妖魔のCHILDREN〜孤独な少年は人外少女たちの子作りの為に言い寄られながら彼女らを守る〜

将星出流

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容姿端麗性格最低な転校生と無口な転校生

容姿端麗性格最低な転校生と無口な転校生Ⅶ

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 最後の部分を除いたマリーとのやり取りを亮人達に伝えると、神妙な面持ちになっていた。

「私が勝手にみんなと同じ土俵に立ち合いって思った事だから、罪悪感とか持ってるなら大丈夫だからね」

 礼火は満面の笑みを浮かべた。大人の雰囲気を持つようになった彼女だが、それでも変わらない笑顔がそこにはあった。

「ごめん、俺が弱いばっかりに」

「亮人は弱くないって言ってるでしょ、もう~。私が弱かったから強くなっただけ。みんなを守れるようになりたかったから、実際にマリーを頼っただけ。それだけなんだからね」

『礼火は大切な家族なんだから、お姉ちゃんも警戒しないでよ。これでやっと、お兄ちゃんを守れる三銃士? になったんだからさ』

「よく三銃士なんて知ってたね、シャーリーは」

 亮人に頭を撫でられるシャーリーは亮人へと抱きつきながら、更に頭を近づける。

「三銃士かぁ、かっこよくて良いねっ!! 私と氷華とシャーリーで亮人を守る三銃士っ!!」

『「いえーい」』

 普段の調子で話す二人を横目に、氷華の表情は険しいままだ。

『私はあなたの能力が少し怖いです。ヴァンパイアの力ともう一つ』

「そうだな、氷華の力も使えるわけだからな……そうなんだろ、礼火」

 燈に麗夜は睨みつけるように礼火へと視線を飛ばす。

「あっ、本当だっ!! 私、氷華の力も使えるんだ!!」

「『……気づいてなかったの?』」

「まったく忘れてましたぁ、えへへ」

「『……………………』」

「となると、私って無駄にマリーの眷属になったって事っ!?」

「そう言う事だな……この女は頭が弱いのに、我が強すぎるだろう。一緒にいた亮人ならそれくらいわかってたんじゃないのか?」

「……わかってたけど、戦いに巻き込みたくなかったから……伝えてなかったんだよ」

「っ!! 亮人は知ってて言わなかったのっ!! もぉおおお、なんでこうなるのよぉぉおお」

 そんな会話に険しい表情をしていた氷華も笑みを零し、

『礼火は全然変わらないわね』

 と、顎へ指を当てながらクスッと笑っていた。
 心の奥底で燻っていた嫉妬といった濁った感情は再び、奥底へと身を潜める。
 また一時の安息が亮人達を取り囲む。
 暖かな時間がみんなを優しく包み込んだのだ。
 それからというもの、礼火が料理を振る舞ったり、楽しく談笑する姿があった。

『さっきは悪かったわね、礼火。疑ったりして』

「良いの良いの、私だって同じ立場だったら疑ってただろうし。前みたいにアホみたいに考えてられないよ」

『でも、結局私の能力が使えるのに眷属になるなんて、アホみたいな事をしてるわけだけどね』

「もう~うるさいなぁ。それは本当にアホだけどさぁ。みんなの為になりたいって思って頑張ってるんだからさぁ~」

『わかってるわよ。ありがとう、礼火。やっぱり、亮人は礼火がいないとダメみたいだから……私じゃ亮人を支えてあ
げられないみたい……』

「氷華こそ何言ってるのっ!! 氷華がいなかったら、今頃亮人はもっとつまらなそうにして、笑ったりしてないし、氷華がいるからっ!!」

 そこから先の言葉を礼火は口にしなかった。

 氷華がいるから、私ももっと積極的になれた。亮人の側に居られるように努力出来た。最高の恋敵ライバル。

 氷華のお陰としか言いようが無かった。
 やっと輪の中に入れた。それだけでよかった。
 礼火は氷華の冷たい手を取り、

「ありがとう」

 そう、一言口にした。

『ありがとう……か。こっちこそ、ありがとう……なんだけどなぁ』

『そうだね、お姉ちゃん』

『っ!! シャーリー、聞いてたの?』

『前にも言ったと思うけど、礼火やお兄ちゃんのおかげで私たちが居られるのにね。私たちは妖魔で怖がられるのに、家族だなんて。そう言ってくれるから、私たちが守ろうって思えるのにね』

『ほんと……その通りね』

『ほらっ、お姉ちゃん。みんなの所に行くよっ!!』

『ハイハイ、もう』

 シャーリーに引っ張られるように走り出す氷華。

 ありがとう。

 そう二人は改めて思ったのだった。
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