会い挨拶。
「おはようございます魔王様、宰相様、アンナ様」
「「「おはようパンジー」
パンジーはいつも私達よりも早く起きて自分の部下と一緒に魔王城の清掃や管理をしている。
本当に彼の存在は魔王城にとっては不可欠な存在だ。
それから私達三人は風呂場に到着して再び裸になって入浴を楽しむ。
「アンナ、昨夜は太助と私より一回多く交わったわね」
「ははは!これについてはヒカルでも早いもの勝ちですよ」
「ぷぅ~っ、太助!今夜はアンナより多く私と交わってよね」
「本当にヒカルちゃんもアンナ姉ちゃんもスケベだな」
「「そこは頑張ってね💛太助」」
「僕……体持つかな」
それから私達はそれぞれ私服に着替えて大食堂で朝食だ。
ちなみに今日の朝食はというと。
「魔王様、今日の朝食はパンとコーンスープ。そしてサラダでございます」
うんうん。
結構地味だけど私的には朝食はこうゆうのが好みなのよね。
私は元々農家出身だからこうゆうのでいいのよね。
そして、この朝食は太助もアンナも好評みたい。
美味しい朝食から一時間後。
アンナが愛用の軍服を身に着けて正規軍本部へ通う準備を整える。
「では……そろそろ行ってくる」
「行ってらっしゃいアンナ。そういえば今日はファブリーズと一緒に正規軍の装備品について視察するそうね」
「あぁ、この間のドワーフ国の一件でまだまだ装備品の充実が必要だとウチの総司令が言ってたしな」
「確かにね。私は行けないけど気を付けてね」
「じゃ……ファブリーズが城の外で待ってるから」
アンナは城の外で待っていたファブリーズと一緒に正規軍本部へ。
さて、私と太助もお仕事開始と行きますか。
私と太助は城の執務室へ。
そこで私は太助から本日のスケジュールを聞く事に。
「今日はこの後、官僚長ミクシィが定期報告。それから僕と一緒に先日届いた牛と豚の家畜飼育講習へ参加」
「家畜については一度話を聞きたいけどミクシィとの話はなんとかならない」
「駄目!それが魔王の仕事だよ」
「うげ~っ」
「それから僕と一緒に昼食を食べた後で僕が考案した配信局を視察して今日の仕事は終わりかな」
実は太助はリンクミラーの技術を流用して情報を配信する施設を作るつもりらしい。
それが完成すれば私達はリンクミラーを通じて様々な情報や娯楽番組を楽しむ事ができるようになるとか。
そこへ執務室へ一人の少女が入って来た。
「失礼しま……う、うわあああああああっ」
「あっ、また転んだ」
この豪快に転んだ少女は官僚長であるミクシィ。
その執務能力は太助も認めてるのだけど……私的にはこのドジっぷりがどうもねぇ。
「……という訳でして、現在の税収は上々です。これなら今年の予算は問題なさそうです」
「そう、となると税率は現状のままでいいみたいね」
それにしても、いざ執務報告になるとミクシィってしっかりしてるわね。
前任のファブリーズと比べると無暗に増税とか無茶苦茶な事してこないし、そこを太助が評価しているのね。
そして、一連の報告が終わりミクシィは部屋を後にする。
流石に帰りは転ばなかったみたい。
「さて、そろそろ行こうか」
「例の家畜の件ね。これは私も楽しみだわ」
それから私と太助は数名の護衛と一緒にワイバーンに乗ってウエスト山脈近くにある草原へ。
ここには既に数百頭の牛や豚が試験的に飼育されていたわ。
そして地上に降りた私達の前に意外な人がいたわ。
「あっ、これは魔王様暫くです」
「あれ?確か貴方はマリさん」
「はい!先日の一件で助けて頂いたマリです」
なんと私達の前に以前ドワーフ国の一件で助けた宰相ローブ婦人のマリさんがいたわ。
それにしてもドワーフ国宰相の奥さんがこんな処で何をしてるのかしら?
「実は私、魔王国の皆様に家畜の飼育を教える為に暫くここに滞在する事になりました」
「えっ?新婚早々ローブさんと離れ離れになって大丈夫なの」
「それに関してですが……近頃国王が私達に対する態度が厳しくて」
マリさんの話によれば近頃のドワーフ国ミルク国王。
随分と宰相ローブと妻のマリさんに対しての塩体操が酷すぎるみたい。
だからローブさんは妻のマリさんを冷たい国王から放したほうがいいと魔王国へ派遣したそうだ。
「あのバカ国王~っ!今度またコショウ問屋の一人娘に扮して懲らしめてやろうかしら」
「ヒカルちゃん、青筋立てたら駄目だよ。あまり怒ると美容に悪いよ」
「それはどうも。けど太助、我が国が落ち着いたらまたドワーフ国へ行かない?あの脳筋バカ国王にお灸をすえてやろうと思うの」
「はは……落ち着いたらね」
それから私達はマリさんから魔王国の農夫達と一緒に適切な家畜飼育の仕方を色々と教えてもらった。
マリさんって結構才女なんだなぁ。
こんな有能な人を私怨で蔑ろにするミルク国王……こりゃドワーフ国の今後が不安になりそう。
それから講習を終えた私と太助はマリさんと別れワイバーンで城下町へ。
一旦、一緒に来てくれていた護衛を魔王城に戻して私と太助は城下町の食堂で昼食。
ちなみに昼食は魔王国名物フライドチキンだ。
しかもサイドメニューはフライドポテトにオレンジジュース。
「いつもながらボリュームたっぷりだね」
「そりゃ鶏肉は魔王国の特産品の一つですもの。まだまだ牛肉と豚肉の普及を安定させるには時間がかかるしね」
それから私と太助は少し中身のない会話をしながら美味しいフライドチキンを食べた。
う~ん!
これぞ魔王国の味といった処ね。
「さて、そろそろ行こうか」
「そうか……太助の言っていた配信局へ行くんだね」
現在、私達が通信手段として普及しているリンクミラー。
そのリンクミラーの通信機能を拡張して音楽や演劇映像、更に報道番組も配信しようと太助は思いついたのだ。
今回は試験的に魔王国が直接運営する配信局を作るが将来的に他の配信局も開局して様々な配信を楽しめるようにするらしい。
「うふふ、実はこの後……試験配信をやるつもりなんだ。だからヒカルちゃんも一緒に見に行こうよ」
「はは……それが本日最後の仕事って訳ね」
さて、その配信局で……とんでもない事が起こる訳ですが、それは自戒をお楽しみに!
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