花火

天野 帝釈

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もやり

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食事を作り終え、暫く待っていたが、相楽は中々帰ってこない。

おミツは少し残念な気分になりながら、貰っている褒美のためと相楽を探しに出る事にした。

昨日と同じ場所だろうか。

上裸を見るのは気が引けるが迎えに行くしかなさそうだ。

一つ溜息を吐くと、重い腰を上げて昨日相楽のいた滝壺へ駆けて行った。

滝壺に着くと、相楽の方がおミツの声掛けより先に気付いたようで、
手でおミツを制すると、指で後ろを向くよう促した。

おミツが後ろを向いて待っていると、着物を正した相楽が歩いてくる。

「お主も変わった娘だ。村の男達の裸等野良仕事の時見慣れているのではないか。」

おミツはカッと顔の熱が上がるのを感じた。

「若い衆はとっとと戦にいっちまってここにゃいないんでさ。」

恥ずかしくなってドギマギ説明すると、いつものようについつい言葉が崩れてしまう。

相楽は特に気にしていないようだ。

元より身分の低い田舎娘のおミツに等期待していないのだろう。

おミツの口調等気にも留めず、
「成程男手なく暮らしを送るのは大変そうだ。」
と興味なさげに言うとひょいひょいと速足で先に帰って行ってしまった。



おミツはほんの少しもやりとしたが、
身分が低い者相手に威張りちらす武士(もののふ)よりもましとかと思い直し、小走りでついて行った。

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