9 / 33
用品店
しおりを挟む
優馬がゾンビになって、その行動パターンも覚えられてきた。きっと今なら、優馬を連れて出かけることができそうだ。
そう思って俺は、ゾンビ用品が売っている小さな店へと向かった。ゾンビ化の増加に伴い、こういった店も増加していった。
「いらっしゃいませー」
ゾンビ用品の店は、店員もゾンビであることが多い。なぜなら、ゾンビに関しての質問に一番答えられるのはゾンビ自身だからだ。
「どうだ優馬、気になるものあるか?」
「ぅー……」
優馬は俺の手を握って、小さな声で唸る。そういえば始めて来た場所にはいつもこんな感じだったっけ。
そんな様子ながらも優馬は、ある一点を見つめていた。見つめているあたりには、ゾンビが飲む防腐薬がある。
「これか…あ、あっちにお札あるぞ。」
警察が優馬に付けたものと同じお札が売られている。原理はわからないがゾンビが動きやすくなるお札だ。白い札が赤く縁取られた、そんな見た目だ。
メモのような使い方もできるから、忘れものが多くなってしまったゾンビにも需要がある。
お札を貼る場所はどこでもいいらしいが、優馬は頭に貼り付けるのが気に入っていた。
「うーうー」
「どうしたー?んー…?あー…」
優馬がゆっくりとした動きで指差した先には、一人のゾンビがいた。それも、少し腐り始めてもう人間には戻れないであろうゾンビだ。
でもきっとあの人はゾンビとして生きることを決めたのだろう。花や綺麗な飾りで傷を飾り、わざと見せるような服を着て歩いている。
優馬と違って表情も明るく、すれ違う人に挨拶をしている。なんだか楽しそうだ。
「いいな………優馬も、あんな顔してくれたらいいのに……」
「………ぅ…」
俺は会計を済ませ、店を出ようとした。だが、優馬がバランスを崩したのか転んでしまった。
ゆっくりした動作では受け身が取れず、地面にごろんと転がる形で優馬は倒れる。
「優馬…!?大丈夫か…?」
慌てて優馬を抱き起こそうとするが、優馬はいやいやと言うように首を振った。ぎこちない動きで、自分で立ち上がって俺の方を見る。
「あ…、優馬、大丈夫か…よかった……」
「ぅ……」
優馬の手を握ってまた歩き出す。優馬は家につくまでずっと、不満げに唸っていた。理由はわからない。
「うー…うー…」
「ちょっと休憩…待ってな優馬、少し休んだら、一緒に、遊ぶから……」
貧血のせいかどっと疲れて、床に寝転ぶ。
不満げな優馬を置いて、俺はいつの間にか眠ってしまっていた。
そう思って俺は、ゾンビ用品が売っている小さな店へと向かった。ゾンビ化の増加に伴い、こういった店も増加していった。
「いらっしゃいませー」
ゾンビ用品の店は、店員もゾンビであることが多い。なぜなら、ゾンビに関しての質問に一番答えられるのはゾンビ自身だからだ。
「どうだ優馬、気になるものあるか?」
「ぅー……」
優馬は俺の手を握って、小さな声で唸る。そういえば始めて来た場所にはいつもこんな感じだったっけ。
そんな様子ながらも優馬は、ある一点を見つめていた。見つめているあたりには、ゾンビが飲む防腐薬がある。
「これか…あ、あっちにお札あるぞ。」
警察が優馬に付けたものと同じお札が売られている。原理はわからないがゾンビが動きやすくなるお札だ。白い札が赤く縁取られた、そんな見た目だ。
メモのような使い方もできるから、忘れものが多くなってしまったゾンビにも需要がある。
お札を貼る場所はどこでもいいらしいが、優馬は頭に貼り付けるのが気に入っていた。
「うーうー」
「どうしたー?んー…?あー…」
優馬がゆっくりとした動きで指差した先には、一人のゾンビがいた。それも、少し腐り始めてもう人間には戻れないであろうゾンビだ。
でもきっとあの人はゾンビとして生きることを決めたのだろう。花や綺麗な飾りで傷を飾り、わざと見せるような服を着て歩いている。
優馬と違って表情も明るく、すれ違う人に挨拶をしている。なんだか楽しそうだ。
「いいな………優馬も、あんな顔してくれたらいいのに……」
「………ぅ…」
俺は会計を済ませ、店を出ようとした。だが、優馬がバランスを崩したのか転んでしまった。
ゆっくりした動作では受け身が取れず、地面にごろんと転がる形で優馬は倒れる。
「優馬…!?大丈夫か…?」
慌てて優馬を抱き起こそうとするが、優馬はいやいやと言うように首を振った。ぎこちない動きで、自分で立ち上がって俺の方を見る。
「あ…、優馬、大丈夫か…よかった……」
「ぅ……」
優馬の手を握ってまた歩き出す。優馬は家につくまでずっと、不満げに唸っていた。理由はわからない。
「うー…うー…」
「ちょっと休憩…待ってな優馬、少し休んだら、一緒に、遊ぶから……」
貧血のせいかどっと疲れて、床に寝転ぶ。
不満げな優馬を置いて、俺はいつの間にか眠ってしまっていた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる