22 / 32
第11話 発見
第11話 発見④
しおりを挟む
真っ直ぐに新刊の並べられている小説のコーナーへと向かう。
しばらくどの本を買おうか吟味していると、明るい文字のPOPが目に留まる。そのPOPが紹介している本を手に取ってみる。そうしていると綾乃が傍へとやってきていた。
「こんにちは」
綾乃はにっこりと微笑みながら楓に声をかけてきた。楓もつられて笑顔になる。
「こんにちは。昨日はお電話ありがとうございました」
お礼を言うと綾乃は恥ずかしそうに俯いてしまう。そんな綾乃の表情を、楓は自分だけのものにしておきたいと思ってしまうのだった。
そんなことを考えていると、綾乃がおずおずと言葉をかけてきた。
「その新刊……」
「あぁ、これですか? POPが面白そうだったのでつい」
楓の言葉に綾乃が恥ずかしそうに口を開いた。
「そのPOPを書いたの、実は私なんです……」
その言葉は楓にとっては意外ではあったものの、もう一度よくPOPを見ると納得もしてしまった。
綾乃らしい可愛らしい文字と、要点だけを簡潔にまとめてあるPOPはしっかりと本を際立たせている。
「沓名さんがおすすめしてくれているのなら、きっと面白い本なんでしょうね」
嫌味に聞こえないように、柔らかな声音を意識して言う楓に、綾乃は、
「良い本でした。日本語の美しさとユーモアの合体と言った感じです」
そう言う綾乃は本当に本が好きなのだと分かる、真っ直ぐな目をしていた。
(日本語の美しさユーモアの合体、か……)
楓は興味を引かれて、その本を購入することを決めるのだった。
「沓名さん、今日はこの本を買っていこうと思います」
楓の言葉に綾乃はぱぁっと顔を明るくさせた。
「ありがとうございます!」
そう言って頭を下げる。そして、楓を連れて綾乃はレジへと案内した。
後は会計を済ませるのみである。楓はこれからの物語にワクワクしながら、綾乃との書店内での僅かな時間を楽しむのだった。
しばらくどの本を買おうか吟味していると、明るい文字のPOPが目に留まる。そのPOPが紹介している本を手に取ってみる。そうしていると綾乃が傍へとやってきていた。
「こんにちは」
綾乃はにっこりと微笑みながら楓に声をかけてきた。楓もつられて笑顔になる。
「こんにちは。昨日はお電話ありがとうございました」
お礼を言うと綾乃は恥ずかしそうに俯いてしまう。そんな綾乃の表情を、楓は自分だけのものにしておきたいと思ってしまうのだった。
そんなことを考えていると、綾乃がおずおずと言葉をかけてきた。
「その新刊……」
「あぁ、これですか? POPが面白そうだったのでつい」
楓の言葉に綾乃が恥ずかしそうに口を開いた。
「そのPOPを書いたの、実は私なんです……」
その言葉は楓にとっては意外ではあったものの、もう一度よくPOPを見ると納得もしてしまった。
綾乃らしい可愛らしい文字と、要点だけを簡潔にまとめてあるPOPはしっかりと本を際立たせている。
「沓名さんがおすすめしてくれているのなら、きっと面白い本なんでしょうね」
嫌味に聞こえないように、柔らかな声音を意識して言う楓に、綾乃は、
「良い本でした。日本語の美しさとユーモアの合体と言った感じです」
そう言う綾乃は本当に本が好きなのだと分かる、真っ直ぐな目をしていた。
(日本語の美しさユーモアの合体、か……)
楓は興味を引かれて、その本を購入することを決めるのだった。
「沓名さん、今日はこの本を買っていこうと思います」
楓の言葉に綾乃はぱぁっと顔を明るくさせた。
「ありがとうございます!」
そう言って頭を下げる。そして、楓を連れて綾乃はレジへと案内した。
後は会計を済ませるのみである。楓はこれからの物語にワクワクしながら、綾乃との書店内での僅かな時間を楽しむのだった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
婚約者の浮気を目撃した後、私は死にました。けれど戻ってこれたので、人生やり直します
Kouei
恋愛
夜の寝所で裸で抱き合う男女。
女性は従姉、男性は私の婚約者だった。
私は泣きながらその場を走り去った。
涙で歪んだ視界は、足元の階段に気づけなかった。
階段から転がり落ち、頭を強打した私は死んだ……はずだった。
けれど目が覚めた私は、過去に戻っていた!
※この作品は、他サイトにも投稿しています。
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
帰らなければ良かった
jun
恋愛
ファルコン騎士団のシシリー・フォードが帰宅すると、婚約者で同じファルコン騎士団の副隊長のブライアン・ハワードが、ベッドで寝ていた…女と裸で。
傷付いたシシリーと傷付けたブライアン…
何故ブライアンは溺愛していたシシリーを裏切ったのか。
*性被害、レイプなどの言葉が出てきます。
気になる方はお避け下さい。
・8/1 長編に変更しました。
・8/16 本編完結しました。
【完結】今夜さよならをします
たろ
恋愛
愛していた。でも愛されることはなかった。
あなたが好きなのは、守るのはリーリエ様。
だったら婚約解消いたしましょう。
シエルに頬を叩かれた時、わたしの恋心は消えた。
よくある婚約解消の話です。
そして新しい恋を見つける話。
なんだけど……あなたには最後しっかりとざまあくらわせてやります!!
★すみません。
長編へと変更させていただきます。
書いているとつい面白くて……長くなってしまいました。
いつも読んでいただきありがとうございます!
病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。
【完結】幼い頃から婚約を誓っていた伯爵に婚約破棄されましたが、数年後に驚くべき事実が発覚したので会いに行こうと思います
菊池 快晴
恋愛
令嬢メアリーは、幼い頃から将来を誓い合ったゼイン伯爵に婚約破棄される。
その隣には見知らぬ女性が立っていた。
二人は傍から見ても仲睦まじいカップルだった。
両家の挨拶を終えて、幸せな結婚前パーティで、その出来事は起こった。
メアリーは彼との出会いを思い返しながら打ちひしがれる。
数年後、心の傷がようやく癒えた頃、メアリーの前に、謎の女性が現れる。
彼女の口から発せられた言葉は、ゼインのとんでもない事実だった――。
※ハッピーエンド&純愛
他サイトでも掲載しております。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる