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26 驚愕(アルフ視点)
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連絡なしでの訪問で中に入れてくれるとは思っていなかったが、セドリックの様子だけでも聞ければと入口で呼び鈴を鳴らす。
普段ならすぐに反応があるはずがしばらく待っていても誰も出てこない。
もう一度呼び鈴を鳴らし待っているといつもの執事ではなくアルフと同じ歳か下の少年が出てきた。
アルフの顔を見て慌てて一礼し、そのまま話し始めた。
「アルフ様大変申し訳ございません。今ご案内出来ません」
「こちらが約束なしで来ているのは承知している。しかし今回は通してもらえないだろうか?」
「申し訳ございません」
「では殿下の様子だけでも教えてもらえないか?」
「申し訳ございません」
何度かこのやり取りを繰り返す。
頭を下げたまま断ってこいと言われているのか、ずっとそのままで答える男を見て、軽くため息を吐き腰に手を当て頭を振る。
「では、明日お会いできるかだけでも確認取ってくれないか?」
「…しばらくお待ちください」
困惑した顔をしたが踵を返し扉の中に入って行った。
──こちらもこのままでは納得できない
そのまま待っていると、いつもの執事が出てきた。
「アルフ様大変申し訳ございませんでした。今殿下はお会いできる状態ではなく…」
「殿下はやはり体調が悪いのか?それでパーティーにも来れなかった…?」
「そうではないのです…」
「違うのか?」
いつもとは様子の違う執事は珍しく狼狽えていた。体調が原因ではないと言ってから思い詰めたように下を向きそのまま話し始めた。
「本日はまだ殿下の状態が良くないですので明日同じ時間におこし頂けますか」
「…了解した」
一礼し執事は扉の奥に消えていった。その扉をじっと見ながらアルフはそのままその場で考え込んだ。
──体調は悪いがそれが原因ではない…では何が原因だと言うのか…
──とりあえず明日殿下にあって聞けばいいことだ
明日には全てが明らかになると、少し足取り軽く寮に帰った。
次の日学園にセドリックは来なかったが、それはわかっていた事なので気にせず、アルフは通常通り授業を受けていた。
全てが終わり昨日と同じように尋ね呼び鈴を鳴らす。
すぐに出てくると思っていたが、今日も待たされる。
──今日は約束したし…おかしいな…
もう一度鳴らそうかと一歩足を出した時扉があき、昨日の少年が出てきたが様子がおかしい。目は腫れており明らかに泣いている。
「アルフ様…お待たせ…しました」
「どうした?何かあったのか?」
アルフが声をかけるとその少年は泣き崩れ
「昨日対応した…祖父が…亡くなりました」
「っ!!」
驚いて声が出なかったが、驚いている場合ではない。
「何があった!殿下は無事か!」
「…中でお待ちです。ご案内いたします」
目を擦り涙を拭きながらその少年が扉を開け、一緒に中に入った。
普段ならすぐに反応があるはずがしばらく待っていても誰も出てこない。
もう一度呼び鈴を鳴らし待っているといつもの執事ではなくアルフと同じ歳か下の少年が出てきた。
アルフの顔を見て慌てて一礼し、そのまま話し始めた。
「アルフ様大変申し訳ございません。今ご案内出来ません」
「こちらが約束なしで来ているのは承知している。しかし今回は通してもらえないだろうか?」
「申し訳ございません」
「では殿下の様子だけでも教えてもらえないか?」
「申し訳ございません」
何度かこのやり取りを繰り返す。
頭を下げたまま断ってこいと言われているのか、ずっとそのままで答える男を見て、軽くため息を吐き腰に手を当て頭を振る。
「では、明日お会いできるかだけでも確認取ってくれないか?」
「…しばらくお待ちください」
困惑した顔をしたが踵を返し扉の中に入って行った。
──こちらもこのままでは納得できない
そのまま待っていると、いつもの執事が出てきた。
「アルフ様大変申し訳ございませんでした。今殿下はお会いできる状態ではなく…」
「殿下はやはり体調が悪いのか?それでパーティーにも来れなかった…?」
「そうではないのです…」
「違うのか?」
いつもとは様子の違う執事は珍しく狼狽えていた。体調が原因ではないと言ってから思い詰めたように下を向きそのまま話し始めた。
「本日はまだ殿下の状態が良くないですので明日同じ時間におこし頂けますか」
「…了解した」
一礼し執事は扉の奥に消えていった。その扉をじっと見ながらアルフはそのままその場で考え込んだ。
──体調は悪いがそれが原因ではない…では何が原因だと言うのか…
──とりあえず明日殿下にあって聞けばいいことだ
明日には全てが明らかになると、少し足取り軽く寮に帰った。
次の日学園にセドリックは来なかったが、それはわかっていた事なので気にせず、アルフは通常通り授業を受けていた。
全てが終わり昨日と同じように尋ね呼び鈴を鳴らす。
すぐに出てくると思っていたが、今日も待たされる。
──今日は約束したし…おかしいな…
もう一度鳴らそうかと一歩足を出した時扉があき、昨日の少年が出てきたが様子がおかしい。目は腫れており明らかに泣いている。
「アルフ様…お待たせ…しました」
「どうした?何かあったのか?」
アルフが声をかけるとその少年は泣き崩れ
「昨日対応した…祖父が…亡くなりました」
「っ!!」
驚いて声が出なかったが、驚いている場合ではない。
「何があった!殿下は無事か!」
「…中でお待ちです。ご案内いたします」
目を擦り涙を拭きながらその少年が扉を開け、一緒に中に入った。
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