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19 謁見
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朝食を済ませ一度部屋に戻ると、アイナが今日のドレスを用意をして待っていた。
「お嬢様少し暑いかもしれませんが、我慢してくださいね」
控えの間に行くだけとはいえ、簡略化されたドレスでは通用しない。
公爵家令嬢として恥ずかしくないようにアイナが用意してくれた。
ちょうど用意が終わった頃、エミリアか迎えに来た。
「レイラ様お支度大丈夫でしょうか?」
「ええ、何時でも大丈夫よ」
エミリアも騎士として正装している為、凛とした気品が溢れていた。
「エミリア…とても素敵ね」
「レイラ様もとても美しいですよ」
「お二人共とても素敵です!行ってらっしゃいませ」
レイラとエミリアは顔を見合わせ微笑み合う。
馬車までエミリアがエスコートしてくれ、ジョスタンと一緒の馬車に乗った。
王宮まではさほど距離もないのですぐに到着したが、国王との謁見は謁見するまでのしきたりや手続きが多く、かなり馬車の中で待たされた。
やっと王宮内に入れても、控えの間に通されまた暫く待たされる。
「お待たせしました。ダンヴィル公爵様こちらへ」
やっとジョスタンが呼ばれた。
「では行ってくる」
「行ってらっしゃいませ。お父様」
扉の向こうへ出ていく父親を見送りレイラは少し安心し小さく息を吐いた。
「ここまで来るとやはり緊張しますね」
「後少しの我慢ですよ」
父親の謁見はすぐに終わるはずと少し楽観的に考えていた。
◇◆◇
「ダンヴィル公爵久しぶりだな」
「国王陛下にご挨拶申しあげ…」
「もうよい。何度も会っているしそう堅苦しい挨拶はなしにしよう」
エルンテ国の国王は親しみやすい笑顔で、しかし油断していては取り込まれるような視線をジョスタンに向けている。
「此度は普段より大掛かりな入国だったようだな」
ピクっとジョスタンの肩が動いたが、表情は変えず国王とその横にいる第一王子を見る。
「貿易の交渉の為、商品も多数持ってきております。その為隊としては大きくなりました」
「…なるほどね。では宿に若い令嬢が一緒なのは?」
そこまで分かっていながら何故聞いてくるのか不思議だったが、誤魔化すのも変なので素直に答える。
「今回は助手として娘を同行させております。直接交渉の場には出しませんので…お伝えせず申し訳ございません」
「では、ご令嬢はお時間あるのですね?」
国王の横に立っている第一王子であるグリードがジョスタンに声をかけた。
がっしりとした体格に焼けた褐色の肌、長い黒髪をひとつにまとめ漆黒の目を細めジョスタンの近くまで歩いて来た。
「あるにはありますが…」
近づいてくる王子の意図が分からず少し戸惑うが、発表されていない今はレイラはまだラファラン国第一王子の婚約者である。
他国の王子と関わらせない方がいいと瞬時に判断する。
「殿下に気にしていただく事はございません。娘は…」
「自国から出たのは初めてですよね?私がこの国を案内しましょう!」
「は?」
驚きのあまり真横に来たグリードに間抜けな声をあげてしまった。
「お嬢様少し暑いかもしれませんが、我慢してくださいね」
控えの間に行くだけとはいえ、簡略化されたドレスでは通用しない。
公爵家令嬢として恥ずかしくないようにアイナが用意してくれた。
ちょうど用意が終わった頃、エミリアか迎えに来た。
「レイラ様お支度大丈夫でしょうか?」
「ええ、何時でも大丈夫よ」
エミリアも騎士として正装している為、凛とした気品が溢れていた。
「エミリア…とても素敵ね」
「レイラ様もとても美しいですよ」
「お二人共とても素敵です!行ってらっしゃいませ」
レイラとエミリアは顔を見合わせ微笑み合う。
馬車までエミリアがエスコートしてくれ、ジョスタンと一緒の馬車に乗った。
王宮まではさほど距離もないのですぐに到着したが、国王との謁見は謁見するまでのしきたりや手続きが多く、かなり馬車の中で待たされた。
やっと王宮内に入れても、控えの間に通されまた暫く待たされる。
「お待たせしました。ダンヴィル公爵様こちらへ」
やっとジョスタンが呼ばれた。
「では行ってくる」
「行ってらっしゃいませ。お父様」
扉の向こうへ出ていく父親を見送りレイラは少し安心し小さく息を吐いた。
「ここまで来るとやはり緊張しますね」
「後少しの我慢ですよ」
父親の謁見はすぐに終わるはずと少し楽観的に考えていた。
◇◆◇
「ダンヴィル公爵久しぶりだな」
「国王陛下にご挨拶申しあげ…」
「もうよい。何度も会っているしそう堅苦しい挨拶はなしにしよう」
エルンテ国の国王は親しみやすい笑顔で、しかし油断していては取り込まれるような視線をジョスタンに向けている。
「此度は普段より大掛かりな入国だったようだな」
ピクっとジョスタンの肩が動いたが、表情は変えず国王とその横にいる第一王子を見る。
「貿易の交渉の為、商品も多数持ってきております。その為隊としては大きくなりました」
「…なるほどね。では宿に若い令嬢が一緒なのは?」
そこまで分かっていながら何故聞いてくるのか不思議だったが、誤魔化すのも変なので素直に答える。
「今回は助手として娘を同行させております。直接交渉の場には出しませんので…お伝えせず申し訳ございません」
「では、ご令嬢はお時間あるのですね?」
国王の横に立っている第一王子であるグリードがジョスタンに声をかけた。
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「あるにはありますが…」
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他国の王子と関わらせない方がいいと瞬時に判断する。
「殿下に気にしていただく事はございません。娘は…」
「自国から出たのは初めてですよね?私がこの国を案内しましょう!」
「は?」
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