13 / 99
第一幕 二人の出会い・そしてすべての始まり
その十二 やっぱり私って無敵なんだから!
しおりを挟む「くたばれ!」
先に仕掛けたのはクロームの方。
無数のマジックミサイルが私を問答無用に襲う!
そして全てのマジックミサイルは私に命中した。
「はっはっはっ!あっけない最期だったな」
本当に汚い高笑いね。
だけど……そんなの私には全く通用しないわよ!
「な~んだ、そんなものなの?」
「!?」
はい残念でした。
そ~んな弱い魔法じゃあ私にはかすり傷すら無理ね。
じゃあ……このバカなオッサンにお手本を見せてあげようかしら?
「オッサン、これがマジックミサイルよ」
「なっ、何ぃぃぃぃぃっ」
私は自分の頭上に一発のマジックミサイルを錬成した。
しかも……そのサイズは超特大級よ!
私はその超特大マジックミサイルをクロームに向けて……発射!
「うわあああああああああああああああっ」
その超特大マジックミサイルは見事クロームに命中!
そして巨大な火柱を出しながら見事に大爆発だぁ!
やっぱり魔法攻撃は原則一撃必殺!
ちまちまと数で撃つなんて豪快さが足りないわ。
「お、己っ……」
「あら、結構しぶといわね」
あらら、これ一発でおしまいにしようかと思ったのに害虫並みにしぶといわね。
「クソガキでも一応魔王という訳か……ならばこの剣ならどうだ!」
クロームは一本の剣を握り構えた。
あれ?あいつが持ってる剣って何処かで見た事が。
「これぞ真の魔王が持つ魔剣・デモンソードだ。今から真の魔王である私が偽りのクソガキを切り刻んでやる!」
あっ、思い出した。
確かあの剣って歴代魔王が代々引き継ぐ魔剣・デモンソード。
私が魔王になった直後に無くなった筈だけど……そっか、コイツがくすねてたのか。
「さぁ、デモンソードよ!あのクソガキを倒す為に力を貸してくれっ」
「オッサン、本当におめでたい頭してるわね。大体その魔剣はね……」
「今度こそくたばれ!このクソガキ」
クロームは手にしたデモンソードで私に切りかかる。
そして、その刃は私の頭部にあたる。
だが!
「!?」
「あ~れ?その剣で私を切るんじゃなかったの」
「何故だっ!どうして切れない」
そりゃ切れる訳がない。
そのデモンソードは確かに魔王の証みたいなものだけど……あくまでそれは式典用で実践向けじゃないのよね。
第一、私を始め歴代魔王はそ~んななまくら魔剣なんか使うまでもなく無茶苦茶強かったのよ!
それに今の魔法技術ならそのデモンソードなんかよりも切れ味抜群の魔剣なんかゴロゴロ量産できるのよ。
だから……御免なさい、歴代の魔王様。
こんな見せかけの証……粉々にしま~す!
「うりゃっ!」
「なぁぁぁぁっ!!」
私はデモンソードを自らの拳で叩き壊してやった。
その強烈な鉄拳により粉々に砕け散る見せかけの魔王の証。
「お前……何を考えている!魔王の証をお前は壊したんだぞ!!」
「ふん、そんな偽りの証なんか今のご時世では必要無いわ。そんな骨董品さっさと処分するのが一番よ」
「クソガキ……それは本気か」
そりゃ本気よ。
見せかけの証振りかざして威厳を示すなんて国を治めるには全く意味がないわ。
国に必要なのは人でり国民だ。
そう、それを私を慕う国民と……私と対等の友達が教えてくれた。
「なんだ……私をそんな目で見るな」
「寂しい人ね。自分だけ良ければいい奴なんて……誰も相手にする訳がないわ」
「何だと!」
もう、このクズの顔も見飽きたわ。
何もかも力だけで誰かを従わせようだなんてバカ丸出しじゃないの。
正直、私はこんあ奴にはなりたくないな。
「クソガキ……誰が何と言おうが私こそが真の魔王なのだ!故に私はお前を殺す」
あら、まだそんな元気があるの?
ん?
クロームが今手にしてる薬瓶は?
