妖魔のCHILDREN〜孤独な少年は人外少女たちの子作りの為に言い寄られながら彼女らを守る〜

将星出流

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「おはよう……亮人。今日の朝ごはん、なに作ったの?」

 礼火が亮人の家に家出をしてからすでに一週間。学校がある日でも礼火は亮人の家から通っていて、亮人たちは同棲をしていると考えてもいいのかもしれないが、二人は仲良くお泊り会的なノリで考えている為に、そういった思考は持ち合わせていない。
 そして、二日前の最初はあそこまで礼火を嫌っていた二人もいつの間にか、礼火の事を優しく見つめていた。
 彼女たちの心の変化は一日目の夜に確認できたが、もう少しあの空気が長引くと思っていた亮人は意外に思いながら朝食を食卓に並べる。

「礼火は起きるのが遅いよ? もう少し早く起きる習慣でもつけた方がいいんじゃないかな?」

 毎朝五時から五時半までの間に起きている亮人からして、礼火が起きてきた七時は非常に遅い時間だ。

「亮人が早すぎるだけで、普通の学生ならもっと遅くに起きるよ」

「余所は余所、うちはうち。俺の家にいるならもう少しだけ早く起きないとダメだよ? クロだって礼火よりも早く起きてるんだから」

「ミャァァアア……」

 頭を縦に振りながら「そうだ、そうだ」と言っているように思えてならない。亮人の言葉を理解しているところを見るだけでも、他の猫とは違う事は一目瞭然。
 そして、そんな光景に存在を勘付かれない様にソファに座ってみている氷華たちは礼火が起きる前に朝食を食べ終えていた。

『本当にあの子は子供なのかもしれないわね……』

『シャーリーもそう思えてきた……シャーリーよりも起きる時間遅いし、食べる量も少ないし……まるで子供にしか見えないよ』

 口々に礼火を子ども扱いしている二人を亮人は放って置いて、礼火に早く朝食を食べさせる。

「あと二十分もしたら学校に行かないといけないんだから、早くご飯を食べて? 礼火だけだよ? ご飯食べてないの」

 朝食を食卓に置いた亮人は氷華たちが使った食器を急いで洗うなり、二階に行っては制服へと着替える。
 その行動はもう専業主夫と言えるくらいの速さで、そこらへんにいる専業主婦はおそらく太刀打ちなんかできない程だ。
 食器を洗い終わり、礼火の制服をリビングへと持ってくると着替えるように言ってそのまま近くのゴミ捨て場にゴミを捨てに行く。
 一人でそこまでの仕事を熟している亮人は疲れたような表情は一切見せずにただ、幸せそうな笑みを浮かべながら家事をしている。

「着替え終わったならもう学校に行くよ? 俺が作ったお弁当はちゃんと持った?」

「ちゃんと持ったぁ~」

「なら学校に行くよ? 行ってきまーす」

『『行ってらっしゃーい』』

 玄関まで見送りに来た氷華たちへと手を振る亮人は未だに眠たそうにしている礼火の手を取って学校への道のりを足早に歩いて行く。

『本当に私達よりも子供よね……あの子』

 亮人と礼火の後ろ姿はもう同級生には全く見えず、保育園に子供を連れていくお兄ちゃんと妹にしか見えない。
 見送っている最中でも礼火は足を躓つまづかせて転びかけると、転びかける礼火を前から支える亮人。見ていて危なっかしい彼女には亮人のようなしっかりした男がついていないと逆にダメなんじゃないかと思えてしまう程だ。

『それじゃあ、私達は亮人達が帰ってくるまでに家の掃除やら洗濯とかを終わらせちゃいましょうか』

『最初は掃除からでいいよね? お姉ちゃん』

 亮人達が見えなくなれば家の中へと戻り、氷華たちは亮人の負担を減らすために家事をし始めた。誰もいない家の中を物が勝手に動くのは傍から見たら怖いだろうが、亮人の家は他人の家からは少しだけ敷地の大きさで離れている為に見られる心配はない。

『最初は掃除機で家の埃ほこりを吸って行くわよ。そのあとに拭き掃除をして掃除は終わりにしましょ』

『確か、押し入れの中にお兄ちゃんが買ってた掃除機がもう一個あったよね?』

亮人は意外にも家電が好きということもあって、最新家電が出ればそれはすぐに買ってしまって、昔の物は捨ててしまう豪快な一面を持っている。
 そして、この前も掃除機の最新モデルが出たとかで買いに行ってきた亮人は

「掃除機は二つあった方がいいよね?」

なんてことを言って、最新モデルを二つも買ってきたのだ。
 流石は社長の息子、お金には困ることはないという事を氷華たちは思った。

『なら早速、私達は家事をしていくわよ?』

『お兄ちゃんの為にシャーリー頑張っちゃうんだからっ!』

 シャーリーと氷華、二人は亮人の為に家事をし始める。だが、そんな家事をしようとしている彼女たちには一匹の妖魔と一人の人間が少しずつ近づいていた。
 
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