今日から死体と暮らします。

まぐろ

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子供と死体

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朝、優馬が心配だったからかいつもより早く起きた。最近は優馬のほうが起きるのが早く、目覚まし時計みたいになっていたから、俺が先に起きるのは珍しい。

眠っている優馬を見ると、少し安心した。
呼吸もしていて、脈もある。それにちゃんと血が通っている。

「う…んん…んゃぁ…」

少し寝言を言って、優馬は目を開けた。もう瞳孔は開ききっていない。ようやく、普通の子供として育てられる。
まずは何をしよう。約束していた遊園地に行こうか。それより先に、温かい朝食を用意しなくては。

「優馬おはよう。気分はどうだ…?」

「……お兄さん…だれ…?」

優馬が放った一言は、俺を絶望させるには十分すぎた。優馬が言ったとおりになった。
あんなに俺に甘えてきたあの子が、俺と結婚したいなんて言っていたあの子が、俺を忘れた。
もう大人だというのに、膝から崩れ落ちてぼろぼろ泣いた。

「ゆ、優馬…う、嘘だよな、ひぐっ…う、だ、だって昨日は…!!」

「お兄さんなんで泣いてるの…?悲しいこと、あったの…?」

よしよし…と優馬は俺の頭を撫でる。
ああ……この子は、優馬だ…。可愛くて優しくて。何も変わっていないのに、俺の事は忘れてしまった。

「ゆ…あ…君…自分の名前は、分かる…?」

「僕は優馬だよ…?お兄さん、僕のこと呼んでたでしょう…?」

優馬の高くて可愛い声は、もう俺をお兄ちゃんなんて読んでくれなかった。
朝だというのに目の前が真っ暗になった気がした。優馬が生きているのに、柔らかくて温かい手が、俺に触れてくれているというのに。

「優馬は俺が治す…絶対…」

「お兄さん、どうして僕を見て泣くの…?」

なんだか優馬も泣きそうな顔になってくる。駄目だ。大好きな優馬を泣かせるなんてこと、俺は嫌だ。

ちょうどその時、優馬のお腹がきゅるるる…と鳴った。
そうだ、朝食。俺の料理を食べたら、優馬は何か思い出してくれるかもしれない。
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