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第三章 ドワーフ国騒乱!
その十二 超移動大要塞起動!
しおりを挟む現在大混戦が展開されている大砦攻防戦ですが……ここでひとまず魔王軍本陣へ視点を向けて見ましょう。
「んぐんぐ……ぴふぁ~っ!」
「戻って早々豪快な飲みっぷりだねヒカルちゃん」
かくゆう私は巨大化魔法に爆裂魔法と魔力消費が著しい魔法を行使したので本陣へ戻って一休み。
既にエリクサーを五本ラッパ飲みしたのだが……流石にしんどいなぁ。
「ヒカルちゃん、肩を揉んであげるよ」
「助かるわ太助……ついでに私の小さなオッパイを揉んでいいのよ💛」
「ヒカルちゃん、今は戦闘中だよ」
という訳で私は太助に肩を揉んでもらう。
はぁ~っ、気持ちいいわぁ。
少ししたらまた戦場に戻るつもりだから、つかの間の一息ね。
「処で太助、今の戦況はどう?」
「先程クロから連絡があったけど例の非人道な改造兵士の製造施設を破壊して捕らえられていた人達も救助したみたい」
「そう……正直あんなのは存在しないほうがいいわ」
「もうすぐ正規軍の別動隊がその救助した人々を連れて本陣へ来るよ。今ルルとローブさんが出迎える準備をしてる」
「ルルには受け入れ準備を急ぐ脳にお願い」
さて、私が太助に労わってもらっている間に大砦はどうなっているかというと?
「行けっ!敵は総崩れだっ」
「このまま砦の中枢を攻め落としましょう!皆様頑張って下さい!」
航空魔導士部隊の活躍で面倒な改造兵士は一網打尽にされた為、暫定国政側は完全に総崩れ。
アンナとファブリーズが先陣を切り士気を失った仕官などただ逃げ纏うばかり。
あっ、逃げた奴や降参した仕官や兵隊は殺しちゃ駄目よ。
彼等は無能極まりない暫定国政のクソ大臣どもに渋々利用されていただけなんだから。
「ここが大砦の中枢でもある大工房か」
「アンナ、ここを潰せばこの戦はチェックメイトですわ」
「そうだな……あの中にいるエルス大臣を打ち取ればこの砦は陥落する」
「あっ!」
「ミルク様……そちらは終わったみたいですね」
「……あぁ」
ここで頼もしい女傑・ミルク王女様が腹心ボルトとその配下を引き連れてアンナとファブリーズの部隊へ合流。
これは本当に頼もしい限りね。
もっとも……あの改造兵士生産施設で何かあったのか何処か表情が暗いな。
「それじゃあ……とりあえず邪魔な大扉をぶっ壊してやりますか!」
「じゃあ……行きますかアンナ!」
アンナはその全身に闘気を放出!
一方のファブリーズもその身に闘気を放出!
そしてアンナはその戦気を手にした剣に集めていく。
ファブリーズもまた闘気を身に着けた手甲に集めていく。
しかもそんな二人の目は敵意を超えた殺意を発している。
「「チェスト――――――っ!」」
二人の武装から放たれた凄まじい闘気の塊が立ち塞がる大扉にぶち当たる!
そして、大扉はそれは凄まじい轟音を響かせて粉々に砕けて跡形も無くなった!
「それでは」
「参りましょうか」
「貴方達……本当に何者?」
あらら、この凄まじさにミルク王女は唖然茫然。
まるで次元が違いすぎる印象みたいね。
唖然としているミルクとその配下を後目にアンナとファブリーズはいざ中枢の中へ突入!
だけど……アンナ、ファブリーズ、危ない!
「魔法縮退砲……発射!」
なんと、とてつもない魔力の塊が中枢の中から飛来!
咄嗟にアンナとファブリーズ、そして魔力の塊はアンナとファブリーズ達の真後ろを……建物ごと跡形も無く消滅させてしまった!
「これって……ヒカルのギガ・イレースと同じ!」
「もし……あれを受けたら一巻の終わりですわ!」
アンナとファブリーズですら本能的に危険信号を出している。
今の攻撃は一体?
そして……中枢部の奥から何やら金属音が聞こえてくる。
アンナには……その音に聞き覚えがあった。
それは、洗車のキャタピラ音だ。
「あ、あれって……アンナ!」
「!?総員ここから離れろっ退避!退避だっ」
アンナの号令に従いファブリーズとミルク王女……そしてボルト達全ての配下達がその場から一目散に撤収!
その直後であった。
中枢工房を覆っていた壁面は轟音と共に崩れ落ち、奥から……とてつもなく巨大の物体がその姿を現した。
「で、でかい」
「大きすぎる。一言で言えば怪物だ」
「そうか……暫定国政が数多の職人を無理やり連れて行ったのはこれを作る為だったのか!」
およそ大きさは直径一キロメートルぐらい。
高さは約百メートルはあるだろう。
その全身には先程のような魔法縮退法が見えるだけで五十ぐらい。
しかもキャタピラで移動可能と来た。
正にこれは超移動大要塞そのものだ。
「はっはっはっ!見たかっ、我がドワーフ国が誇ろ超移動大要塞の姿は」
その超移動大要塞の艦橋にはエルス大臣が高笑いしていやがる。
それにしても面倒な代物を用意してくれたものよね。
このシャレにならない状況は本陣でも巨大リンクミラーで観ていたわ。
「は、はは……これは参ったな」
「宰相様、推測ですが一キロメートルぐらいの大きさだそうです」
「ノーズ、まさかこんな物を……なんてこった!」
あちゃ~っ。
そりゃあんなデカ佛見せられたら太助もルルもローブさんも怖気づくのも無理は無いわ。
そしてルルがリンクミラーを握りしめ……航空魔導士部隊へ命令!
「航空魔導士部隊へ……すぐに上空からあの要塞を爆撃しなさい!」
あっ!
駄目よルル。
今度ばかりは私も嫌な予感がするわ!
「総員攻撃開始!」
航空魔導士部隊の中隊長の号令であの超移動大要塞への爆撃が始まった。
はるか上空から降り注ぐ最上級魔法のオンパレード。
普通なら数分で焼け野原確実……なんだけど。
「う、嘘でしょう」
「そんな!航空魔導士部隊の攻撃が……届いていない」
なんと!
大要塞の周囲には透明色の幕……即ちバリヤーが展開されていた!
しかもそのバリヤーは実に強靭で航空魔導士部隊による魔法爆撃は……一切通用していない!
「煩いハエどもめ……魔力バルカン砲を撃て!」
すると……超移動大要塞のバリヤーの一部が無くなり、その無くなった箇所から約百門の銃口が出てきた。
「落ちろハエども!」
すると百門の銃口から凄まじい数の魔法弾丸が打ち出された!
しかも魔法弾丸の速射力は凄まじく次々と上空にいる魔導士は被弾して撃ち落とされていく。
こうなると我が魔億国が誇る航空魔導士部隊も形無しだ。
「ルルさん、すぐに航空魔導士部隊を撤退させて!このままじゃ無駄に負傷者を出すだけだよ」
「了解しました」
本陣にいた太助は当然、航空魔導士部隊に退却命令。
それにしても……まさかここまでとはね。
この分だと地上にいるアンナとファブリーズの部隊も相当苦しい事になってそうね。
「太助」
「ヒカルちゃん、行くんだね」
「どうやら……歯ごたえのある相手が出てきたみたいだしね」
「頑張ってね」
太助は再び戦場へ戻ろうとする私に口づけをした。
どうしよう……こうゆう事されたら元亀百倍なるじゃないの💛
「それじゃ……今夜の夕食は何がいいか考えておいて💛」
「うん!ヒカルちゃん勝ってね」
こうして、私は再び戦場へ舞い戻る……あの超移動大要塞を粉砕する為に!
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