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第三章 ドワーフ国騒乱!
その十一 改造兵士の悲劇
しおりを挟むさて、アンナとファブリーズを始め我々魔王軍がど派手に大暴れしている最中。
アンナとファブリーズとは別行動をとっていたミルク王女とドワーフの頼もしい精鋭達。
「クロさん、あそこがそうか」
「――――そう、あそこで問題の改造兵士が作られている。そして囚われている民衆もそこの傍にある牢獄にいる」
「なら、クロさんは民衆の保護と救助をお願いするわ」
「――――ミルク王女様は?」
「施設を破壊するわ。あんなドワーフ国の汚点といえる改造兵士は存在してはいけないもの」
という訳で……クロが率いる諜報員達はドワーフ国の国民救助。
そしてミルク王女率いるドワーフ達は自らの手で改造兵士の製造施設を粉砕すべく行動を開始した!
はい、場所は変わって問題の改造兵士製造施設。
「うわっ!何事だっ」
「敵襲!敵襲だぁぁぁぁぁっ!」
正面口から竹を割ったような真っ直ぐな勇猛なドワーフによる大突撃!
そして勿論、この突撃する兵士達を仕切るのはドワーフ国で最強といえる女傑!
「ドワーフ国第一王女ミルクここにあり!命が惜しくない者から掛かってくるがいい!」
その手には幾多の戦場を共にした大斧。
彼女が相棒といえる大斧を振り回す度に衛兵の首と胴体が今生の別れを告げて切り裂かれていく。
このドワーフ国屈指の女傑出現により施設を守護していた衛兵達は総崩れ。
命が惜しい衛兵は一目散に逃げていく。
「逃げる者は追うな!目指すは外道な技術を駆使しているあの施設だっ」
ミルクはそのまま全速力で施設の堅い大扉へ!
そして、ミルクは重さ十トンある大斧で眼前にある大扉を粉砕する!
だが……ミルクと後から入ったボルトが見たものは!
「ミルク様!これは」
「あ……ああっ!」
そこは一言で言い表すなら……地獄であった。
具体的には数百名のドワーフが不気味なチューブで接続されており、接続されているドワーフは例外無しに完全に理性が破壊されていた。
ただ……理性御失い不気味に薄ら笑いだけが響き渡る。
「この匂い……まさか!」
ボルトは張り巡らされているチューブを一本、手にした大斧で切り落とす。
そして切り落とされたチューブから出てくる液体を軽くなめてみる。
「ボルト!大丈夫なの?」
「……やはり」
ボルトは暫く沈黙した後に衝撃的な事をミルクに告げた。
「ミルク様、これは近頃ドワーフ国で出回っていた新型麻薬です」
「なんですって!」
「これはあくまで私の推測ですが……あの麻薬は元々改造兵士を作成する為に作られて調整薬だと思われます」
「調整薬?」
「あれは少量でしたら麻薬と同じ効果ですが……もし大量に体内へ入れられたら、もう姫様にはお察しですね」
なんという事だ。
近頃ドワーフ国に出回っている新型麻薬にこんな危険な秘密があったとは!
あの調整役を大量に体内へ注入されたが最後、強靭な身体能力と引き換えに完全に理性を失い死亡したような存在にある。
残念だがここにいるドワーフ達を救う術はもう存在しない。
「う……ううっ、うわあああああああああああああああああああああああああああああっ!」
「ミルク様、心中お察しします」
生き地獄の中で絶望して雄叫びを上げるミルク王女。
それをボルトと同行している配下達はただ沈黙しているのみである。
その時!
数体の改造兵士が突如目を覚まし自身に突き刺さっているチューブを引きちぎり……ミルク達へ襲い掛かってきた!
すぐにボルトを始めとするドワーフ配下達は戦闘態勢へ。
「ミルク様!わかっている筈ですね」
「……」
「ミルク様!」
ミルク王女は暫くの間微動だにしなかった。
しかし……ミルク王女はこの一言を呟いt時……修羅と化した!
「キレた」
ミルクは涙を流しながら手にした大斧で襲い来る改造兵士を次々と切断していく。
彼等は犠牲者だ。
彼等は被害者だ。
彼等は……彼等は……!
