太助と魔王

温水康弘

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第三章 ドワーフ国騒乱!

その十三 超移動大要塞を攻略せよ!

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「くそっ!」
「あのバリヤーは厄介ですわねアンナ」

 正直アンナとファブリーズにしてみれば……こんなのどないするねんって心境!
 何しろただでさえ巨大すぎて生半端な攻撃は全く通用しない超移動大要塞。
 しかもバリヤーまで常時展開してるからアンナとファブリーズの闘気攻撃すら受け付けない始末。
 闘気が使えないミルクではバリヤーすら話にならない。
 おまけに。

「!?敵の大火力が来るぞっ、僧院回避~っ」

 はい、その超移動大要塞から放たれる魔法縮退砲が極めつけ。
 その縮退砲から放たれるエネルギーは私のギガ・イレースに匹敵するぐらい。
 幸いエネルギーの発射速度は思ったより遅いからアンナとファブリーズ、それに我が正規軍の面々も回避できない事はない。
 だけど……それでも掠ったりして負傷者が続出、死傷者が出ていないのが奇跡。

「ファブリーズ!このままでは全滅だ」
「あ~っ、せめてあの面倒なバリヤーさえ突破できたら」 

 アンナとファブリーズもバリヤーさえ何とかすれば何か策があるみたい。
 だけど……やっぱりバリヤーを突破しないと話にならない!
 その時だったわ!




 ギガ・イレース




 突如、超移動大要塞の上空に大きな漆黒のエネルギー体が出現!
 その漆黒のエネルギー体は超移動大要塞の一角へ急降下!
 しかし、漆黒のエネルギー体は超移動大要塞が展開しているバリヤーに干渉!
 漆黒のエネルギー体は一瞬バリヤーを消失させた後に消えていく。

「この魔法は……」
「魔王様!」

 はい、ここで私、魔王国の魔王ヒカル・グレーズ様ご登場よ💛
 だけど……近くで見るとホントにデカいわね。
 私のギガ・イレースでもバリヤーを一時的に消失させるのが精一杯とはなんて奴なの?
 この分だと巨大化も爆裂魔法も無駄みたいね。
 あれ?
 アンナとファブリーズとミルクが私に話があるみたい。

「ヒカル……済まないがまたギガ・イレースをあいつに撃ってくれないか」
「えっ?今見たでしょう。せいぜいバリヤーを一時的に打ち消すのが精一杯だって」
「バリヤーを一時的に無力化させるだけでいいんだ。その後は……私とファブリーズに全てを託して欲しい」

 アンナ、どうやら何か考えがあるみたいね。

「で、私がバリヤーを無力化した直後にどうするの?」
「ファブリーズと一緒にあの要塞内部へ突入する!」
「そして私とアンナさんがあの要塞の中枢か艦橋を破壊するか無力化します」
「あ……貴方達」
「ヒカル!あの桁違いの化物要塞をぶっ潰すにはこれしか方法がない」
「お願いします魔王様!この手段以外にこの戦いに勝利する手段はありません」

 アンナとファブリーズの決意は固い。
 私は少しの間思考して……決断した。

「わかったわ。この戦いの命運は二人に託すわよ」

 これで決まりだ。
 私がギガ・イレースで一時的にバリヤーを無力化した一瞬の隙を狙いアンナとファブリーズが要塞内部へ突入。
 そして二人が要塞の中枢を破壊するか無力化する。

「待って!その突入には私も同行させて欲しい」
「ミルク……貴方は駄目よ。この作戦はアンナとファブリーズにしか任せられない危険な作戦よ」
「しかし、あの要塞にはエルス大臣が!」
「ミルク、気持ちは判るけど今度ばかりは危険すぎるわ。それに貴方にはヌーク大臣を倒す役目があるでしょう」
「……わかった。アンナ、ファブリーズここは頼む」

