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第一章 人造乙女殺害事件
2.ビスクドール
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突如、現れた少女のすがたを目にとめて、あきらは息を飲む。
どうして、こんな時間に、こんなところに。そう、声を発しそうになるのをすんでのところで殺す。聡明な少女はあきらの微細な変化を感じとったようで、目が合うと優しく微笑んだ。
少女が美術室へと立ち入ると、まるでこの油臭い空間が神聖な教会にでも様変わりしたようだった。礼拝の場でもないのに、「部活動中に申し訳ありません」と一礼をしてから入室する。折り目ただしい所作だ。
要件は人探しらしい。その証拠に、部員たちのアトリエの奥に探し求めた相手をみつけたようだ。彼女なりに精いっぱい顔をしかめて、上履きの靴音をカツカツと尖らせる。
「もう。こんなところにいたのね! よその部活の部室へお邪魔してるなんて、聞いてないわ」
セーラー服の襟元に垂れた毛先がふんわりと揺れる。やわらかそうなボブヘアが甘い顔立ちの印象をことさらに引き立たていて、相手を叱責するにしては覇気が欠けていた。
それでも、あきらにはわかる。
彼女――名鳥光梨が心底腹を立てていることは。
「げ、名鳥先輩……。べつに息抜きですって。休憩がてら、芸術に触れたくなったんです」
「例のジェスターさま? それは吹奏楽部のメンバーとして必要なことで、練習を抜け出してまでやるべき行為なのかな」
至極まっとうな意見だ。だが、正論はときに人を傷つける。案の定、女生徒の表情がこわばる。
「……はい。部活に戻ります。さっさと戻ればいいんでしょ」
スマートフォンを胸ポケットに収納し、一年の吹奏楽部員は踵を返した。立ち去り際に、彼女がボソリと落としたつぶやきをあきらは聞き逃さなかった。
「……ホントうざ。清楚ぶっててキモいし」
一連のやりとりを遠まきに眺めていたあきらの耳に届くくらいだ。とうぜん、当事者である光梨が拾い逃すこともないだろう。光梨であってもすぐに後輩の背を追うことはできないようで、その場に呆然と立ち尽くしていた。
心中を察するにあまりある状況。こういう場面で友達としてできることは限られている。
声をかけて気遣うか、無かったことにするか。
この状況でまず、後者はない。迷わず近くへ寄って、せめて名前を呼びかける。
「光梨」
「ごめんね、あきちゃん。監督不届きで、うちの部員がお騒がせいたしました。よく言い聞かせておきます」
「気にしなくていいよ。後輩の指導お疲れさま。……パートリーダーは大変だ」
「あきちゃんこそ。部長さんじゃない」
「そっちは部員五十人を超える大所帯。総勢四人のほかに幽霊部員しかいないうちの弱小文化部とは、役職の格がちがう」
背後で真木が「なにが弱小文化部じゃい!」と野次を飛ばしてくるが、こちらは無視を決めこんでも問題はない。
目前の光梨がくすくすと小さく漏らす笑い声に明るさがかえってきて、あきらはひっそりと安堵する。いつもの光梨だ。
あきらよりも小柄な彼女と横に並ぶと、見慣れていてもその造作に驚かされる。
淡い色彩の栗毛も、目と鼻が黄金比を保って整然とならべられた小顔も、どれも天然のものなのだ。光梨なら、銀幕のヒロインたちと並んでも遜色ないだろう。この田舎町では、彼女のような存在はめずらしい。
だから、そんな彼女に焦がれる者は多いのだろう。
あきらの場合は憧れるというよりは、萎縮してしまうのだ。この西洋人形のような少女と、あきらは同性で、同年代で、学び舎を同じくする学生であることに。
さらには、光梨は吹奏楽部が誇るトランペット奏者でもある。実力者なのだ。
「あ、そうだ。乙戸部先輩って部活にはきてる?」
急に、光梨が首を傾げながら尋ねてきた。「乙戸部」は前部長の名前だ。美術部唯一の三年生部員でもある。
「最近見ないな。三年はもうほとんど顔出してないんだ」
「そうなんだ。どうしようかなぁ……。頼みたいことあるのに……」
「連絡先は知ってるから、伝言なら」
「……ありがと。なら、お言葉に甘えちゃう、かな。先輩、先月のマーチング大会のとき、写真撮りに来てくれてたの。そのときお話もしたんだけど、データまだ貰えてなくて」
「了解。吹部に渡るようこっちで急かしてみる」
「よろしくね。頼っちゃってごめんなさい」
「いいよ。光梨は謝りすぎだ。自分が悪くないときにまでそうする」
「だから後輩から嫌われる?」
自嘲気味に語られると、なにもいえない。
失言に気づいてから点数をとりかえせるほど、あきらは器用ではなかった。嗚呼、しまった。せっかく取り戻した笑顔を萎ませてしまうのは勿体無いというのに、慣れ親しんだ距離感で、地雷を踏まないように小綺麗な応酬をするのは困難だ。
しかし、意気消沈していた少女はどこへやら、名鳥光梨はしゃんと背筋を伸ばしていた。立ち直りが早いのも彼女の美点だった。
「そろそろ、練習もどるね。……あきちゃんの顔、見れてよかった。つい、ほっとしちゃった」
光梨が立ち去るのを見送って、あきらが丸椅子に着席しようとすると、真木が近づいてきた。
「あきら、名鳥さんと仲いいよね? 部活もクラスも選択科目もちがうのに」
「中学一緒だったから」
「ふぅん。……あの子、二年では生え抜きのおっとり系美少女なせいか、そら目立つわなぁ。吹部は大変そうだ」
ふわ、とあくびをしながら真木は語るが、その洞察は鋭い。あきらが知るかぎり、光梨が吹奏楽部の中で人間関係に苦労していると小耳に挟んだことがある。
吹奏楽は、文化部でありながら運動部のような体育会系の面がある部活動だ。県大会の常連である鯨坂高校の吹奏楽部では、実力主義が浸透しているらしく、パートリーダーをつとめるほどの奏者を表立って非難する者はいない。
ただし、その反面で心中に屈託を抱える者もいるのだろう。とりわけ、「目立つ」少女の影を踏もうとするならば。
――それに、名鳥光梨には秘密がある。
あきらの心配が、ただの杞憂で終わればいいのだけど。
「おや、あきら部長は複雑そうだ。あの子からなにか聞いてる?」
「なにも。……私、制作もどるから。真木はデッサンつづけなよ」
「えー。林檎描くのもう飽きたぁ」
駄々をこねる真木に背を向けて、あきらはカンバスに向かう。
しばらくしてから、真木の側からカッターで鉛筆を削る音が聞こえてきた。
ぐだぐだとくだをまくのが真木百合枝という少女の平常運転だが、始めるまでが遅いだけで、持続力と集中力はある。クラスが同じだから部活動だけでなく選択美術の授業でも、あきらは真木の絵を見た。
――うまい、と思った。
質量を感じられるリアリティをもちつつも、紙の上に落とし込んだときに独特の華がある。成果の影に修練がうかがえる巧さだ。
「……もっと、真面目にやればいいのに」
部活仲間の真木百合枝は、サボり魔で遅刻魔だ。
きっと彼女には画才があるのだろうが、おおよそ熱意というものを感じさせない。それは学業に向かう態度もまったく同じで、真木は授業中によく眠るし、水曜日はきまって三限目から登校する。いつもダウナーで、おちゃらけていて、減らない軽口とアニメ鑑賞が何より大好き。
彼女のそうした不真面目な軽薄さは、苦手だった。
「うんにゃ? いま、なんか言った?」
「なにも。とくになにも言わないよ」
ただ、それを面と向かって指摘する苛烈さは、あきらにはない。
どうして、こんな時間に、こんなところに。そう、声を発しそうになるのをすんでのところで殺す。聡明な少女はあきらの微細な変化を感じとったようで、目が合うと優しく微笑んだ。
少女が美術室へと立ち入ると、まるでこの油臭い空間が神聖な教会にでも様変わりしたようだった。礼拝の場でもないのに、「部活動中に申し訳ありません」と一礼をしてから入室する。折り目ただしい所作だ。
要件は人探しらしい。その証拠に、部員たちのアトリエの奥に探し求めた相手をみつけたようだ。彼女なりに精いっぱい顔をしかめて、上履きの靴音をカツカツと尖らせる。
「もう。こんなところにいたのね! よその部活の部室へお邪魔してるなんて、聞いてないわ」
セーラー服の襟元に垂れた毛先がふんわりと揺れる。やわらかそうなボブヘアが甘い顔立ちの印象をことさらに引き立たていて、相手を叱責するにしては覇気が欠けていた。
それでも、あきらにはわかる。
彼女――名鳥光梨が心底腹を立てていることは。
「げ、名鳥先輩……。べつに息抜きですって。休憩がてら、芸術に触れたくなったんです」
「例のジェスターさま? それは吹奏楽部のメンバーとして必要なことで、練習を抜け出してまでやるべき行為なのかな」
至極まっとうな意見だ。だが、正論はときに人を傷つける。案の定、女生徒の表情がこわばる。
「……はい。部活に戻ります。さっさと戻ればいいんでしょ」
スマートフォンを胸ポケットに収納し、一年の吹奏楽部員は踵を返した。立ち去り際に、彼女がボソリと落としたつぶやきをあきらは聞き逃さなかった。
「……ホントうざ。清楚ぶっててキモいし」
一連のやりとりを遠まきに眺めていたあきらの耳に届くくらいだ。とうぜん、当事者である光梨が拾い逃すこともないだろう。光梨であってもすぐに後輩の背を追うことはできないようで、その場に呆然と立ち尽くしていた。
心中を察するにあまりある状況。こういう場面で友達としてできることは限られている。
声をかけて気遣うか、無かったことにするか。
この状況でまず、後者はない。迷わず近くへ寄って、せめて名前を呼びかける。
「光梨」
「ごめんね、あきちゃん。監督不届きで、うちの部員がお騒がせいたしました。よく言い聞かせておきます」
「気にしなくていいよ。後輩の指導お疲れさま。……パートリーダーは大変だ」
「あきちゃんこそ。部長さんじゃない」
「そっちは部員五十人を超える大所帯。総勢四人のほかに幽霊部員しかいないうちの弱小文化部とは、役職の格がちがう」
背後で真木が「なにが弱小文化部じゃい!」と野次を飛ばしてくるが、こちらは無視を決めこんでも問題はない。
目前の光梨がくすくすと小さく漏らす笑い声に明るさがかえってきて、あきらはひっそりと安堵する。いつもの光梨だ。
あきらよりも小柄な彼女と横に並ぶと、見慣れていてもその造作に驚かされる。
淡い色彩の栗毛も、目と鼻が黄金比を保って整然とならべられた小顔も、どれも天然のものなのだ。光梨なら、銀幕のヒロインたちと並んでも遜色ないだろう。この田舎町では、彼女のような存在はめずらしい。
だから、そんな彼女に焦がれる者は多いのだろう。
あきらの場合は憧れるというよりは、萎縮してしまうのだ。この西洋人形のような少女と、あきらは同性で、同年代で、学び舎を同じくする学生であることに。
さらには、光梨は吹奏楽部が誇るトランペット奏者でもある。実力者なのだ。
「あ、そうだ。乙戸部先輩って部活にはきてる?」
急に、光梨が首を傾げながら尋ねてきた。「乙戸部」は前部長の名前だ。美術部唯一の三年生部員でもある。
「最近見ないな。三年はもうほとんど顔出してないんだ」
「そうなんだ。どうしようかなぁ……。頼みたいことあるのに……」
「連絡先は知ってるから、伝言なら」
「……ありがと。なら、お言葉に甘えちゃう、かな。先輩、先月のマーチング大会のとき、写真撮りに来てくれてたの。そのときお話もしたんだけど、データまだ貰えてなくて」
「了解。吹部に渡るようこっちで急かしてみる」
「よろしくね。頼っちゃってごめんなさい」
「いいよ。光梨は謝りすぎだ。自分が悪くないときにまでそうする」
「だから後輩から嫌われる?」
自嘲気味に語られると、なにもいえない。
失言に気づいてから点数をとりかえせるほど、あきらは器用ではなかった。嗚呼、しまった。せっかく取り戻した笑顔を萎ませてしまうのは勿体無いというのに、慣れ親しんだ距離感で、地雷を踏まないように小綺麗な応酬をするのは困難だ。
しかし、意気消沈していた少女はどこへやら、名鳥光梨はしゃんと背筋を伸ばしていた。立ち直りが早いのも彼女の美点だった。
「そろそろ、練習もどるね。……あきちゃんの顔、見れてよかった。つい、ほっとしちゃった」
光梨が立ち去るのを見送って、あきらが丸椅子に着席しようとすると、真木が近づいてきた。
「あきら、名鳥さんと仲いいよね? 部活もクラスも選択科目もちがうのに」
「中学一緒だったから」
「ふぅん。……あの子、二年では生え抜きのおっとり系美少女なせいか、そら目立つわなぁ。吹部は大変そうだ」
ふわ、とあくびをしながら真木は語るが、その洞察は鋭い。あきらが知るかぎり、光梨が吹奏楽部の中で人間関係に苦労していると小耳に挟んだことがある。
吹奏楽は、文化部でありながら運動部のような体育会系の面がある部活動だ。県大会の常連である鯨坂高校の吹奏楽部では、実力主義が浸透しているらしく、パートリーダーをつとめるほどの奏者を表立って非難する者はいない。
ただし、その反面で心中に屈託を抱える者もいるのだろう。とりわけ、「目立つ」少女の影を踏もうとするならば。
――それに、名鳥光梨には秘密がある。
あきらの心配が、ただの杞憂で終わればいいのだけど。
「おや、あきら部長は複雑そうだ。あの子からなにか聞いてる?」
「なにも。……私、制作もどるから。真木はデッサンつづけなよ」
「えー。林檎描くのもう飽きたぁ」
駄々をこねる真木に背を向けて、あきらはカンバスに向かう。
しばらくしてから、真木の側からカッターで鉛筆を削る音が聞こえてきた。
ぐだぐだとくだをまくのが真木百合枝という少女の平常運転だが、始めるまでが遅いだけで、持続力と集中力はある。クラスが同じだから部活動だけでなく選択美術の授業でも、あきらは真木の絵を見た。
――うまい、と思った。
質量を感じられるリアリティをもちつつも、紙の上に落とし込んだときに独特の華がある。成果の影に修練がうかがえる巧さだ。
「……もっと、真面目にやればいいのに」
部活仲間の真木百合枝は、サボり魔で遅刻魔だ。
きっと彼女には画才があるのだろうが、おおよそ熱意というものを感じさせない。それは学業に向かう態度もまったく同じで、真木は授業中によく眠るし、水曜日はきまって三限目から登校する。いつもダウナーで、おちゃらけていて、減らない軽口とアニメ鑑賞が何より大好き。
彼女のそうした不真面目な軽薄さは、苦手だった。
「うんにゃ? いま、なんか言った?」
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