奴隷を使った実験録。

まぐろ

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二日目

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ご主人様から逃げてから2日目に入った。1日で捕まってしまうかと思っていたが、予想以上に遠くまで逃げられた。

『お腹空いたよね。何食べるの?』

「どうしよ…これでいいかなぁ…」

地面に生えていた雑草を抜き取り、土をはたいて口に運ぶ。苦くてえぐくて、食べられたものじゃない。けど、僕はもともとこういう物を食べていた。だからむしゃむしゃ食べ続けた。

「水、水…あ、あった…」

『祐希くんって動物みたいだね。』

溜まっていた雨水を、ぴちゃぴちゃと音を立てて飲んだ。奴隷施設にいたときは、どうしても喉が乾いたら結露した配管を舐めるしかなかった。

「ご主人様は、怒ってるかな。」

『怒ってるし、今も探してるよ。捕まったら祐希くん、駄目にされちゃうかもね。』

捕まったらご主人様は僕を殺してしまうだろうか。ご主人様がここに来るまではまだ時間があるはずだから、まだ逃げられる。
休まず歩き、お腹が空いたら雑草や虫を食べる。ぬいぐるみが居てくれるなら僕は頑張れる。僕は1人じゃない。
それに、こんなに自由に走り回れたのは生まれて初めてだ。自由があって友達がいる。これが僕が欲しかったものなのかもしれない。

「僕達どこまで逃げたらいいのかな?」

「ご主人様が祐希くんに興味をなくすまで。がんばって。」

ご主人様が僕を追いかけなくなるまで、僕は逃げる。逃げなくちゃいけない。捕まったら何をされるかわからないからだ。

でも、1つおかしい点があった。
ご主人様は僕のことを完全に支配しているような口ぶりだった。僕が逃げる事くらい想定していてもおかしくない。それならどうして…

「いや…考え過ぎだよね…さすがに、ご主人様も僕の場所、わかんないでしょ…」

『そうだよ!超能力を持ってるわけじゃないんだからさ!』

しばらく歩いて、少し草が茂っている空き地を見つけた。端っこに行って座る。今日はここで眠ろう。

『こんな所で大丈夫?』

「ここは影になってるからきっと大丈夫なはず…」

『雑だなぁ…』

僕も少し心配になってきたが、時間的にもう寝たほうが良い。暗いうちに隠れながら歩ける場所を探さないといけないからだ。
僕は草の上に寝っ転がり、しっかりとぬいぐるみを抱いて眠った。



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