妖魔のCHILDREN〜孤独な少年は人外少女たちの子作りの為に言い寄られながら彼女らを守る〜

将星出流

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波乱万丈

波乱万丈IX

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「亮人……階段から足音が聞こえてきたんだけど……」

 あぁ、二人とも足音立てながら上がって行ったんだね……怖がらせる悪戯いたずらかな?

「だから言ったでしょ? 何かに憑かれてるって。でも、礼火に危害は加えないって言ってたからもう大丈夫だよ」

「危害を加えないって……亮人は幽霊と話でもしてきたの……?」

「……まぁ、そんなところかな?」

 自分で間違いを犯したことに気が付いた亮人は冷や汗を掻くと、視線を外へとズラした。

 どうやっても今のは変に思われたよね……。

 幽霊と話ができるなんて普通の人は言わないが、亮人は幽霊ではないが普通の人には見えない妖魔と話をしていることに変わりない。
 返事としては合っているのだろうが、返事をしていいところでもなかったかもしれない。
 そんな亮人は会話から逃げるようにソファから立ち上がれば、

「もう疲れたから、俺は先に部屋に戻って寝るね」

 一度洗面所へと行って歯を磨いてから二階にある自分の部屋へと行こうと階段に足をかけた所で礼火が亮人の手を握り、

「一人にしないで……怖いの……」

 亮人の手を握っている礼火の温かくて柔らかい小さな手。だが、そんなか弱く小さな手は小刻みに震え、力強く亮人の事を求めるように握ってくる。
 力強く握ったとしても痛くはないが、そんな礼火の表情は泣きそうになっているのを見てしまうと一人にするのは気が引ける。

「ならまだ時間的には早いけど一緒に寝る?」

 時間は夜の十時半。亮人にとってはまだまだ眠るまでに時間が二時間ほどあるのだが、子供のような容姿に子供と大差変わりない時間に寝る礼火は泣きそうでありながら眠そうに欠伸をしていた。

「私も寝る時間だから……ちょうどいいかもね……」

 急にウトウトし始めた礼火は亮人の手を離して床へと座り込む。

「亮人ぉ……体に力が入らないの……おんぶしてよぉ」

 子供が親を求めるように下から両手を伸ばしている礼火。そして、

「仕方がないなぁ」

 と言いつつも彼女を背負うのではなく、お姫様抱っこで二階へと連れて行く。
 ゆらゆらと揺れる亮人の手の中では、既に目を閉じて眠りについた礼火がいて眠って間もないと言うのに寝言では、

「亮人は……私が守るってあげる……から」

 と優しさが溢れる言葉を口にしていて、亮人はそれを聞くなり礼火へと微笑んだ。
 両手の中で包まれるようにスヤスヤと眠っている小さな子供はいつも自分のことを大切にしてくれている。そう実感した亮人は、亮人の部屋のベッドへと礼火を寝かせると優しく頭を撫でて、それから十分間の間ベッドに座って、礼火の傍から離れることはなかった。

「気づかないうちに大切な物が増えてたんだ……これからもずっと大切にしていかないと……」

 亮人も知らないうちに礼火や氷華、シャーリーと家族のように思える大切な存在が自分の近くにいることに気が付き、それでいて、そんな彼女たちが自分の事を大切にしているという事も実感していた。

『亮人……その子がいる間は私たち静かにすることにしたの。それと少しでも亮人の負担を減らす為にも亮人がいないお昼とかにはちゃんと洗濯とかもすることにしたわ』

『これからもお兄ちゃんの傍に居るのに邪魔ばっかりしてるのも悪いもんね。だから、お兄ちゃんも少しだけだけど、自由な時間が出来ると思うからゆっくりして?』

 氷華にシャーリー。彼女たち二人は亮人の部屋のドアを開いて部屋の中へと入って来て亮人に微笑みながら口にしたのだ。
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