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27 (アルフ視点)
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案内する少年を追い越してしまうほど急いでセドリックの元へ駆けつける。
護衛がいる扉が見えた為、後ろにいる少年を見ると首を縦に振った。護衛はアルフを見ると何も言わず扉を開けた。アルフは少し躊躇しながら中に入る。
走ってきて少し上がった息を整え部屋の中を眺めるとセドリックがベッドの上で座ってはいたが、顔は赤く汗もかき、肩で息をして一目で異常な状態に見えた。
「…殿下?」
恐る恐る声をかけると少し顔を上げ横目でアルフを見つめた。
「ア…ルフ…」
すぐに側まで駆け寄った。
「殿下大丈夫ですか!これは…」
「すまない…」
「すぐに医者を!」
「大丈夫だ…時間が経てば…」
「しかし!」
気がつけば後から入ってきた少年がセドリックのそばまで来ており、クッションを背中に入れ少し姿勢を変えた。セドリックは息を吐きゆっくりとした動きではあるがアルフが真正面に見えるように体を動かした。
「もう少し早く…対応していれば…ここまでには」
「殿下あまり無理をなさらず…」
「執事の…ジェイドが異変に…初めに気がつき…」
「色々…手を回して…くれていた…のに…」
「私を庇って…あんな事に…」
悔しいのか、苦しいのか…
セドリックは顔を歪め少し震えていた。
顔を少しあげアルフに話かけようとするが、激しく咳き込み身体を折りたたむように前のめりになった。
「殿下!やはりまだお休みになってください」
「…」
セドリックはなおも声を出そうとするが、息を吸い込むと激しく咳き込み声を出せないでいた。
アルフは少年に指示を出しながら、セドリックを寝かせベッドの横に座った。
「…」
なおも声を出そうとするセドリックにアルフは首を振って声をかける。
「殿下…今はお身体を大事にしてください。また来ます」
側で控えていた少年に後を託しアルフは部屋から出た。
扉を閉めた後力を入れすぎ震えていた拳をゆっくり広げそのまま顔を覆った。
─なぜ?何が?
落ち着こうとしても自分の鼓動が大きく聞こえる。
どんなに考えても仮説も思いつかない。
時間にして五分ほどその場に立ち尽くしていたアルフだったが、手をおろしゆっくりと息を吸い込んだ。
「何が…あった?たった一晩で何が…」
扉横に控えている護衛騎士の一人がアルフを向かいの部屋に案内する。
先に入った騎士が顔を覆っていたマスクをとるとアルフはものすごい勢いで詰め寄った。
「ノア!お前が付いていたのに、なぜこんな事になっているのか!」
ノアと呼ばれた男は唇を噛み締めアルフの顔を見た。
護衛がいる扉が見えた為、後ろにいる少年を見ると首を縦に振った。護衛はアルフを見ると何も言わず扉を開けた。アルフは少し躊躇しながら中に入る。
走ってきて少し上がった息を整え部屋の中を眺めるとセドリックがベッドの上で座ってはいたが、顔は赤く汗もかき、肩で息をして一目で異常な状態に見えた。
「…殿下?」
恐る恐る声をかけると少し顔を上げ横目でアルフを見つめた。
「ア…ルフ…」
すぐに側まで駆け寄った。
「殿下大丈夫ですか!これは…」
「すまない…」
「すぐに医者を!」
「大丈夫だ…時間が経てば…」
「しかし!」
気がつけば後から入ってきた少年がセドリックのそばまで来ており、クッションを背中に入れ少し姿勢を変えた。セドリックは息を吐きゆっくりとした動きではあるがアルフが真正面に見えるように体を動かした。
「もう少し早く…対応していれば…ここまでには」
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「色々…手を回して…くれていた…のに…」
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セドリックは顔を歪め少し震えていた。
顔を少しあげアルフに話かけようとするが、激しく咳き込み身体を折りたたむように前のめりになった。
「殿下!やはりまだお休みになってください」
「…」
セドリックはなおも声を出そうとするが、息を吸い込むと激しく咳き込み声を出せないでいた。
アルフは少年に指示を出しながら、セドリックを寝かせベッドの横に座った。
「…」
なおも声を出そうとするセドリックにアルフは首を振って声をかける。
「殿下…今はお身体を大事にしてください。また来ます」
側で控えていた少年に後を託しアルフは部屋から出た。
扉を閉めた後力を入れすぎ震えていた拳をゆっくり広げそのまま顔を覆った。
─なぜ?何が?
落ち着こうとしても自分の鼓動が大きく聞こえる。
どんなに考えても仮説も思いつかない。
時間にして五分ほどその場に立ち尽くしていたアルフだったが、手をおろしゆっくりと息を吸い込んだ。
「何が…あった?たった一晩で何が…」
扉横に控えている護衛騎士の一人がアルフを向かいの部屋に案内する。
先に入った騎士が顔を覆っていたマスクをとるとアルフはものすごい勢いで詰め寄った。
「ノア!お前が付いていたのに、なぜこんな事になっているのか!」
ノアと呼ばれた男は唇を噛み締めアルフの顔を見た。
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