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みーつけた
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「あ…も、もう朝…!?や、やば、早く起きて歩かなきゃ…」
目を覚ますとあたりは明るく、僕がいる場所も目立ってしまっていた。
『僕は何回も起こしたのに。相当疲れてたんじゃない?』
空き地から出て、きょろきょろとあたりを見回すと、いた。ご主人様が。
怖い顔で、まっすぐ歩いてくる。僕ができることはただ1つ。このままここに隠れる事だ。
「隠れるから…だまっててね…」
『僕の声は君にしか聞こえてないから…』
目を瞑って息を潜めて身体を丸める。ご主人様の足音が止むまでこうしているつもりだ。
アスファルトを歩く足音は右から左に、そして止んだ。僕はふう…と息を吐き、また歩こうと立ち上がろうとした。が。
「祐希くん、逃げるなんて酷いじゃんねぇ??せっかく言うとおりに愛してあげたのに…ねえ、なんで?」
「あ……あっ…あっ…!!あ……!!」
ご主人様の顔があった。どす黒い感情がそのまま声になって僕の耳の中に響く。僕は弾かれたように逃げ出した。
「ごめんなさいご主人様ごめんなさいご主人様ごめんなさいぃぃっ…!!!」
「あっ、待ってよ、なんで逃げるの?祐希くん俺の事好きって言ってたのに酷いなー」
『うわあああ揺れるぅぅ祐希くん僕の手千切れちゃうよぉおお』
ぬいぐるみの手を握っていたからぬいぐるみはぶんぶん揺れて悲鳴を上げた。ご主人様の声が後ろからするたびに僕はパニックになってじたばた走った。
パンッ
「っ…え?」
とんっ…という軽い衝撃と共に、僕は転んだ。何が起きたのか分からず起き上がり、また走ろうとした。そうしたらまた軽い衝撃。
「逃げるからだよ祐希くん。このまま殺しちゃっていい?晒し首って事で玄関に飾ろうかなぁ?ねえねえ聞いてる??」
「なにこれなにこれお腹、血、痛…い…?うそ、でしょ…?」
ご主人様が銃を打った。僕に向けて。
結末は決まっていた。もう逃げられない。それと、もうご主人様は僕を許してはくれない。それ相応の罰を下されるか、きっと殺される。
「ゆ…許し…て…」
「んー?やだ。」
ご主人様がまた引き金を引く。今度は3回。僕は死にそうになって怖いはずなのに、2日間の自由が楽しかったなぁ…と呑気に考えていた。
✱✱✱✱✱✱
すっかり動かなくなった僕を、ご主人様は引きずって運んだ。アスファルトは血で汚れ、太陽に照らされた。
目を覚ますとあたりは明るく、僕がいる場所も目立ってしまっていた。
『僕は何回も起こしたのに。相当疲れてたんじゃない?』
空き地から出て、きょろきょろとあたりを見回すと、いた。ご主人様が。
怖い顔で、まっすぐ歩いてくる。僕ができることはただ1つ。このままここに隠れる事だ。
「隠れるから…だまっててね…」
『僕の声は君にしか聞こえてないから…』
目を瞑って息を潜めて身体を丸める。ご主人様の足音が止むまでこうしているつもりだ。
アスファルトを歩く足音は右から左に、そして止んだ。僕はふう…と息を吐き、また歩こうと立ち上がろうとした。が。
「祐希くん、逃げるなんて酷いじゃんねぇ??せっかく言うとおりに愛してあげたのに…ねえ、なんで?」
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「ごめんなさいご主人様ごめんなさいご主人様ごめんなさいぃぃっ…!!!」
「あっ、待ってよ、なんで逃げるの?祐希くん俺の事好きって言ってたのに酷いなー」
『うわあああ揺れるぅぅ祐希くん僕の手千切れちゃうよぉおお』
ぬいぐるみの手を握っていたからぬいぐるみはぶんぶん揺れて悲鳴を上げた。ご主人様の声が後ろからするたびに僕はパニックになってじたばた走った。
パンッ
「っ…え?」
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「逃げるからだよ祐希くん。このまま殺しちゃっていい?晒し首って事で玄関に飾ろうかなぁ?ねえねえ聞いてる??」
「なにこれなにこれお腹、血、痛…い…?うそ、でしょ…?」
ご主人様が銃を打った。僕に向けて。
結末は決まっていた。もう逃げられない。それと、もうご主人様は僕を許してはくれない。それ相応の罰を下されるか、きっと殺される。
「ゆ…許し…て…」
「んー?やだ。」
ご主人様がまた引き金を引く。今度は3回。僕は死にそうになって怖いはずなのに、2日間の自由が楽しかったなぁ…と呑気に考えていた。
✱✱✱✱✱✱
すっかり動かなくなった僕を、ご主人様は引きずって運んだ。アスファルトは血で汚れ、太陽に照らされた。
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