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第二章 人間国の勇者と二人目の嫁
その六 魔法飛行師団とファブリーズ
しおりを挟む迫りくる人間国の軍勢へ上空から急襲するワイバーンの群れ。
だが対する人間国も弓兵を動員して迫るワイバーン達を撃ち落とさんと矢を向ける。
だが、しかし!
そんな状況にルルが号令!
「航空魔導士部隊出撃!ワイバーンは敵弓兵の射程県外で待機」
すると、ワイバーンの上で騎乗していた多数の義勇兵魔導士が次々と飛び降りる。
そしてワイバーンから上空から降りた魔導士達は……大空を翔るように次々と飛び立った!
「なにっ!魔族どもが……空を飛んでいる」
これには人間国の兵士達も浮足を立てている。
しかし、そこは人間国の将……すぐに飛来してくる魔導士達に向けて弓と魔法による攻撃開始を命じた。
「敵の攻撃が来るぞ!総員常時回避行動を行いながら……攻撃開始!」
再びルルからの号令が響き渡る。
飛行している魔導士達は急旋回などの回避行動をしながら地上の敵兵士へ魔法攻撃を開始!
「ぐああああああああっ!」
「うわあああああっ」
「駄目だ!奴等は我等の射程距離外から攻撃してくるぞ」
上空からの一方的な魔導士による総攻撃。
これには流石に人間国の兵士達に打つ手はない。
しかし、人間国も全く抵抗ができてない訳ではなく精鋭といえる弓兵が飛び交う魔導士を数名だがその矢で打ち抜く!
普通の兵士の弓兵なら射程外だが、やはりその中にいる精鋭といえる者には辛うじてだが反撃してくる!
「流石に無傷という訳にはいかないか。負傷した者は無理せずワイバーンへ戻れ!自力で無理なら誰かに助けてもらえ」
運悪く敵弓兵に撃たれた魔導士は無理をせずに上空で待機している母艦ならぬワイバーンへ戻っていく。
だが、それでも上空からの一方的な高位魔法攻撃は人間国兵士の数を著しく減らしていく。
そして三万いた人間国の兵士がほぼ三分の一になった辺りでルルはそろそろ潮時かと察する。
「そろそろ魔導士部隊の魔力も無くなる頃だ。航空魔導士部隊……総員退却せよ」
ルルからの号令で航空魔導士部隊は上空で待機しているワイバーン達の元へ。
「ルル様、航空魔導士部隊の退却が官僚しました」
「では、これより地上部隊による敵残存兵力殲滅を開始する!総員突撃準備」
流石はルル。
あっという間に敵兵の三分の二を蹴散らしちゃっtのだから。
さぁ残る敵兵は約一万!
「待って……ルル」
「えっ?どうしたのファブリーズさん」
あれ?
ルルの前にファブリーズが。
何か言いたい事があるのかな。
「敵兵一万ですか……ルルさん、ララさん、ここは私に任せてくれませんか?」
「ど、どうゆう事ですか」
「敵兵一万なら……ウォーキングアップには丁度いいと思いまして」
「えっ?あの一万の軍勢をたった一人でぶっ倒すつもりですか」
うわぁ。
ファブリーズの奴……不気味にニヤリと笑ってるわ。
こりゃ本気だわ。
「とにかくここは私にお任せくださいな。それとも何ですか?私があんな烏合の衆に後れを取るとでも」
「い……いえ」
「これは止めても無駄ですね。くれぐれも興産した人の命を奪うような事はなさらないようにお願いします」
「あら?あの連中……降参する前に地獄へ落ちてもらうつもりですが?」
「被害状況はどうなっている?」
「死傷者多数確認されております。また負傷者の達体作業も思うように進んでおりません」
「ぐぬぬ……」
あ~ら!
一方の人間国陣営は苦しいみたいで。
そこへ勇者が軍の大将へ一言。
「私としても魔王国を侮っていた。魔王国はあのような統制の取れた軍があるとは聞いてなかったぞ」
「どうも……近頃奴等に知略に優れた者が現れたとか。恐らく今度の敵の戦略も奴の仕業ではと」
「ほう、敵にそんな存在が。是非私も合ってみたいものだな」
やべ!