 本当にこのミルク王女様は無謀な処あるんだから。
 けど……私達にはそれぞれ役目って奴があるんだからね。

「じゃあ、二人共準備はいい?」
「では……頼む。それと残ってる部隊の指揮は」
「その辺は大丈夫。私が直々に指揮を執るあ!だから安心して大暴れしてきなさい」

 という訳で作戦開始!
 私は再びギガ・イレースの詠唱を開始!
 はい再びあの面倒な大要塞の一角に漆黒のエネルギー体が出現!
 それと同時にアンナがファブリーズをお姫様だっこをして超移動大要塞へ全速力で疾走していく。
 いい?
 チャンスは一瞬よ。
 途中アンナに対して魔法バルカンによる攻撃があったけど流石にそんな豆みたいな魔法弾ではアンナとファブリーズに傷一つつかないわよ。
 さて……そんなアンナとファブリーズが大要塞のバリヤー近くまで来ました!

「では……そろそろ行ってみましょうか!」




 ギガ・イレース




 はい再び私のギガ・イレースが超移動大要塞のバリヤーに接触!
 そしてまたしても互いのエネルギーが相殺して要塞のバリヤーが一時的に消滅。
 
「アンナ!」
「今だっ、ファブリーズ行くぞ!」

 アンナはファブリーズをお姫様抱っこをしたまま力いっぱい飛び上がる!
 そして……自らの闘気を解放!



 アンナ・ホーク




 すると、アンナが身に着けていた甲冑がアンナの闘気に応じて著しく変化を始めた。
 アンナの姿はみるみると変貌を遂げ正に大鷲のような姿となった!
 その巨大な大鷲であるアンナ・ホークはファブリーズを背に乗せたまま私が一時的に空けたバリヤーの隙間をすり抜けた!
 どうやら無事にバリヤーの中へ侵入性交したみたい。

「ファブリーズ!このまま突入だっ」
「いいわよ!」

 バリヤーの内側へ侵入したアンナとファブリーズ。
 そして、ファブリーズを背に乗せたアンナ・ホークはそのまま超移動大要塞の外部装甲をぶち破り見事要塞内部へ!
 同時に私が一時的に無力化したバリヤーは再び展開。
 これで全てはあの二人に託すしかない。

 まぁ、当然要塞内部に侵入者が来たなら要塞艦橋は大騒ぎでしょうね。
 そして要塞中に響き渡る非常警報。
 無論、kの超移動大要塞の責任者・エルス大臣も大慌て。

「何っ!要塞内部に侵入者だと。蟻の子一匹入れぬ要塞をどうやぅって……」

 はい当然この後のご命令は!

「即刻侵入者を排除せよ。絶対に生かして返すな」

 まぁ、こうなるのが普通ですよね。
 はいエルス大臣のご命令で要塞内部にいた仕官や兵隊が一斉に侵入者排除に向かったわ。
 だけど……普通のドワーフ兵士にあの国士無双級の化物娘二人を排除でくるかしら?
 はい、これが侵入者二人の現状でございます!




 アンナ・ローラー



 

 なんと!
 今度はアンナさん巨大なローラー車へ変形……というか変身しちゃったわ。
 その巨大ローラー車はファブリーズを上に乗せて要塞内部にいる兵士や仕官を逆に追いかけ回しているわ💛
 さぁ、追い付かれたら巨大ローラーに潰されちゃうぞぉ~っ!

「うわぁ~っ!助けてくれ」
「何だあの車はっ!追い付かれたら死ぬぞ!」
「ぎゃあああああああああっ!」

 はい、逃げ纏う兵士の皆様お疲れ様です。
 これにはアンナの上に載っているファブリーズもノリノリだ。

「アンナ!このまま中枢までぶっちぎりましょう」
「誰も私の前は走らせない!誰も私を泊める事はできはしない!」




 変身したローラーで走り出す♪
 って、早く二人共中枢部へ行きなさいよ!
 外は外で私達は大変なんだから!





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