それから数分後。
ミルク王女達の足元には改造兵士……いやヌーク大臣の野望の犠牲者がほぼ全て屍となって倒れていた。
「うぅ……ううっ……ううっ」
「ミルク様」
ミルク王女は泣いた。
ヌークの犠牲になった人達の為に泣いた。
そんなミルク王女にボルトが申し上げる。
「ミルク様、失礼なgらまだ闘いは終わっておりません。クロ様と合流しましょう」
「そうね……ただその前に」
「何をなさいますか?」
「この施設に火を放て!この場にいる亡骸を供養するのと同時にこのような外道極まりない施設は我がドワーフ国には不要だっ!」
「はっ、仰せのままに」
だけど……まだこれで終わってはいなかったのよね。
「くそっ、よりによってあの女傑が来るなんて」
「だが、この資料さえあれば改造兵士はいくらでも作れる。しかも今度は今より強力なものをな」
ややっ!
いつの間に性格の悪そうなドワーフ技術者が二名施設から逃走中みたい。
しかも大事そうに今までの研究データを記した本を大事そうに抱えてからに。
「とにかくエルス大臣と合流しよう」
「あの超移動大要塞の中へ入ればこっちのものだ」
とにかく逃げ回るこの技術者二人。
確かにあのデータをエルス大臣の手に渡ったら面倒ね。
だが……世の中そんなに甘くないわよ!
「――――何処へ行くつもりだ?」
「「!?」」
はい残念でした。
よりによって我が魔王国最強の諜報員にして暗殺者に捕まるとは。
その少女の名はクロ。
一度彼女に狙われたら完全終了確実よ。
「どけ!どかないと撃つぞ」
あれ?
技術者の奴、自分の懐から無いやら武器みたいなのを取り出したわ。
足助曰く、これは拳銃と言うんだってね。
技術者の一人がクロにその銃口を向ける。
「――――何だそれは?」
「小娘!ならばこれがどうゆうものか……思い知らせてやる」
技術者は銃の引き金を引き黒い鉛玉をクロに向けて発射!
だけど……そんな鉛玉でクロを倒せるとでも思ってるのかしら?
「――――何だこの小さな金属は?」
「ええ~っ!弾丸を手で受け止めたって~っ」
クロ……もういいから始末しちゃってよ。
「――――その手にした書物、禁断の改造兵士の作成データと見た。処分する」
「ふざけるな!処分されてたまるか」
二人の技術者は無謀にもクロから逃走を図ろうとするが……まぁ無駄よね。
「ひぃ~っ!」
「――――死ね」
ここで技術者の一人の首がコロリと切り落とされちゃった💛
これで残るは一人。
「う、うわあああああああああああああああああああああああああああああっ」
「―――――それが貴様の遺言か……死ね」
クロが技術者を指差した瞬間……技術者の体は急激に膨張!
そして風船が破裂したかの如く技術者は木っ端微塵にされてしまったわ。
「――――こんな物は存在してはいけない……処分する」
そして最後に残った改造兵士に関する研究データはクロにより焼却処分されて完全に消失した。
丁度同じ頃、改造兵士作成施設はミルク王女の手により炎に包まれていた。
それを見届けるミルク王女とボルトを始めとする配下達。
「――――そちらは終わったみたいだな」
「クロさん。民衆は?」
「――――とりあえず改造されていない人々は残らず救助した。今頃は正規軍に保護されている筈だ」
「そう……」
燃え盛る施設を見ながらミルク王女は意を決する。
「諸君!まだ闘いは終わっていない。これより我々は最初の手筈通り魔王国正規軍と合流し……」逆賊エルス大臣の首を打ち取る!」
「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ」」」
「連戦になるが引き続きこの私に着いてきてくれないか!お前達の命を私に預けてくれ!」
さて、これで作戦の目的の一つが片付いた訳ですが……正直あのエルス大臣がこのままで終わるとは思えないんだよねぇ。
果たしてこの後はどうなるかしら?
「くそっ、超移動大要塞の起動はまだかっ!おのれっ魔王軍め目に者を見せてやる!
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