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容姿端麗性格最低な転校生と無口な転校生
容姿端麗性格最低な転校生と無口な転校生Ⅰ
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「おはよう、みんな。最近起きるの早くなったね」
『亮人こそっ、毎日っ、起きるの、早いじゃない』
『お兄ちゃんっ、おはよっ』
冬の日が昇る前の朝、あの戦闘から三週間が過ぎ、朝食を作るために起きた亮人の目の前には汗をかいている二人の姿があった。だが、二人の洋服は所々に泥や焦げ付きがあり、呼吸を荒くしていた。
「まったく、まだまだなってないな、お前ら」
『この前と比べたら良くなってると思うわよ? いいところは褒めるようにしなさい?』
「わかったよ」
氷華達の後ろについていた麗夜と燈の額からは汗が流れているも、息切れせずにソファへと座る。
「確かに連携は取れるようになってきたとは思う。二人の特徴を生かしてるとは思うけどな、決定打が欠けてるんだ。特にシャーリー、お前は氷華と違って能力も単調なんだ。それを考えていかないと今後、氷華の足を引っ張っていくぞ」
『………………ごめん』
『まぁ、私たちと戦った時と比べたら強いから安心してね。ただ、麗夜が言う通り、あなたには決定打がないのは確かなの。あとで私と一緒に考えましょ?』
シャーリーの頭へと伸ばされる燈の手は優しく撫でる。一度殺し合った相手とは思えない光景、それは姉妹のように見えるものだった。
『氷華さんは覚醒状態を維持できるように頑張って。私のものとは性質自体が違うからアドバイスができないけど、貴方なら出来るから』
『やってやるわよ……そんなの』
腕組みをし、そっぽを向く氷華は頬は膨らませれば浴室へと歩いていった。
「亮人、みんなあんたの為に必死になってるんだ」
「うん、充分わかってるよ……だから、夕方は特訓してもらってるんだよ」
右の掌を返すとそこには雪の結晶が現れ、徐々に形を変えていく。立体的なクリスタルの状態から薄く広がり、触れた物を切断させる程の切れ味を持つ氷刀を作り出す。
「氷華みたいに完璧じゃないけど、ある程度はコントロールできるようになったよ。それにっ」
次の瞬間、亮人の姿は視界から消え、麗夜の首筋へと氷刀を突き付けられる。
「速度もだいぶある。まだ全部みんなよりは劣ってることは分かってるよ」
「分かってるならいいけどな」
首筋へと立てられた氷刀を握れば溶かし、テレビへと視線を向ける。
「そしたら、今日から学校だから家のことは任せたよ」
『任せときなさい』
『いつも通りに掃除とかしとくね』
「俺はこいつらの練習に付き合う」
『みんなのことは私に任せてください。必ず守りますから』
「ありがと」
制服を着た亮人はゆっくりと玄関を後にする。
三週間の間で多少のコントロールができるようになった能力。
氷華の氷の制御にシャーリーの肉体強化。両方ともを使えるようになったが、本人達のようには使いこなせない。
さっき作った刀も一応、本気で作ったんだけどな……。
麗夜に意図も簡単に溶かされてしまった氷刀は亮人の全力だった。この前のヴァンパイアの時に使った氷華の氷刀とは比べ物にならない、模造品レベルの真似事。
もっと強くならないといけないのは判ってる……。
学校へと歩みを進める足は徐々に速くなる。それは周りの生徒と比較すれば速く、走っているかの様に。
「亮人っ、おはようっ!!」
「あぁ……礼火、おはよう。クリスマス以来だね」
「いやぁ、お母さん達に年末くらいは私達と居なさいって言われちゃって、流石に逃げられなかったんだよ。まったく、お母さん達の過保護には困っちゃう」
「それだけ愛されてるんだから、大切にしないとダメだよ?」
「わかってるよ~」
スキップをしながら横を歩く礼火に合わせる様に亮人の速度は緩やかになる。
「礼火と喋ってると普通って感じがするね」
「普通がいいんじゃない? 大切にしないとねっ」
前へとやってくれば、満面の笑みを浮かべる礼火がそこにいる。ただ、三週間の間で目の前にいる礼火の雰囲気は少し変化がある。
「前より、大人っぽくなってる?」
「えっ!? 本当っ!? 私、大人っぽくなってる?」
「ごめんっ、やっぱりなってないかも」
「もーっ!!」
ポコポコと胸を叩く礼火に自然と微笑みが浮かぶ。
これが日常なんだ。
三週間の間、非日常の中に身を置いていたからこそ、実感できる日常は亮人にとって新鮮なものになりつつあった。些細な出来事に笑顔に、感動できるようになった。
教室へと足を踏み入れると、クラスメイト達はいつも以上に騒ざわついていた。
「新学期早々、転校生が来るなんてな」
「女子だといいな」
「イケメンの男子来て欲しいなぁ」
クラスメイトは期待に胸を膨らませながら、始業式が始まる体育館へと移動する。
「転校生来るんだね、亮人」
「そうみたいだね」
転校生の話題で持ち切りになっているクラスメイト達は始業式が終わるまで興奮収まらずの状態でいた。始業式が終わり、ホームルームが始まれると、担任と一緒に二人の生徒が教室に入って来る。ただ、その瞬間から教室は静まり返る。
「新学期早々ですけど、転校生が入ることになった。ちょっと自己紹介してくれますか?」
教室へと入って来た転校生。
一人は物静かな長身の男子。前髪は目が見えないのではないかと思えるほどに伸び、足音を立てずに歩く。
そして、もう一人は正反対に足音を立てながらスカートを靡かせながらクラスメイトたちへと振り返る。
固唾を吞むクラスメイト達は目の前にいる少女へと視線が向けられる。
「綺麗…………」
その一言だけでは言い表わせない少女は金髪に赤い瞳を教室全体へと向けると、亮人を一点に見つめる。
「見つけましたわ」
教壇から少女は降りれば、少女は大きな胸の前で腕組みをしながら亮人の方へと歩いて来る。
「ちょっと君っ!!」
「うるさい、下等生物は黙ってなさいっ!!」
「ひっ」
少女の鋭い眼光と一喝は教師に尻餅をつかせ、気にもせず歩いて来る少女は亮人の前で立ち止まれば、
「あなたに言われた通り、友達になりに来てあげましたわ」
「えっ?」
「…………」
教室はまた静寂に包まれる。
「もしかして、君って」
「そう、あなたの予想通りよ。この前はよくもやってくれたわね。でも、最後のあなたの言葉がちょっと嬉しかったから、こうしてまた会いに来てあげました」
「それは良かったよ。それはそうと一応、自己紹介してくれると嬉しいな。俺は君のことを何も知らないからさ」
「それもそうですね」
踵を返し、教壇へと再び立つ少女は黒板へと名前を書いていく。
「高貴な私の名前は、malinovyy tsvet printsessaマリーノヴィ・ツヴェート・プリンツェッサ、マリー様って呼ぶことを許可してあげる」
「じゃぁ、マリーって呼ぶね」
「あなただけはそれで許してあげますわ、あなたは特別ですから」
「ありがとう」
「えっっと、マリーさんは相馬くんと知り合いの様だから、相馬くんの横に座る様してください」
「私に命令をできる立場だと思ってるのかしら?」
尻餅をついていた教師は弱々しく立っていたが、鋭い眼光で睨まれ、再び膝が笑う様に床へとへたりこんだ。
「それじゃ、申し訳ないですけど君も自己紹介してもらえるかな」
床にへたり込む教師はもう一人の転校生に手を借りながら立つ。
「わかりました」
抑揚がない声の主はクラスメイトへと顔を向ける。
「名前は最城守護さいじょうまもるです。家の都合でこっちに引っ越して来ました。わからないことが多いので、助
けてもらえると助かります」
「最城くんは窓際の空いてる席に座ってくれる?」
「わかりました」
最城と呼ばれた青年は足音を立てずに歩いていく。物静かに窓際の席へと座れば、マリーへと視線を向け長い前髪越し、見つめていた。
「マリーって綺麗な名前だったんだね」
「私のお父様が付けれくれた名前は綺麗に決まってるじゃないですか。お父様は偉大なんですから」
「お父さんがどれだけ凄いかは分からないけど、この前よりもちょっと元気になってるみたいで良かった」
「本当にお人好しみたいですね、聞いてた通りですわ。あとで時間を貰ってもいいかしら? ちょっと話したいことがあります」
「いいよ、昼休みでもいいかな?」
「わかりましたわ」
そこからは大人しくマリーは授業を聞いていた。ただ、問題を答える様に教師からお願いされると、視線で殺すかの様に殺気を振り撒いていた。
『亮人こそっ、毎日っ、起きるの、早いじゃない』
『お兄ちゃんっ、おはよっ』
冬の日が昇る前の朝、あの戦闘から三週間が過ぎ、朝食を作るために起きた亮人の目の前には汗をかいている二人の姿があった。だが、二人の洋服は所々に泥や焦げ付きがあり、呼吸を荒くしていた。
「まったく、まだまだなってないな、お前ら」
『この前と比べたら良くなってると思うわよ? いいところは褒めるようにしなさい?』
「わかったよ」
氷華達の後ろについていた麗夜と燈の額からは汗が流れているも、息切れせずにソファへと座る。
「確かに連携は取れるようになってきたとは思う。二人の特徴を生かしてるとは思うけどな、決定打が欠けてるんだ。特にシャーリー、お前は氷華と違って能力も単調なんだ。それを考えていかないと今後、氷華の足を引っ張っていくぞ」
『………………ごめん』
『まぁ、私たちと戦った時と比べたら強いから安心してね。ただ、麗夜が言う通り、あなたには決定打がないのは確かなの。あとで私と一緒に考えましょ?』
シャーリーの頭へと伸ばされる燈の手は優しく撫でる。一度殺し合った相手とは思えない光景、それは姉妹のように見えるものだった。
『氷華さんは覚醒状態を維持できるように頑張って。私のものとは性質自体が違うからアドバイスができないけど、貴方なら出来るから』
『やってやるわよ……そんなの』
腕組みをし、そっぽを向く氷華は頬は膨らませれば浴室へと歩いていった。
「亮人、みんなあんたの為に必死になってるんだ」
「うん、充分わかってるよ……だから、夕方は特訓してもらってるんだよ」
右の掌を返すとそこには雪の結晶が現れ、徐々に形を変えていく。立体的なクリスタルの状態から薄く広がり、触れた物を切断させる程の切れ味を持つ氷刀を作り出す。
「氷華みたいに完璧じゃないけど、ある程度はコントロールできるようになったよ。それにっ」
次の瞬間、亮人の姿は視界から消え、麗夜の首筋へと氷刀を突き付けられる。
「速度もだいぶある。まだ全部みんなよりは劣ってることは分かってるよ」
「分かってるならいいけどな」
首筋へと立てられた氷刀を握れば溶かし、テレビへと視線を向ける。
「そしたら、今日から学校だから家のことは任せたよ」
『任せときなさい』
『いつも通りに掃除とかしとくね』
「俺はこいつらの練習に付き合う」
『みんなのことは私に任せてください。必ず守りますから』
「ありがと」
制服を着た亮人はゆっくりと玄関を後にする。
三週間の間で多少のコントロールができるようになった能力。
氷華の氷の制御にシャーリーの肉体強化。両方ともを使えるようになったが、本人達のようには使いこなせない。
さっき作った刀も一応、本気で作ったんだけどな……。
麗夜に意図も簡単に溶かされてしまった氷刀は亮人の全力だった。この前のヴァンパイアの時に使った氷華の氷刀とは比べ物にならない、模造品レベルの真似事。
もっと強くならないといけないのは判ってる……。
学校へと歩みを進める足は徐々に速くなる。それは周りの生徒と比較すれば速く、走っているかの様に。
「亮人っ、おはようっ!!」
「あぁ……礼火、おはよう。クリスマス以来だね」
「いやぁ、お母さん達に年末くらいは私達と居なさいって言われちゃって、流石に逃げられなかったんだよ。まったく、お母さん達の過保護には困っちゃう」
「それだけ愛されてるんだから、大切にしないとダメだよ?」
「わかってるよ~」
スキップをしながら横を歩く礼火に合わせる様に亮人の速度は緩やかになる。
「礼火と喋ってると普通って感じがするね」
「普通がいいんじゃない? 大切にしないとねっ」
前へとやってくれば、満面の笑みを浮かべる礼火がそこにいる。ただ、三週間の間で目の前にいる礼火の雰囲気は少し変化がある。
「前より、大人っぽくなってる?」
「えっ!? 本当っ!? 私、大人っぽくなってる?」
「ごめんっ、やっぱりなってないかも」
「もーっ!!」
ポコポコと胸を叩く礼火に自然と微笑みが浮かぶ。
これが日常なんだ。
三週間の間、非日常の中に身を置いていたからこそ、実感できる日常は亮人にとって新鮮なものになりつつあった。些細な出来事に笑顔に、感動できるようになった。
教室へと足を踏み入れると、クラスメイト達はいつも以上に騒ざわついていた。
「新学期早々、転校生が来るなんてな」
「女子だといいな」
「イケメンの男子来て欲しいなぁ」
クラスメイトは期待に胸を膨らませながら、始業式が始まる体育館へと移動する。
「転校生来るんだね、亮人」
「そうみたいだね」
転校生の話題で持ち切りになっているクラスメイト達は始業式が終わるまで興奮収まらずの状態でいた。始業式が終わり、ホームルームが始まれると、担任と一緒に二人の生徒が教室に入って来る。ただ、その瞬間から教室は静まり返る。
「新学期早々ですけど、転校生が入ることになった。ちょっと自己紹介してくれますか?」
教室へと入って来た転校生。
一人は物静かな長身の男子。前髪は目が見えないのではないかと思えるほどに伸び、足音を立てずに歩く。
そして、もう一人は正反対に足音を立てながらスカートを靡かせながらクラスメイトたちへと振り返る。
固唾を吞むクラスメイト達は目の前にいる少女へと視線が向けられる。
「綺麗…………」
その一言だけでは言い表わせない少女は金髪に赤い瞳を教室全体へと向けると、亮人を一点に見つめる。
「見つけましたわ」
教壇から少女は降りれば、少女は大きな胸の前で腕組みをしながら亮人の方へと歩いて来る。
「ちょっと君っ!!」
「うるさい、下等生物は黙ってなさいっ!!」
「ひっ」
少女の鋭い眼光と一喝は教師に尻餅をつかせ、気にもせず歩いて来る少女は亮人の前で立ち止まれば、
「あなたに言われた通り、友達になりに来てあげましたわ」
「えっ?」
「…………」
教室はまた静寂に包まれる。
「もしかして、君って」
「そう、あなたの予想通りよ。この前はよくもやってくれたわね。でも、最後のあなたの言葉がちょっと嬉しかったから、こうしてまた会いに来てあげました」
「それは良かったよ。それはそうと一応、自己紹介してくれると嬉しいな。俺は君のことを何も知らないからさ」
「それもそうですね」
踵を返し、教壇へと再び立つ少女は黒板へと名前を書いていく。
「高貴な私の名前は、malinovyy tsvet printsessaマリーノヴィ・ツヴェート・プリンツェッサ、マリー様って呼ぶことを許可してあげる」
「じゃぁ、マリーって呼ぶね」
「あなただけはそれで許してあげますわ、あなたは特別ですから」
「ありがとう」
「えっっと、マリーさんは相馬くんと知り合いの様だから、相馬くんの横に座る様してください」
「私に命令をできる立場だと思ってるのかしら?」
尻餅をついていた教師は弱々しく立っていたが、鋭い眼光で睨まれ、再び膝が笑う様に床へとへたりこんだ。
「それじゃ、申し訳ないですけど君も自己紹介してもらえるかな」
床にへたり込む教師はもう一人の転校生に手を借りながら立つ。
「わかりました」
抑揚がない声の主はクラスメイトへと顔を向ける。
「名前は最城守護さいじょうまもるです。家の都合でこっちに引っ越して来ました。わからないことが多いので、助
けてもらえると助かります」
「最城くんは窓際の空いてる席に座ってくれる?」
「わかりました」
最城と呼ばれた青年は足音を立てずに歩いていく。物静かに窓際の席へと座れば、マリーへと視線を向け長い前髪越し、見つめていた。
「マリーって綺麗な名前だったんだね」
「私のお父様が付けれくれた名前は綺麗に決まってるじゃないですか。お父様は偉大なんですから」
「お父さんがどれだけ凄いかは分からないけど、この前よりもちょっと元気になってるみたいで良かった」
「本当にお人好しみたいですね、聞いてた通りですわ。あとで時間を貰ってもいいかしら? ちょっと話したいことがあります」
「いいよ、昼休みでもいいかな?」
「わかりましたわ」
そこからは大人しくマリーは授業を聞いていた。ただ、問題を答える様に教師からお願いされると、視線で殺すかの様に殺気を振り撒いていた。
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