小説

ショートショート その二

思い遣る気持ちがあるからと言っても、優しい訳ではない。

少年には、優しい気持ちから少女へ思い遣りを示した訳ではない。

優しいと自分では思う少年。

しかし、それは優しい行為ではなく、親から言われたミッションの実行なだけだ。

実践する機会があったのでしてみただけのこと。
しかし、それをも優しさだと捉える程、少年はまた未熟だった。

少女はそれを見抜くのだが、何も言わない。
なぜなら、相手がそれを知らないし、言った所でまるで理解できないだろうことは予想ができたからだ。

少女はただでさえ余裕が少なく、相手を理解させる熱意までは有していなかった。

そうすると誤解が生まれる。
少年は満足だが、少女には不満が残った。
しかしそれに、少年の方は気付かない。

少女は慰められる立場であったが、逆に少年を慰めなくてはならなかったので、寧ろ精神力を消耗した。

男女間で誤謬がある場合、男性の気遣いの間違いや無さからその誤解や行き違いは生まれる。
それを解消するのは男性自身である。
そのことが、その時少女の得た教訓なのだった。

しかし、この問題点は解決が難しいと、少女は大人になってからも思うのだった。