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第二章 人間国の勇者と二人目の嫁
その九 激突!無敵の魔王 対 不死身の勇者
しおりを挟む「もうすぐサウス高原ね」
私はワイバーンに乗り上空から決闘の舞台であるサウス高原へ向かっていた。
これは単純にファブリーズの敵討ちだけではない。
この決闘には魔王国と人間国の威信がかかっているのだ。
そして……サウス高原へ到着した時、私は一人の女の姿を見る。
間違いない。
彼女が勇者だ。
私はワイバーンを地上に降ろし、いざ行かん!
ここからは歩きだ。
「こんにちは」
「お初にてお目にかかる……魔王」
私は初対面の勇者に挨拶をする。
それにしても勇者の恰好……悪趣味だと思うけど。
黒い甲冑に漆黒の剣。
とても人間国の趣味とは思えないわね。
「私は魔王国の魔王ヒカル・グレーズよ」
「人間国を担う勇者・紫陽花アンナだ。今宵は私からの決闘に応じてくれて心から感謝する」
私は試しに彼女の説得を試みる。
どうも見るからに悪い人間には思えないのだ。
「ねぇ勇者さん。人間国ってこの大陸からしたらロクでもない連中よ。特にあの皇帝はね」
「何かと思えば私を呼び寄せた皇帝の悪口か。それがどうかしたのか」
「貴方はその最低な皇帝に利用されてるだけよ。だからあんな皇帝に手を貸すのはやめた方がいいわよ」
「くどい」
「えっ?」
「私は……昔から自分より強い奴を求めていた。そしてこの世界に呼び寄せられたのも何かの縁と感じている」
「こりゃとんだバトルマニアみたいね」
「私を従わせたいのなら私を倒してみるがいい……それが出来たらの話だがな」
あ~っ!
結局戦うしかないの?
そうこうしている内に太陽は真上に……時刻は正午だ!
「では始めようか、魔王!剣を抜け」
「はぁぁぁぁぁっ、やるしかないのね」
という訳で私と勇者の決闘がその火蓋を切る!
「では行くぞ!」
勇者アンナがその手に黒い剣を握りしめ私を切り裂こうと襲い掛かる!
だけど、不本意だけど太助の指示なので……こうしちゃいましょう!
テレポート
「な、なにっ!」
はい、勇者アンナの真下に出来たとてつもなく大きな落とし穴。
そしてそのまま勇者アンナはボッシュートとばかりに穴の底まで落ちていく!
そこへ再び私は魔王を詠唱!
テレポート
はい、先程出来た穴は即刻再び塞がりましたとさ!
タネを明かせば私は勇者アンナの真下の土をごっそりテレポートでくり抜いて巨大な落とし穴を作ったの。
そして勇者アンナがその落とし穴の底まで落ちたのを確認した後で再びテレポートでくり抜いて別の場所へ移動させていた土を元に戻したの。
まぁ、さしずめ勇者の生き埋めって訳ね。
しかも一キロメートルぐらいまで深くしたから普通なら絶対にこれで終わりでしょう。
「後はここに勇者の墓でも立てて……ん?何か地響きがするなぁ」
突如地の底から何かが揺れる音が聞こえるけど。
すると……突如地面から人の手が飛び出した!
あっ……まさか?
「貴様~~っ!真面目に戦う気があるのかぁ~っ!」
「あっ、地の底から勇者が沸いて出てきた」
うわぁ~っ。
これは結構しぶとそうね。
それにしても良くもまぁ地の底から這いあがってきたものね……この勇者。
「さぁ、仕切り直しだっ!今度こそ勝負だ」
あらあら勇者さん凝りもせず黒い剣を持ってまた襲ってきたわ。
という訳で……次の手!
テレポート
はい、その瞬間ウザい勇者の姿はいなくなった。
さて……私は今度勇者をどうしちゃったのでしょうか?
「流石に結構高く飛ばしたから後少しは落ちないか」
そうこうしていいる内に遥か上空から何かが落ちてくるのを確認。
私は万が一の事を関上げてこの場から少し離れる。
そして、サウス高原に遥か上空から隕石らしいのが落下して地面へ激突!
その落下地点にはそれなりに大きなクレーターが。
そしてそのクレーターの中心には……ピクピクしている勇者様のお姿がありました💛
「うわぁ……成層圏まで上空へテレポートしてやったのにまだ生きてるわ。なんて頑丈な勇者なの?」
「またしても……貴様それでも魔王国の魔王か!正々堂々と勝負しろ!!」
ま~た黒い剣を握りしめて襲ってくる勇者様。
だけど……これでこの頑丈極まりない勇者の特徴がわかっちゃったな。
コイツは典型的な脳筋で魔法は一切使えないみたいね。
現に先程成層圏まで高くテレポートで飛ばした時に魔法が使えるなら飛行魔法で対応できる筈。
ならば……バカみたいに直接対決なんてナンセンスだわ。
これは明らかに太助の言い分が正しかった訳ですねぇ。
何しろ正面勝負=完全敗北ですからねぇ。
「そうだ、パンジーからお弁当もらってたんだ。この辺で一休みしようかな」
「何をブツブツ言っている!勝負だっ」
あ~か。
貴方がただの脳筋だと判った以上マトモに相手にするのはバカらしいわ。
こうなったらコイツの体力が底をつくまで相手にしないのが一番よ。
まずはお弁当食べたいから……こうするか!
ハイパー・デバフ
「!?何だっ、う……動きが鈍い」
「はいはい!暫く一人で頑張ってね。さ~て、お弁当は何かな?」
もうお気付きかと思うけど現在この脳筋勇者のステータスはHPを除いて全てゼロ!
全部の能力がオールゼロだから当然全く動けないし、その気になれば私が魔剣で串刺しにして息の目止めるのも簡単!
だけど私、この勇者何処か憎めないんだよなぁ。
という訳でハイパー・デバフの効果が切れるまで約一時間ぐらい。
という訳で今から楽しくお弁当を食べましょうか!
「それでは……頂きま~す!」
さて、一方……魔王城では?
「ヒカルちゃん大丈夫かな?真っ向勝負は絶対にやらないと約束したけど」
「魔王様はあれでも強さと知性を併せ持ったお方。恐らく人間国の勇者には遅れはとらないでしょう」
「御免ねパンジーさん。だけどやっぱり心配だな」
あちゃ~っ。
太助とパンジーが私の事を心配してるみたい。
まぁ無理もないわね。
そこへルルが太助とパンジーの元へ駈け込んできた!
「宰相様、パンジー様!」
「どうしたのルル」
「ファブリーズさんが……意識を取り戻しました。もう大丈夫だそうです」
えっ。ファブリーズの意識が戻ったの?
それは朗報だわ。
太助とパンジーはルルに連れられて一路病室へ。
「ファブリーズさん!」
「……宰相様ですか」
確かにファブリーズの意識は戻ってるけど、まだベットから立ち上がる事はできないみたい。
「宰相様申し訳ございません。不覚にもこのファブリーズ……勇者相手に不覚を取りました」
「いいよ、ルルから聞いたけど一人だけで一万の兵士を殲滅したのは凄いと思うよ。結局それが大勢を喫したと聞くし」
「ありがとうございます宰相様。処で魔王様は何処に」
「ヒカルちゃんならその勇者から決闘を申し込まれて……今戦ってるよ」
私と勇者との決闘の事を聞きファブリーズは立ち上がろうとするが……駄目!まだ安静にしないと。
「駄目です!いくら魔王様でも一対一であの勇者アンナと戦うなんて無謀です!」
「えっ……」
あれ?
太助……一瞬完全に動きが止まったみたい。
そして太助はファブリーズの方を掴んで問い詰めてきた!
「ファブリーズさん!もしかして勇者の名前は……紫陽花アンナと言ってなかった?」
「は、はい……確かに彼女はそう名乗っていましたが」
太助はファブリーズの肩を放して暫く呆然としていた。
そして太助はこう呟く。
「アンナ姉ちゃん……まさか」
それから太助は意を決してルルへ命じる!
「ルルさん、ワイバーンを用意して!」
「えっ、宰相様何処へ行かれるのですか?」
「サウス高原だよ」
「えっ!」
「僕なら……あの勇者を説得できるかも知れない。もし勇者が僕の知っている人物なら!」
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