どうも人間国も太助の存在を薄々察しているみたい。
そこへ最悪の伝令が。
「報告いたします!敵の進撃を確認。敵の数は……一人です!」
「なんだと!まさか魔王か?」
「いえ……どうやら別の魔族です。特徴は赤い帽子に赤い正装福姿をしていました。しかも女です」
「魔王ではないなら……身の程知らずめっ、残る兵力で敵を排除せよ」
あ~あ!
よせばいいのにファブリーズ相手に一万の軍勢とは。
正直無駄死にするぞ~っ!
「あらあら……これは大勢のお客様がいらしたみたいですね」
そうこうしてる内にファブリーズは人間国の軍勢一万に完全に包囲されちゃった。
しっかし党のファブリーズはニヤニヤと笑いながら指をボキボキ鳴らしているわ。
「では……まず何方から地獄へ参られますか?」
ファブリーズはクイクイと包囲している兵士達を挑発。
その様子を遠くから見ているルルとララ……そして義勇兵の地上部隊。
無論ルルとララが心配してるのは……無謀にもファブリーズに戦いを挑む人間達であるが。
「なめやがって!くたばれ魔族の小娘」
そんな中、一人の兵士がその巨大なハンマーでファブリーズをぶん殴ろうと襲い掛かってきた。
だが……。
兵士が手にしていたハンマーは粉々に砕け散り……兵士の顔面は跡形無く吹き飛ばされた。
そして、ファブリーズはその頬についた返り血を自分の舌でなめる。
「あら、あっけないわね。これでは税金上げる価値もないわね」
この場にいる兵士達は一瞬眼前にいる赤い服装の少女に恐怖を覚える。
だが……それでも彼等は無謀にもファブリーズへ一斉に襲い掛かる!
こうなると……後は一方的であった。
「うわぁ~っ」
「もう……これは一方的な虐殺ですねルル。これを宰相様が知ったら後悔するでしょうね」
遠くでルルとララが見守る中で情け無用のファブリーズによる虐殺ショータイムが繰り広げられていた。
ある兵士は彼女の鋭い手刀で真っ二つにされ、またある兵士はファブリーズの華麗な回し蹴りで複数名の兵士の首が刎ねられた。
更にある兵士は顔を握りつぶされた上で近くの兵士へ投げつけた。
当然その遺体を投げられた者たちはその巻き添えでぶっ飛ばされて倒された。
中には降参して逃げようとした兵士をも捕まえて、その心臓をえぐり取って絶命させた。
それから約三十分後。
約一万人いた人間国の兵士は……命乞いすら許されず、一人の魔族少女により全員地獄へ落された。
その少女・ファブリーズの周囲には一万ぐらいの人間の遺体が無残に転がっていた。
「は、はは……」
「ルル、彼女が魔王じゃなくて良かったですね。あの人は情け容赦が無さすぎます」
あの一人の魔族少女による一方的な殺戮劇にルルとララを始めとする魔王国側は唖然茫然になっていた。
正に悪鬼羅刹という言葉が相応しい殺戮劇であった。
そりゃ私も攻めてきた軍勢相手に殺す事もあるけど……繊維を失った者や降参して逃げた者は殺さないわよ。
太助……私が彼女を官僚長にしたのは戦場に行かせたらこうなるのがわかってたからなのよ。
「少しはスッキリしたわ……市役所を壊したからこうなるのよ」
ファブリーズったら懐からエリクサーを取り出してラッパ飲み。
気力と体力を全快して帰ろうとした時であった。
「待て!」
「あれ?まだ地獄へ落ちたい人がいたの」
ファブリーズを呼び止めたのは……金色の甲冑に巨大な剣を携えた少女の姿があった。
その少女の体から光り輝くオーラが放出されている。
ファブリーズも「こいつ出来る」と察したのか少女に対して臨戦態勢をとる。
「勇者か」
「いかにも……魔族の戦士よ、其方の名は?」
少女はファブリーズに名を訪ねる。
ファブリーズはその問いに答える。
「魔王国官僚長・ファブリーズ。人間国の勇者……お前も名を名乗るがいい」
「アンナ……紫陽花アンナだ」
紫陽花アンナ。
それが勇者である彼女の名前であった。
そして、互いに名を名乗ったからには……もう言葉はいらない。
後はただ戦うのみである。
そして、何故かファブリーズと紫陽花アンナの目は笑っていた。
今、互いに強敵(とも)と認め合った者同士による死闘が始まる!
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