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第三章 ドワーフ国騒乱!
その二 いざ、ドワーフ国へ!
しおりを挟むさて、先日の曲者騒動から次の日。
私達魔王国の全幹部による緊急会議が行われていた。
「まさかどワーク国でそのような事が。しかもあの武勇で名高いミルク王女が肉親殺しで指名手配だなんて」
「そうねララ、しかも大胆というか無謀というべきか魔王様へ暗殺を企てた曲者が出たそうで」
ルルにララ、集まってる幹部にこれまでの説明ありがとう。
それにしても本当にいい度胸してたわね。
この無敵の私を暗殺しようとするなんて一億年早いわ!
まぁ、その曲者はアンナが始末してくれたけど……本当に何者の仕業なのかしら。
「ヒカルちゃん、あの曲者がドワーフだった事を考えると今回はドワーフ国の中にいる何者かの仕業だね」
「太助もそう思う?あれってどう考えても私とミルク王女と合わせたくないみたいなのよね」
「そうだね。それに僕もミルク王女が自分の父親を殺害したとは思えないんだ」
「太助」
「僕はそのミルク王女とは直接会った事がないけどヒカルちゃんからの話だと好感の持てる人物だと思うな」
とにかく現状判明しているのはこれだけだ。
現在ドワーフ国の情勢はあまり思わしくない。
そんな中で国王が何者かにより暗殺された。
そしてミルク王女とローブ宰相がその濡れ衣を着せられて現在逃亡中。
とにかく現在ドワーフ国は面倒な事になっているのは間違いない。
それから私達幹部一同は色々と議論を続けたが……そんな中で官僚長であるミクシィが提案を出す。
「魔王様、このままでは埒があきません。ここは調査の為にこの中の誰かをドワーフ国へ派遣してはどうでしょうか」
おっ、それはいいわね。
正直クロを始めとする諜報員だけでは限界があるしね。
場合によってはドワーフ国へ武力介入する事になるかも知れないし。
「私としては右将軍のファブリーズを隊長にした少数精鋭を送り込んだほうがいいと思います」
えっ?
ファブリーズをドワーフ国へ?
確かにファブリーズがひと哀れすればドワーフ国を殲滅する事もできるでようけど……ファブリーズがやると即刻武力介入しそうで不安になるわ。
「却下!」
「えっ~っ、宰相様どうしてです」
「ファブリーズにやらせたらドワーフ国が焼け野原にしかねないよ。そうなったら今後ドワーフ国との友好関係が崩れる恐れがあるよ」
「ですが宰相様、既にドワーフ国の大使館はもぬけの殻、もはやドワーフ国が我が国と友好関係を保つつもりはないと考えられます」
そうなのよね。
あの曲者の一件の直後、ララが義勇兵引き連れてドワーフ国の大使館へ立ち入ったけど……誰もいないもぬけの殻だったわ。
これは……あのど話布告の暫定国政の奴等、私達魔王国と事を構えるつもりみたい。
幸い現在人間国はこの前の一件で無茶苦茶にしてやったから魔王国を攻め込む余力はないのが救いね。
だけど……私としてはやっぱりドワーフ国とは事を構えたくないのが本音なのよ。
ミルク王女の事もあるしね。
「そこで……僕に提案があるんだ」
「太助、何か考えがあるの?」
「今回のドワーフ国との戦争を回避する手段はただ一つ!行方不明になっているミルク王女を探し出して……彼女の父親殺しの濡れ衣を晴らした上で王位についてもらう事だよ」
「そうか!だけど当の彼女は?」
「クロ、確か彼女は反暫定国政派に匿われていると言ってたね。まずはドワーフ国へ行こうと思うんだ」
えっ、太助がドワーフ国へ?
そ、そんなの無茶だよ。
太助は頭脳が凄いけど戦闘能力は皆無に等しいし魔法もテレオートしか使えないじゃないの!
「ヒカルちゃん、流石に一人では行かないよ」
「えっ……そう?」
まぁ、流石に物騒な事になってるドワーフ国へ一人で行くのは死にに行くようなもの。
流石に護衛は同行させるか。
「じゃあ……悪いけどアンナ姉ちゃん、それにファブリーズに僕の護衛をお願いしようかな」
「任せて太助ちゃん!」
「宰相様の身柄はこのファブリーズが必ずお守りします」
確かにこれは最強の護衛ね。
間違いなく我が魔王国最強の将軍二人んら安心して太助を任せられるわ。
「それからクロも一緒に同行して欲しい。反暫定国政派とも接触するには君の助けが必要だ」
「――――御意!」
そしてクロも今度の諜報員として同行か。
確かに現場の情報集めにはクロの助けが必要ね。
だけど……できれば私も行きたかったな。
何しろ私は魔王国の魔王。
軽率にこの国を離れる訳にはいかないもの。
こればかりは仕方がないわ。
「じゃあ……太助、道中気を付けてね。アンナ、ファブリーズ、クロ、太助を頼んだ……って」
「ヒカルちゃん!」
あれ?
太助ったら私の手を握りしめてどうしたの?
しかも私を真剣な目で見てからに。
「ヒカルちゃん、一緒にドワーフ国へ行こう!」
「ちょっと待って!私はここに残って……」
「友達を助けたいんでしょう!だから一緒に行こうよ」
太助……いいの?
一緒について行っても。
「皆!僕と魔王はドワーフ国の今後の国交を守る為にドワーフ国へ行ってくるよ。だから……留守の間は魔王国は頼むよ!」
太助のその言葉に少しの間、ルルとララ、ミクシィ、パンジーを始めとする幹部達は驚く。
しかし……そこは私の親愛なる臣下達だっ!
「お任せ下さいっ、このミクシィ魔王様の留守の間……我が国の国民を困らせはしません!」
「魔王様に宰相様!留守中の国家防衛はこのルルとララにお任せください」
「もし、我が国に何者かが攻め込んでも必ず返り討ちにしてご覧に入れます」
ミクシィが……ルルとララが……そして他の幹部や官僚達が私達を激励してくれている。
こうなったら……もうやってやるしかないじゃないの!
「みんな……ありがとう」
「ヒカルちゃん、少しは自分の臣下を信じてあげたらどうだい」
「太助」
「一緒にドワーフ国へ行こう。友達を助けに!」
よ~し!
待っていてミルク。
私と太助が絶対にミルクの濡れ衣を晴らしてドワーフ国を救うんだから。
「貴方達!私は太助と一緒にドワーフ国を救済してくるわ。留守中は頼むわよ」
「「「はっ!魔王様、宰相様っ」」」
これで決まりね!
さ~て、ドワーフ国で鬼が出るか蛇が出るか。
私達五人を待ち受けるのは何かしら?
では行くわよ、アンナ!ファブリーズ!クロ!そして太助。
いざ出発よ!陰謀渦巻くドワーフ国へ!
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