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僕の手足
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1週間後、僕は相変わらず床でころころしながらぬいぐるみと喋っていた。ご主人様はその様子を無言で見守る。なぜかはわからない。
『僕はその新入りに言ったんだよ!綿が白くても心が真っ黒じゃないか!って!』
「あはは…!それで…その新人さんはどうなったの?」
『ああ、あいつならあそこに──』
ぬいぐるみに言われた方を向こうとしたが、僕の目の前にはいつの間にかご主人様が立っていた。真顔で僕の顔をじーっと見ている。
「な…なにかついてますか…?」
「ん。」
ご主人様は僕を持ち上げ、頬に軽くキスをしてくれた。僕は真っ赤になって俯く。嬉しいのと今更恥ずかしくなってしまった。
「祐希くんにプレゼントがあるんだけど、着けてあげるから目閉じててくれる?」
「ふぇ…?は、はい…」
僕が目を閉じると、なにやらカチャカチャという音がし始めた。それと同時に、僕の手足を触られる。短くなった手足を触られて、時折ピクッと反応してしまう。
「はい、できた。あとはこれ着てね。」
「ん…?はい…もう目を開けてもいいですか…?」
「うん。いいよ。」
僕は目を開けた。手足がなんだか重たい。右手を引きずるみたいに動かして見てみると、手が付いていた。透明な手に、スズランの模様が付いている。足も同様だった。なんだか可愛い手足で、ぬいぐるみも褒めてくれた。
「ぼ…僕の手と足…!」
「藤にお礼言うんだよ?なんか徹夜して色々やって、調整まで終わらせてくれたんだから。」
僕は頷く。こんなに可愛いものを藤さんが。この手足は、ガラスみたいに透き通っているけどふにふにしていて柔らかい。材質は何だろう?
ご主人様は僕の手を握ると、立たせようとしているのか引っ張ってきた。
「あっ、おっとっと…!!」
「綺麗だね、祐希くん…この調子で身体も頭も透明に…」
「流石にそれは死んじゃいます…」
「冗談だよ」
ご主人様は僕を見ながらにやにやしている。
これがあればご主人様とお散歩できる。買い物も、また一緒に行ける。しかも今回は殴られたりしない。
「ご主人様…!一緒にお散歩に…!」
「ああ、お散歩もいいけど…少し慣らそう?ふらふらしちゃうでしょう?」
確かにバランスが取りにくい。力の入れ方も難しいし、練習が必要だ。流石ご主人様。優しくて僕は嬉しくなった。
「……まぁ…すぐ外すけどね…」
ご主人様がボソッとこぼした言葉を、僕は聞いてなんかいなかった。
『僕はその新入りに言ったんだよ!綿が白くても心が真っ黒じゃないか!って!』
「あはは…!それで…その新人さんはどうなったの?」
『ああ、あいつならあそこに──』
ぬいぐるみに言われた方を向こうとしたが、僕の目の前にはいつの間にかご主人様が立っていた。真顔で僕の顔をじーっと見ている。
「な…なにかついてますか…?」
「ん。」
ご主人様は僕を持ち上げ、頬に軽くキスをしてくれた。僕は真っ赤になって俯く。嬉しいのと今更恥ずかしくなってしまった。
「祐希くんにプレゼントがあるんだけど、着けてあげるから目閉じててくれる?」
「ふぇ…?は、はい…」
僕が目を閉じると、なにやらカチャカチャという音がし始めた。それと同時に、僕の手足を触られる。短くなった手足を触られて、時折ピクッと反応してしまう。
「はい、できた。あとはこれ着てね。」
「ん…?はい…もう目を開けてもいいですか…?」
「うん。いいよ。」
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「ぼ…僕の手と足…!」
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僕は頷く。こんなに可愛いものを藤さんが。この手足は、ガラスみたいに透き通っているけどふにふにしていて柔らかい。材質は何だろう?
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「あっ、おっとっと…!!」
「綺麗だね、祐希くん…この調子で身体も頭も透明に…」
「流石にそれは死んじゃいます…」
「冗談だよ」
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これがあればご主人様とお散歩できる。買い物も、また一緒に行ける。しかも今回は殴られたりしない。
「ご主人様…!一緒にお散歩に…!」
「ああ、お散歩もいいけど…少し慣らそう?ふらふらしちゃうでしょう?」
確かにバランスが取りにくい。力の入れ方も難しいし、練習が必要だ。流石ご主人様。優しくて僕は嬉しくなった。
「……まぁ…すぐ外すけどね…」
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