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第三章 ドワーフ国騒乱!
その八 決戦前夜
しおりを挟むあの焼肉パーティーから次の日。
私は夕べパーティーの最中でクロから聞いた報告を太助やアンナにファブリーズ……そしてミルク、ローブ。ボルトに伝えた。
まず先代国王を殺害した黒幕が他でもないヌーク大臣だという事。
そして現在そのヌーク大臣が徴兵した人々を改造して先日我々を襲った改造兵士に仕立て上げてる事。
更に魔王国侵略の切り札として現在エルス大臣の指揮の元で超移動大要塞を建造中だとか。
ちなみに問題の改造兵士改造施設と超移動大要塞の建造し悦の場所は同一の場所にあり既にクロがその場所を特定しているという。
当然……この事実を知ったミルクの反応は。
「ヌーク!やはりあの男の仕業かっ……今すぐに城へ乗り込みヌークの首をぶった切ってくれるわっ!」
あ~っ、やっぱりね。
その反応。
自分の父親の仇が判明すればそうなるわよね。
だけど……すぐに城へヌークと事を構えるのは悪手だと思うわよ。
はい、ミルクの信頼できる相方のローブさん曰く。
「ミルク、今は駄目だ。今ヌークを殺した処で別の大臣が暫定国政の代表になるだけだ」
「だが!」
「しかも今度はヌーク大臣殺しの罪まで背負う羽目になるよ。それでいいの?」
「ううっ」
いくら無茶苦茶な悪政やってるといっても現状ドワーフ国の権力を握ってるのはヌーク率いる暫定国政。
例えヌーク一人倒しても別の誰かが変わりをやるだけ。
その上ミルクの立場が益々悪くなるだけよ。
さて、なら私達はどうすればいいのか……では私の宰相である太助からの提案です。
「こうなったら例の改造兵士ってのを作ってる場所を潰して改造前の人々を助け出そう」
「改造前の人々を?」
「流石に改造された人達は手遅れだけど改造前の人達だったらまだ救済できるでしょう」
「確かにあの化物に改造される前ならなんとか……」
「そして救助した人々の信頼を得て暫定国政打倒の大義名分をミルクが行使するんだ」
「確かにあの人々をミルク王女様が助け出せばあるいは」
「あんな人の道から外れた人体改造なんてドワーフ国の民衆が許す訳がない。その人達を纏めるのがミルク王女様の役目だよ」
まぁ、まずは人体改造される前の人々を救い出すのが先決という訳ね。
そして助け出した人々の心を掴んだらこっちのもの。
人心を失った暫定国政を潰す大義名分が出来るわ。
国は人と人が集まって出来るもの。
その人同士の繋がりを否定して奴隷当然に扱う連中に国家を支配する資格なんかないんだから。
「失礼ながら太助殿。その救助計画……残念ながら今いる人員だけでは実行不可能と思われますが」
「心配しないで下さいボルトさん。既に段取りは出来てますから」
太助は自分の懐からリンクミラーを散り出した。
そして……魔王国の正規軍本部へ連絡。
「ルルさん、聞こえますか」
(はい聞こえます宰相様)
はい、現在太助は魔王国の正規軍総司令官ルルに連絡中。
「現在の状況は昨夜ヒカルちゃんと僕が伝えた通りだ。例の準備はどう?」
(はい!既に航空魔導士部隊及び陸戦部隊の編制はほぼ完了しております。いつでもドワーフ国へ出撃可能です)
「じゃあ、明日の昼頃までに僕が指定した場所へ到着するように手配して」
(了解です宰相様)
ふっふっふっ!
こっちの準備はほぼ完了みたいね。
「ひ、ヒカル……魔王国の正規軍を呼んだの?」
「当然よ!あのバカな暫定国政の連中……仮にも我が魔王国へ喧嘩を売ろうとしてるのよ」
「やはり……戦争になっちゃう訳ね」
「あのヌークというバカに我が魔王国の恐ろしさを徹底的に思い知らせてやるんだから!」
とりあえずわが軍の到着は明日の昼頃。
つまり……決戦は明日という訳ね。
「とにかく……今晩はここでゆっくりしましょう。そして明日の朝に出発よ」
「そうね……ヌークっ、貴様の首は民衆を助けてから必ず……父の仇!」
ミルク……少しは落ち着いたら?
これだと明日の作戦上手くいくかしら?
「そういえば……先程からアンナとファブリーズの姿がないんだけど」
「――――あの二人なら先程からハウスの厨房の中にいる。しかもローブから豚肉を拝借して」
えっ?
あの二人が厨房に?
一体何を作ってるのかしら。
「お待たせしました!」
「ふっふっふっ、出来たぜ!このアンナ特製とんこつラーメンだぁ~っ!」
アンナ……これまた料理を。
しかも……とんこつラーメンだって?
「いやぁファブリーズが簡易的な時間捜査魔法が使えたのは助かった。御蔭でじっくりと濃厚なとんこつスープが出来たぜ」
「しかもチャーシューって肉料理も入れてますから美味しいですよ」
以前アンナが鶏肉をダシにしてラーメン作ったが今度は豚をダシに使ったのか。
どれどれ?
とりあえず食べて見ましょうか。
どれでは皆様ご一緒に……頂きます!
「!?これはっ」
「嘘……なによ美味いじゃないの?」
「美味い!しかもこのチャーシューって奴……本当に我が国の豚肉なのか?」
「アンナさん!貴方は料理の天才です」
恐るべしアンナの料理の腕前。
それにしても豚肉でここまでの代物を作ってくるとはねぇ。
ミルクに至っては豚肉でここまでの料理を作れる事に驚いてるみたい。
「これは……本当に我が国の豚肉がここまで美味くなるものなのか?」
これは相当なカルチャーショックだったみたいで。
そして、昨日に続き我が国とドワーフ国に料理革命をしたアンナはというと?
「太助ちゃ~ん💛美味しい?」
「うん!まさかこの世界でとんこつラーメン食べられるとは思わなかったよ」
「うふふ、今後牛と豚が魔王国で容易に手に入るようになったらまた食べようね💛」
こら~っ!
私を置いてイチャつくんじゃない!
それから私達三人集まって美味しいラーメンを食べてこの場にいる一同は大満足となった。
さて、今夜はもう遅い。
明日は民衆奪回の為に戦いを挑むからおやすみだ。
当然、私は太助とアンナと一緒にベットの中だ。
そこへ、一人の女性が私達の元へ訪ねようとしていた。
「あの、とんこつラーメン……素晴らしかった。是非あれの作り方をアンナ殿に教えてもらおう」
あらら、やって来たのはミルク王女様だ。
どうやらアンナからラーメンの作り方を伝授してもらおうとしてるみたい。
途中、ミルク王女様はファブリーズと偶然出会う。
「おお、右将軍殿か。実は是非ラーメンの作り方を伝授してもらおうとアンナ殿を訪ねてきたのだが」
「えっ……王女様、今はやめておいたほうがいいと思いますが」
「どうゆう事だ?右将軍殿」
「アンナでしたら……あそこの部屋にいますが現在アンナ殿は魔王様と宰相様と一緒ですので……」
「そうか!ではお邪魔するとしよう」
「あ~っ!今は駄目ですよ……あ~あ、私は知りませんよ!」
あらら、ファブリーズの制止を無視してミルク王女様はアンナ達のいる部屋へ。
そして……無神経にも「入るぞ」とドアを開けて部屋の中へ。
そこでミルク王女様が観たものは?
「太助ちゃ~ん💛いいよ……もっと突いてぇ💛」
「あぁ、アンナ姉ちゃんの中って気持ちいいよ💛」
「太助~っ💛次は私だからね……もう私の割れ目が切ないよぉ💛」
ミルクの眼前に私とアンナと太助による酒池肉林の宴が繰り広げられていた。
裸と裸による桃色の狂乱劇場。
これは……乙女であるミルク王女には到底受け入れられない状況であった。
「―――――おい、お前等」
ミルク王女は其の手に愛用の大斧を手に私達へと迫る!
そして、その形相は正に鬼そのものであった。
そのミルクが発する凄まじい殺気に流石に私達三人も気付いた。
「あ、あれ?」
「こ……これはミルクさん、どうしたのですか?」
「ふ、夫婦の交わりを邪魔するとは野暮だな」
驚く私達三人に殺意満々のミルク王女。
怒り心頭のミルクは手にした大斧を振り上げて激昂する!
「お前達~っ!明日は決戦だというのに何やっとるんじゃ~~~っ!」
「「「ひええええええええええええっ!」」」
それからノーズ山脈の中を全裸の三人が大斧を手にした王女様が追いかけ回しているのを目撃した者が多数いたとか。
これを見たファブリーズはこう呟いた。
「だから……やめた方がいいと申したのに。ハァ~っ」
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