18 / 110
波乱万丈
波乱万丈IX
しおりを挟む
「亮人……階段から足音が聞こえてきたんだけど……」
あぁ、二人とも足音立てながら上がって行ったんだね……怖がらせる悪戯いたずらかな?
「だから言ったでしょ? 何かに憑かれてるって。でも、礼火に危害は加えないって言ってたからもう大丈夫だよ」
「危害を加えないって……亮人は幽霊と話でもしてきたの……?」
「……まぁ、そんなところかな?」
自分で間違いを犯したことに気が付いた亮人は冷や汗を掻くと、視線を外へとズラした。
どうやっても今のは変に思われたよね……。
幽霊と話ができるなんて普通の人は言わないが、亮人は幽霊ではないが普通の人には見えない妖魔と話をしていることに変わりない。
返事としては合っているのだろうが、返事をしていいところでもなかったかもしれない。
そんな亮人は会話から逃げるようにソファから立ち上がれば、
「もう疲れたから、俺は先に部屋に戻って寝るね」
一度洗面所へと行って歯を磨いてから二階にある自分の部屋へと行こうと階段に足をかけた所で礼火が亮人の手を握り、
「一人にしないで……怖いの……」
亮人の手を握っている礼火の温かくて柔らかい小さな手。だが、そんなか弱く小さな手は小刻みに震え、力強く亮人の事を求めるように握ってくる。
力強く握ったとしても痛くはないが、そんな礼火の表情は泣きそうになっているのを見てしまうと一人にするのは気が引ける。
「ならまだ時間的には早いけど一緒に寝る?」
時間は夜の十時半。亮人にとってはまだまだ眠るまでに時間が二時間ほどあるのだが、子供のような容姿に子供と大差変わりない時間に寝る礼火は泣きそうでありながら眠そうに欠伸をしていた。
「私も寝る時間だから……ちょうどいいかもね……」
急にウトウトし始めた礼火は亮人の手を離して床へと座り込む。
「亮人ぉ……体に力が入らないの……おんぶしてよぉ」
子供が親を求めるように下から両手を伸ばしている礼火。そして、
「仕方がないなぁ」
と言いつつも彼女を背負うのではなく、お姫様抱っこで二階へと連れて行く。
ゆらゆらと揺れる亮人の手の中では、既に目を閉じて眠りについた礼火がいて眠って間もないと言うのに寝言では、
「亮人は……私が守るってあげる……から」
と優しさが溢れる言葉を口にしていて、亮人はそれを聞くなり礼火へと微笑んだ。
両手の中で包まれるようにスヤスヤと眠っている小さな子供はいつも自分のことを大切にしてくれている。そう実感した亮人は、亮人の部屋のベッドへと礼火を寝かせると優しく頭を撫でて、それから十分間の間ベッドに座って、礼火の傍から離れることはなかった。
「気づかないうちに大切な物が増えてたんだ……これからもずっと大切にしていかないと……」
亮人も知らないうちに礼火や氷華、シャーリーと家族のように思える大切な存在が自分の近くにいることに気が付き、それでいて、そんな彼女たちが自分の事を大切にしているという事も実感していた。
『亮人……その子がいる間は私たち静かにすることにしたの。それと少しでも亮人の負担を減らす為にも亮人がいないお昼とかにはちゃんと洗濯とかもすることにしたわ』
『これからもお兄ちゃんの傍に居るのに邪魔ばっかりしてるのも悪いもんね。だから、お兄ちゃんも少しだけだけど、自由な時間が出来ると思うからゆっくりして?』
氷華にシャーリー。彼女たち二人は亮人の部屋のドアを開いて部屋の中へと入って来て亮人に微笑みながら口にしたのだ。
あぁ、二人とも足音立てながら上がって行ったんだね……怖がらせる悪戯いたずらかな?
「だから言ったでしょ? 何かに憑かれてるって。でも、礼火に危害は加えないって言ってたからもう大丈夫だよ」
「危害を加えないって……亮人は幽霊と話でもしてきたの……?」
「……まぁ、そんなところかな?」
自分で間違いを犯したことに気が付いた亮人は冷や汗を掻くと、視線を外へとズラした。
どうやっても今のは変に思われたよね……。
幽霊と話ができるなんて普通の人は言わないが、亮人は幽霊ではないが普通の人には見えない妖魔と話をしていることに変わりない。
返事としては合っているのだろうが、返事をしていいところでもなかったかもしれない。
そんな亮人は会話から逃げるようにソファから立ち上がれば、
「もう疲れたから、俺は先に部屋に戻って寝るね」
一度洗面所へと行って歯を磨いてから二階にある自分の部屋へと行こうと階段に足をかけた所で礼火が亮人の手を握り、
「一人にしないで……怖いの……」
亮人の手を握っている礼火の温かくて柔らかい小さな手。だが、そんなか弱く小さな手は小刻みに震え、力強く亮人の事を求めるように握ってくる。
力強く握ったとしても痛くはないが、そんな礼火の表情は泣きそうになっているのを見てしまうと一人にするのは気が引ける。
「ならまだ時間的には早いけど一緒に寝る?」
時間は夜の十時半。亮人にとってはまだまだ眠るまでに時間が二時間ほどあるのだが、子供のような容姿に子供と大差変わりない時間に寝る礼火は泣きそうでありながら眠そうに欠伸をしていた。
「私も寝る時間だから……ちょうどいいかもね……」
急にウトウトし始めた礼火は亮人の手を離して床へと座り込む。
「亮人ぉ……体に力が入らないの……おんぶしてよぉ」
子供が親を求めるように下から両手を伸ばしている礼火。そして、
「仕方がないなぁ」
と言いつつも彼女を背負うのではなく、お姫様抱っこで二階へと連れて行く。
ゆらゆらと揺れる亮人の手の中では、既に目を閉じて眠りについた礼火がいて眠って間もないと言うのに寝言では、
「亮人は……私が守るってあげる……から」
と優しさが溢れる言葉を口にしていて、亮人はそれを聞くなり礼火へと微笑んだ。
両手の中で包まれるようにスヤスヤと眠っている小さな子供はいつも自分のことを大切にしてくれている。そう実感した亮人は、亮人の部屋のベッドへと礼火を寝かせると優しく頭を撫でて、それから十分間の間ベッドに座って、礼火の傍から離れることはなかった。
「気づかないうちに大切な物が増えてたんだ……これからもずっと大切にしていかないと……」
亮人も知らないうちに礼火や氷華、シャーリーと家族のように思える大切な存在が自分の近くにいることに気が付き、それでいて、そんな彼女たちが自分の事を大切にしているという事も実感していた。
『亮人……その子がいる間は私たち静かにすることにしたの。それと少しでも亮人の負担を減らす為にも亮人がいないお昼とかにはちゃんと洗濯とかもすることにしたわ』
『これからもお兄ちゃんの傍に居るのに邪魔ばっかりしてるのも悪いもんね。だから、お兄ちゃんも少しだけだけど、自由な時間が出来ると思うからゆっくりして?』
氷華にシャーリー。彼女たち二人は亮人の部屋のドアを開いて部屋の中へと入って来て亮人に微笑みながら口にしたのだ。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる