意地を張っていたら6年もたってしまいました

Hkei

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25 謎 (アルフ視点)

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パーティーの次の日アルフはセドリックに会うために学園に行った。

昨日何も連絡もよこさず来なかった事、妹を傷つけた事を問い詰め、返答次第では父親から預かった書類を出すつもりでいた。

学園の門をくぐってから真っ直ぐにセドリックのクラスに向かった。中に入り見渡すがセドリックはいなかった。

「殿下はまだ来られてないか?」

座っていたクラスメイトに聞くが今日はまだ来ていないと言われどうしようかと考えていると、もうひとつの入口からピンク色の髪を揺らしながら入ってくる人物が見えた。

レイラから少し前の騒動を聞いていたが、何も反省することも無くセドリックの側にいるコラリーに怒りを感じていたからか、顔を見た瞬間駆け寄っていた。

いきなり近づいてきたアルフに怪訝な顔をしながらも繕った笑顔を向け話しかけた。

「アルフ様別のクラスにおこしになるなんて珍しいですわね」
「貴方は数日前、私の妹にしたことを反省しないのか!!」

アルフが強い口調で尋ねるも、コラリーは考えもせず答えた。

「私、レイラ様とお会いしておりませんが?何かの間違いでは?」 
「は?貴方が殿下の元に押しかけて…」

「アルフ様酷いですわ!私がそんな事する訳ないではありませんか」

わっと机に突っ伏し泣き出した。

「誤魔化す気か?貴方が王族専用区域に許可なく入ったのだろう!」
「そんな事許可もなしにいたしません!本当に酷いです」

心外だと泣いているコラリーを見ていると嘘をついているようには見えない。


──どういう事だ…?

周りが騒がしくなってきた為、再度確認の為コラリーに聞く。

「本当に貴方はお茶会に乗り込んだりは…」
「しておりません」

「それは…すまない」

一応謝罪をしてそのまま教室から出たアルフはものすごい違和感を感じ混乱していた。
もしコラリーが嘘をついていたとしても、何も咎を受けず今までいることもおかしい。
嘘をついていないとすると…



──お茶会の日の事だけ忘れているのか?

そんな都合のいい話があるわけないと頭を振る。

そのまましばらく待っていたがセドリックは学園に来なかった。


──もしかして体調でも悪かったか?いや…その場合は連絡が来るはずだ。


一度寮に戻りどうするか考えていたが、先延ばしにできない。セドリックに会う為に王族専用区域に向かった。
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