妖魔のCHILDREN〜孤独な少年は人外少女たちの子作りの為に言い寄られながら彼女らを守る〜

将星出流

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波乱万丈

波乱万丈VⅢ

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 シャーリーたちは亮人が一緒に礼火がいることが許せないみたいで、それで怒っているのだろうが、それに油を注ぐように礼火が一緒になって亮人の部屋で眠っていたら二人を確実に怒らせることは間違いない。

「…………………………」

 今頃になって、自分が仕出かしてしまった約束が取り返しがつかない物だという事が分かった。だから、亮人は礼火に約束の取り止めにしようと口にしたが、

「約束は約束なんだからちゃんと守らないとダメだよ、亮人。男ならちゃんと約束を守るのが筋だと思う」

 どれだけ亮人が約束を取り止めにしようとしても頑固にも譲ろうとしない礼火に諦めの意を見せた。

 あぁ、絶対に今日の夜は殺されるかもしれないなぁ……それとも明日の朝に殺されるのかなぁ……俺は。

 天井で明かりを灯している蛍光灯を見つめながら、目尻に涙を溜める亮人であった。


 二階の氷華の部屋。そこでは氷華とシャーリーが聞き耳を立てながら一階にいる亮人と礼火の会話を聞いていた。

『シャーリー……亮人が礼火って子と一緒に寝るって言うのは聞いたわよね?』

『ちゃんと聞いてたよ……お兄ちゃんと一緒に寝るなんて何様のつもりなのかな、あの女……絶対に殺してやる』

 シャーリーは牙を剥き出し、氷華は体からいつも以上に冷気を周りに振り撒いている。
 いつになく強い殺気を放っている二人の殺気は一階にいる亮人の背筋を伸ばすほどの物。

『礼火っていう女の子には悪いけど、今日の夜は私達の部屋で亮人を寝かせることにするわ。シャーリーも私と亮人、一緒に眠ってたほうが安心できるでしょ?』

『お兄ちゃんが人と一緒にいることは当たり前なんだろうけど、シャーリーたち妖魔にとって、妖魔の事を見られる人間なんて数えるくらいしかいないんだから取らないで欲しいよ』

『確かにそうよね……私も亮人に逢うまでずっと一人で山の中に住んでたから寂しかったわよ……亮人に逢って、こうやって楽しくしてる人生なんて考えられなかったもの』

 一人で生きてきた人生を振り返った氷華は一瞬だけ悲しい顔を浮かべるが、下で話をしている亮人の事を思えばすぐにそんな気持ちも無くなる。

『なら早速、亮人の所に行って私たちと一緒に寝るように言いに行くわよ』

 氷華は部屋のドアを開くなり、道を静かに歩いて行く。
 力強く床を踏みしめれば、姿は見えなくとも音は聞こえる。だから、自分たちの存在を知られることなく亮人へと近づいて行かないといけない。
 一歩一歩静かに亮人のいる一階へと降りていく氷華についていくシャーリーも静かに階段を降りていく。それで一階へと着いた氷華たちは亮人が座っているソファへと歩いて行けば、

『亮人……提案があるんだけどいいかしら?』

 と、耳打ちをする。
 そう耳打ちをすると亮人は礼火に、「ちょっとトイレに行ってくるね?」と言い残してリビングを後にした。
 リビングから出た亮人を追うように氷華とシャーリーもリビングから出て行き、廊下で待っていた亮人に自分達がさっき話し合った内容を伝えた。

『これなら私達も彼女の事を襲わなくても済むから、いい考えだと思わない?』

「いや、それはいい考えだと俺も思うけどさ……その前に襲うこと前提にしてる氷華たちがちょっと怖いよ……」

 苦笑しながら亮人は氷華の事を見つめると、そんな亮人にお風呂場と同じように体に手を回して抱き着いたシャーリー。
 彼女は亮人には笑顔でいるのに、亮人と一緒にいる礼火を見ていた時は、牙を剥き出しにして睨んでいた。

『シャーリーもお兄ちゃんと一緒に寝たいの。だから、途中からでもいいからシャーリーたちと一緒に寝て……お願い……』

 閏うるうるとさせている瞳を亮人へと向けると、胴へと巻きつけていた両手を首へと回して亮人の顔を自分の顔へと近づけさせてはキスをしてくる。

『なっ……シャーリー? 私がいる前ではそういう事はしちゃダメよ? 私が怒るから』

 わなわなと震わせている右手を左手で抑えている氷華にシャーリーは亮人から離れれば、『ごめんなさーい』と謝って氷華の後ろへと隠れる。

「確かに二人と寝れば礼火は安全なんだけど……二人とも俺に色気とか使ってくるから逆に寝れなくなっちゃうんだよね……もう疲れてるからゆっくり寝たいよ」

 もっともなことを口にする亮人は氷華にそう言い残してリビングへと戻って行く。

『はぁ……亮人も流石に疲れてるわよね……私達みたいな妖魔の相手も疲れる原因の一つだろうし、今日は色気も何もなしでゆっくり私たちの横で寝かせてあげたほうがいいわよね』

『お兄ちゃんが疲れてるならゆっくり休ませてあげたいけど、あの女と一緒にいるのだけは許せない……』

 ドアから見える礼火にシャーリーは牙を向けるが、そんなことは氷華が許さなかった。

『シャーリー? 亮人も人間なのよ、だから私達みたいな妖魔と関わってくれてるだけでも感謝しなくちゃダメよ。それに時々は自由にしてあげないと、亮人の体が持たないから』

 これまで亮人は氷華を二週間も世話をしている。そして、昨日からはもう一人シャーリーが増えた。これ以上の負担は本当だったら亮人も辛いはずなのに、それでも亮人は嫌な顔を見せずに氷華たちの為に頑張っている。
 それを分かっている氷華だからこそ、亮人に申し訳なさと感謝の意も込めて礼火がいる数日間は静かに暮らそうと心の中で決めたのだ。
 そしてシャーリーもそれが分かったからだろうか、

『シャーリーもお兄ちゃんには感謝してるから、あの女がいる間は静かにするよ……でも、お姉ちゃんは困らないの? お姉ちゃんってお風呂が冷たくないとダメだけど、あの女がいると冷たいお風呂に入れなくなっちゃうよ?』

『なら、亮人達が帰って来る前に入っちゃえばいい話よ』

 氷華はそれだけ言えば、そのまま二階へと戻って行く。
 今度は足音を少しだけ立てるように、礼火に自分たちの存在を感じさせるように音を立てて歩いた。
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