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第三章 ドワーフ国騒乱!
その十六 最後の切り札
しおりを挟む「えっ?あれは何ですかエルスさん」
「ヌーク大臣め……まだこんなのを隠していたか」
とりあえず襲ってきた改造兵士どもを残らずぶっ飛ばしたファブリーズとエルスさん。
まぁ、体内のコアさえぶっ壊せば改造兵士はこの二人の敵じゃないけど。
だけど……その直後、とんでもない奴がファブリーズとエルスの前に出てきたのよねぇ。
「見るからにオリハルコンの塊みたいですが……エルスさんあれは何ですか?」
「あれは要塞防衛用に作っていた機械兵士だ。確か改造兵士よりもコストが高いから開発が中止したそうだが……試作品が一体だけあったのか」
全長は約三メートルぐらいで全身はオリハルコンで構成されている。
これは確かに堅そうね。
あっ、その機械兵士の頭から交戦が!
咄嗟にファブリーズとエルスは回避するけど……げ~っ!壁面に交戦が命中してドロドロに溶解!
こりゃ下手な魔法よりも破壊力抜群じゃないの!
しかもこの機械兵士ったら怖い交戦を容赦なくファブリーズとエルスへ発射してくるわ。
「エルスさん!ハッキリ言って非人道的な改造兵士作らないでコレを量産したほうが余程マシだと思いますが?」
「先程も言ったがヌーク大臣曰くコストが高すぎるらしい。だが一体だけでもこれとはヌーク大臣も選択を間違えたと思うぞ」
正直こんな破壊力を持つ怪光線乱射してくる機械兵士相手では迂闊に近づけない。
例え接近してもあのオリハルコンの装甲をぶち抜くのは骨が折れそうだ。
これでは二人だけであの化物を相手にするのは困難だ。
試しにファブリーズは闘気攻撃を用いて遠距離から機械兵士へ発射するが……やはりというべきかオリハルコンの装甲は固く傷一つつかない始末。
「あ~っ、せめて接近して至近距離から直接闘気を込めた攻撃を打ち込めたら」
「だが……あの怪光線を受けたら私達は御陀仏だ」
これは明らかに分が悪い!
果たしてこの怪物・機械兵士を倒す術はあるのか?
だが……その時だった!
「ファブリーズ!無事か」
「アンナ!」
中枢部の空いた天井からアンナの化身といえるアンナ・ホークが飛来!
アンナ・ホークはファブリーズとエルスの傍で本来の姿であるアンナの姿へ戻る。
「エルス殿!娘さんは無事に保護しました。今は艦橋でクロと一緒にいます」
「あ……マリ、無事なのね」
「娘さんの無事はわかりました!ですが今はあの化物を何とかしないと要塞を停止させられません」
アンナの目に怪光線を出しながら自分達に迫る機械兵士を捉える。
だが……アンナは何処か余裕そうであった。
「心配ない。ここは私に任せてくれ!」
「えっ?アンナ大丈夫なの」
「このロイドさんが作った甲冑に不可能はないさ。二人は早く緊急停止スイッチを押してくれ」
「判ったわ……アンナを信じるわ」
さて、緊急停止スイッチはファブリーズとエルスに任せ、アンナは迫る巨大な機械兵士と対峙する。
「うはぁ……この世界には巨大ロボットまでいるのか。これはワクワクしてくるわねぇ」
アンナはゆっくりと襲い来る機械兵士へ歩いていく。
途中、機械兵士が怪光線を撃って来たけどアンナは甲冑に闘気を纏って怪光線を防いでしまったわ。
その辺は流石元勇者。
更に……アンナはある姿へと変身を遂げる!
アンナ・アーマード
なんと!
アンナは全長五メートルぐらいの装甲の戦士へと大変貌を……いえ変身を遂げたわ。
まるで巨大な機械兵士が二体に増えた印象ね。
機械兵士はアンナ・アーマードへ怪光線を発射!
しかし、今のアンナ・アーマードには……そんなもの通じる訳がなかったわ!
「あ、アンナがあれと同じ化け物に」
「何だ、あの姿は。魔王国の技術力はとんでもないぞ」
まぁ、これを見たファブリーズとエルスは本当に唖然茫然。
本当にアンナの甲冑を作ったロイドってとんでもないわねぇ。
「これでもくらえっ!」
アンナ・アーマードはその巨大な右腕を機械兵士に向ける。
すると、アンナ・アーマードの道腕は凄まじい速度で発射された。
発射された右腕は機械兵士の胴体へ命中!
見事機械兵士は豪快にぶっ倒れた!
同時にアンナ・アーマードに飛び出した右腕が元の位置へ。
「うひょ~っ、注文通りロケットパンチ出来てるぞ!ならば今度はこれだっ」
アンナ・アーマード、今度は機械兵士のお株を奪くかの如く目からビームを発射!
機械兵士はそのビームを受けて右腕を吹き飛ばされてしまった。
もはや勝負あったって感じだ。
「いっくぞ~っ!とどめだぁぁぁぁっ」
アンナ・アーマードは中枢部の店長近くまで飛び上がり……飛び蹴りの体制!
しかも右足の先がアンナの闘気で充満している!
「必殺っ、アンナキ~ック!」
アンナ・アーマードによる必殺のアンナキックがもはやスクラップ当然の機械兵士の胴体へ炸裂!
そして……機械兵士の動力源である魔法炉が破壊されて……結果、機械兵士は木っ端微塵に大爆発した!!
最後はアンナ・アーマードによる勝利のガッツポーズ!
この一部始終を見ていたファブリーズとエルスはただ呆れて呆然とするのみ。
「ロイドさん……ズルいですわ、アンナさんだけにこんな凄いのを与えるなんて」
「ファブリーズ殿、もう邪魔者が現れる事はないでしょう。早く緊急停止スイッチを」
はい、これで全ての邪魔者はいなくなりましたので……この厄介な超移動大要塞の全機能を停止させてよ。
ではファブリーズがスイッチをポチっと!
すると、要塞中に聞こえていた起動音が消えていく。
当然、要塞の外側で展開していたバリヤーも無くなった訳で。
「はぁ~~~っ、ようやく止まったか。アンナ、ファブリーズ、クロ……よくやったわね」
これで私、魔王ヒカル・グレーズも巨大化を解除してミルク王女と複数の配下を引き連れて要塞内部へ。
さて、要塞内部で降参していたり気絶している敵兵士の処理は配下に任せ私とミルクは要塞中枢へ。
そこにはアンナとファブリーズにクロ、そして親子再会で抱き合っているエルスとマリの姿があった。
「あっ魔王様」
「ヒカル、無事に任務完了だ」
「三人共本当にお疲れ様。後は……」
おや?
ミルク王女の前でエルスが跪いているわ。
「王女様!誠に申し訳ございません。どうか私を極刑に処して下さい」
「……」
そりゃそうよね。
娘を人質にされていたとはいえ残て国政の悪事に加担していたのだから。
しかも偉いと思ったのは娘のマリも母親が極刑に処されるのを覚悟している事である事かしら。
だけど……ミルク王女の裁定はこうだった。
「顔を上げなさい。貴方は利用されていたに過ぎません」
「王女様」
「償いたいのでしたら私と一緒にあの逆賊にして私の父の仇であるヌークを打ち倒すのに手を貸して」
「で、では」
「共に我がドワーフ国を脅かす逆賊を討ち取りましょう!」
「は、ははっ!このエルス、ミルク王女に絶対の忠誠を誓います」
うん!
これでいいわ。
とにかくこの大砦も完全に陥落ね。
それから本陣kら太助とルル、それにローブさんも大砦に来たわ。
「それにしてもドワーフの技術力も凄いね。こんな大要塞を作れるんだから」
「流石にこんな発想は我が魔王国には思いつかないわ。ロイドがこれを見たら仰天する事は間違い無しね」
私が太助と話をしている間、ドワーフ国の配下達が機能停止中の超移動大要塞を調べているみたい。
そしてミルクから聞いたけど……どうも超移動大要塞の魔法炉の技術はドワーフ国のものでは無い事が判明したの。
こりゃ……何処かの誰かがあのヌーク大臣にこの技術を教えたのは間違いないわね。
まぁ、残るはドワーフ国の王城で居座っているヌーク大臣を残すのみ!
あれ?
太助……何か悪い事考えてない?
「ねぇ、ミルク王女様」
「何ですか太助宰相殿」
「これ……また動かせる?」
「えっ?」
あ~~~~っ!
やっぱり太助ったら何やら悪い事考えてる!
私……もうどうなっても知らないからね!
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