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お似合い
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そんなある日のことだった。
いつものようにあの人が見上げて来て、自分が手をひらひらと振ってやる。
そうすると彼は喜んでにこやかに手を振り返してくれる。
まるでお天道様のようだ。あぁ可愛らしい。
男に可愛いなどとおべっかで使う以外は考えた事がなかった。
そんな事を考えていると、彼の後ろからひょっこりと女の子が現れた。
彼の着ている着物の生地とは大分違った質のいい明るい色の着物を着ている。
すると彼女が、
「三太さん。こんなところで何を?」
と可愛らしい声で彼を呼んだ。
あぁ彼の名は三太と言うのか。
今の今まで彼の名も知りゃしなかった。
彼が酒樽を運んで通るのを見るので酒屋のお嬢さんだろうかと思った。
「あぁお嬢さんこそこんなところで・・・。」
思った通り、彼が少女に対してそう言った。
やはり・・・。でも何だか彼女の彼への視線が気になった。
じっと彼を見る様は、何だか焦れるような・・・。
嫉妬というものかも知れない。
仕事をさぼっていると思われるのも可哀想なもんだから、
そっと彼に目配せして窓を静かに閉めた。
いつものようにあの人が見上げて来て、自分が手をひらひらと振ってやる。
そうすると彼は喜んでにこやかに手を振り返してくれる。
まるでお天道様のようだ。あぁ可愛らしい。
男に可愛いなどとおべっかで使う以外は考えた事がなかった。
そんな事を考えていると、彼の後ろからひょっこりと女の子が現れた。
彼の着ている着物の生地とは大分違った質のいい明るい色の着物を着ている。
すると彼女が、
「三太さん。こんなところで何を?」
と可愛らしい声で彼を呼んだ。
あぁ彼の名は三太と言うのか。
今の今まで彼の名も知りゃしなかった。
彼が酒樽を運んで通るのを見るので酒屋のお嬢さんだろうかと思った。
「あぁお嬢さんこそこんなところで・・・。」
思った通り、彼が少女に対してそう言った。
やはり・・・。でも何だか彼女の彼への視線が気になった。
じっと彼を見る様は、何だか焦れるような・・・。
嫉妬というものかも知れない。
仕事をさぼっていると思われるのも可哀想なもんだから、
そっと彼に目配せして窓を静かに閉めた。
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