「できればこれだけは使いたくなかった……だが私が真の魔王だと証明するにはお前を排除するしかない」
クロームは薬瓶に入っていた液体を一気に飲み干した。
すると……クロームの体に異変が。
体は数倍へ巨大化し、魔族特融の褐色肌は漆黒の肌へと変貌していく。
「まさか!それは禁忌のダークエリクサーを使ったの」
ダークエリクサー。
それは今では禁忌とされている技術で作られた魔法強化薬。
ダークエリクサーを飲むと著しく身体能力と魔力が工場するが、その反面理性は失われただ破壊の限りを尽くすようになる。
クローム、貴方一体何処でそんな禁忌の薬を手に入れたの。
「うがあああああああああああああああああああああああああああっ!」
駄目だ。
もう完全に理性を失っている。
こうなると薬の効力が切れるまでただ暴走して回るバーサーカーになる。
その凶暴化したクロームは私を視線に捉えた。
間違いなく最初のターゲットは私だ。
「掛かって来なさい。今から貴方の五体をバラバラにしてあげるわ」
「うがあああああああああああああああああああああああああああっ」
ただの暴徒と化したクローム。
クロームはその巨大な拳で私へ殴りかかる。
だけど……遅いな。
私は軽くクロームの拳を回避する。
するとクロームの拳は地面に当たり……地面には半径三十メートルぐらいのクレーターが出来た。
ふ~ん、威力はそれなりにあるんだ。
「うがあああああああああああああああああああああああああああっ」
「もう……その醜い面は見飽きた。そろそろ始末するか」
私は、全速力で加速!
クロームの正面へ急接近した直後に……クロームの顔面に右ストレート!
するとクロームは軽~く三キロメートルはぶっ飛んだ。
しかもクロームの顔面は原型を留めていないぐらいに変形しているオマケ付き。
しっかし、生命力だけは一人前なのかコイツまだ立ち上がってくる。
もう面倒だ。
跡形もなく消してしまおう。
私は静かに魔法の詠唱を始める。
我は今望む。
我の前にいる者を闇の光の粒へ消し去り給え。
出でよ闇夜の鉄槌よ!
すると、クロームの頭上に黒く光るエネルギーの塊が出現した。
それを確認した私は更に唱える。
さぁ、今こそ救えぬその体と魂を闇の光にして消し去り給え!
全ては闇の神の祝福と共に!
ギガ・イレース
私が全ての詠唱を終えた時……逆賊クリームの終焉が始まった。
黒く光るエネルギーの塊はゆっくりとクリームへ落ちていく。
そしてクロームがそのエネルギーの塊に触れた瞬間、徐々に黒い光の粒となって消滅していく。
まずは頭部、続いて胴体と腕部……そして最後は脚部が黒い光の粒となって分解消滅していく。
そして……クロームと呼ばれた男の存在は黒い光の粒となって完全に消滅した。
最後はクロームのいた場所から半径百メートルのクレーターを残して黒い光のエネルギーの塊は消滅した。
私は事の終わりを確信した。
「終わったみたいだねヒカルちゃん」
「太助」
全てが終わり離れて待機していた太助と義勇兵魔導士達が私の元へ駆け寄ってきた。
私は駆け寄ってきた太助に抱き着いた。
「クロームは?」
「倒したわ。やっぱり私って無敵なんだぞ~っ」
そこへ私のリンクミラーから着信音。
どうもルルからだ。
(魔王様!こちらの作戦は終了しました。作戦は大成功です)
「そう、こちらも今回の首謀者を倒したわ。私達の完全勝利よ!」
(現在救助した男達の治療を急いでいます。間もなく殆どの人達の意識が戻ると思われます)
そうか。
全て上手くいったか。
そんな私に太助はこう告げる。
「さぁ、お城へ帰ろう。皆が待ってるよ」
「そうね」
私は太助から販れ、この場にいる義勇兵達に襟を正して号令を発する!
「総員作戦終了だ!これより帰還する。総員前進!」
「「「はっ!」」」
さぁ、帰ろう太助。
私達の魔王城へ!
勝利の凱旋よ。
そして、その凱旋の中で私は太助の手を繋いでいた。
本当に太助のおかげだよ!
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)


冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。


あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる