太助と魔王

温水康弘

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第一幕 二人の出会い・そしてすべての始まり

その十三 戦勝会・そして魔王国のこれから

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 あの大勝利から数時間後。
 もう夜も遅いのに我が国・魔王国はもうお祭りそのものだ。
 そりゃそうね。
 あの逆賊クリームをぶっ倒して拉致されていた男達を見事奪い返したのだから。

「心配をかけたな」
「本当によかったわ……おかえりなさい貴方」
「パパ!お帰り」
「今まで済まなかったな」

 現在救助した男達はすっかり元気を取り戻し、それぞれの家族や恋人との再会を果たして喜んでいる。
 さぁ今夜はお祭りだ。
 戦勝会だっ。

「太助、それにパンジー!」
「はい魔王様、今夜は城の酒蔵も食糧庫も解放して楽しくやりましょう」
「僕もいいんじゃないかな。もっとも明日からは大変になるよ!国の男達が復帰したから人員の再編成や戸籍整理とか……って」

 私は明日の事心配してる太助の口を塞ぐ。

「明日の事は明日!今はこの大勝利を一緒に祝いましょう太助」

 そうよ!
 今夜は楽しい夜にしましょう。
 さぁ酒盛りだっ!みんな~っ、今夜は一緒に飲も~うっ。

 それから国を挙げての戦勝会がいざ開幕!
 国中の料理人がその腕を振るって料理のフルコース!
 そしてグラスというグラスには国の特産品であるワインが入り皆で一杯!
 もう深夜だというのに城下町は昼間のような明るさだ。
 私はそんな賑わう人々の中で楽しく料理と酒を堪能していた。
 何?子供が酒を飲むなって。
 今夜ぐらい堅い事言わないの!

「あれ?太助は何処」

 私は賑わう人々の中に太助の姿がない事に気付く。
 私はリンクミラーの機能の一つである逆探知で太助の居場所を探る。

「いた」

 太助は……賑やかな城下町とは少し離れた場所にいた。
 私はすぐに太助の元へ。

「太助」
「ヒカルちゃん」

 それから暫くの間、私と太助は二人きりで賑わう城下町を眺めていた。

「ありがとう」
「えっ?」
「太助がいなかったら……今私達魔族はこうして笑っていなかった」

 本当にそうだ。
 私が太助を召喚してクロームを倒す戦略を考えてくれなかったら今頃魔王国はどうなっていたか。
 太助がこの国の宰相になってくれて本当によかった。

「本当にいい国だね」
「うん」
「国民は素直だし誰もが頼もしい。僕のいた世界の人間とはえらい違いだよ」
「太助のいた世界ってどうゆう場所だったの」
「当たり前の事が癒えない世界だよ。だから僕は元いた世界から追い出されたんだ」
「太助」

 どうも太助のいた世界はあまりいい印象がしない世界だったようだ。
 私は太助の辛そうな表情を見てこれ以上詮索するのをやめた。
 折角のお祭りに辛気臭いのは似合わないからね。

「太助!一緒に飲もう」
「えっ、それお酒でしょう。子供がお酒なんて飲んじゃ駄目なんだよ」
「いいじゃないの。折角のお祭りなんだし」

 私は一本の赤ワインを手にして太助に一緒に飲もうと誘う。
 けど太助は酒を飲むのは抵抗があるみたい。
 なら仕方がないわね。

「なら……私が飲ませてあげる!」
「えっ!」

 私は赤ワインの便の封を開けて、ラッパ飲みで口中に含ませる。
 そして……そのまま太助へ口づけ!
 そう、このまま私は太助へ赤ワインを口移しで飲ませてあげちゃった💛

「どう?お酒っていいものでしょう」
「……ヒック!」
「あははは!太助ったら顔が真っ赤だよ」

 太助ったらお酒は初めて?
 顔が真っ赤になる辺り太助って酒に免疫がないのかな?
 それから太助はそのまま倒れちゃった。
 本当に仕様がないわね💛



 それから数時間後。



「あっ気が付いた」
「う、うう……ん」

 私は太助が気を失っている間、私が膝枕で寝かせてあげていた。
 太助はその状況に驚くけど……すぐに落ち着いたようだ。

「ヒカルちゃん……もう暫くこうしていていい?」
「いいよ」

 私と太助は心地よい夜の風を受けなgら二人きりで静かな夜を過ごしていた。
 だけど……その頃、城下町では物凄い事が起こっていた。

「あぁ、ロイド!私の雌蕊にその大きな雄蕊を入れて!」
「ずるいわルル、ロイドの雄蕊は私が入れるの」

 おや?
 ルルとララが一人の男を全裸にしてエッチのおねだり。
 ちなみにこのロイドという男はルルとララの行方不明になっていた夫である。
 そしてルルとララは自分の衣服を脱ぎ去り全裸で亭主のロイドへ性交を迫る。
 言い忘れていたが魔王国は一夫多妻制である。

 そしてこの乱交行為に及んでいるのはルルとララとその主人だけではなかった。
 ふと城下町を見渡せば久々に男が戻ってきたのか完全に女の方が盛っており、久々の行為をこれぞとばかりに往来を気にせずにおっぱじめていた。
 本当に国を挙げての大乱交パーティーの始まりであった。

 魔王国中に響き渡る喘ぎ声と大韓機。
 もう完全に獣が発情期による交尾に勤める一時であった。

 この大乱交に関わっていないのは怠けずに国の警備をしている一部の義勇兵達と諜報員のクロ。
 そして、城下町から離れて静かなひと時を過ごしている私と太助だけであった。

 はぁ、個人的には太助と交わりたかったけど……今はそうゆう雰囲気じゃないしね。
 あ~あ!私が大人になるのはまだ当分先かな?




「明日は忙しくなるから……今はおやすみ、太助」






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