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60日目:修理
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今日はお兄さんに起こされた。睡眠時間は元の時間に戻りつつある。前にお兄さんとした、僕の部屋では犬語は絶対という約束は僕がどの部屋でも犬語を使うから無いものになってきてしまっていた。
「風音、いつもより少しだけ部屋暗いんだけど…これくらいなら大丈夫?」
「あ…う、わんっ」
「わんわん言うのも治らないね…使い分けが出来なくなっちゃった感じかな…」
僕がお兄さんの膝に頭を乗せると、お兄さんは優しく撫でてくれた。嬉しいけど、少しだけ申し訳ない。お兄さんのせいとはいえ、これだけ反省されると罪悪感を感じてしまう。
「っぼ…僕のこと、叩いても…いいんだよ……?」
「え?いや…でも…今は…」
そんな気分じゃない。分かっている。お兄さんが僕に対して少し気まずいと感じているのは僕もわかる。でもこのまま過ごすのは嫌だった。
「わんっ、頑張って治す、から…お兄さん…僕を好きでいてくれる…?」
「そ、それはもちろん!」
なんとなく窓の外を眺めると、庭の雑草が伸びていた。いつもお兄さんは雑草も綺麗に抜くのに……そんなに僕が心配だったんだろうか。いや、それは自意識過剰かもしれない。
「とにかく風音、どうやって治そうか…電気びりびりしてみる?それとも…」
「お兄さん…わん…えっと…喋る練習…したい、から…何か話そう…」
僕が提案すると、お兄さんはああそうか、みたいな顔をして僕の提案に乗ってくれた。お兄さんはまだ混乱しているんだろうか、さっき僕を痛めつけたくないといったくせに、電気なんて。
「何話そうか…近況報告?俺は仕事うまく行ってるよ。」
「よかったね…お兄さん、会社?に…お友達、いるの…?」
「あーうん。まあまあ…?会ってないけど。」
お兄さんがつく嘘はすぐ分かる。お兄さんの目が泳ぎまくっているから。必死にごまかすお兄さんが面白くて、僕は少し笑ってしまった。そうだ、僕がしたかったのはこういう事だ。他愛のない話で笑い合う。今が一番幸せなんじゃないか。
「僕は…えと…わん…夢によく、お兄さんが出てきて…一緒に遊ぶ…」
「へぇ~、いいね。夢の中の俺はどんな感じなのかな。かっこいい?」
「わん。ドッグランの、ときみたいに、危ないのから守ってくれるの。」
まさかあの危なそうな男の人が僕の担任だったとは知らなかったけど。お兄さんはきっと知らないんだろう。僕が元に戻ったら、世間話として話そうと思った。
もう、先生と会うことはないのだけれど。
「風音、いつもより少しだけ部屋暗いんだけど…これくらいなら大丈夫?」
「あ…う、わんっ」
「わんわん言うのも治らないね…使い分けが出来なくなっちゃった感じかな…」
僕がお兄さんの膝に頭を乗せると、お兄さんは優しく撫でてくれた。嬉しいけど、少しだけ申し訳ない。お兄さんのせいとはいえ、これだけ反省されると罪悪感を感じてしまう。
「っぼ…僕のこと、叩いても…いいんだよ……?」
「え?いや…でも…今は…」
そんな気分じゃない。分かっている。お兄さんが僕に対して少し気まずいと感じているのは僕もわかる。でもこのまま過ごすのは嫌だった。
「わんっ、頑張って治す、から…お兄さん…僕を好きでいてくれる…?」
「そ、それはもちろん!」
なんとなく窓の外を眺めると、庭の雑草が伸びていた。いつもお兄さんは雑草も綺麗に抜くのに……そんなに僕が心配だったんだろうか。いや、それは自意識過剰かもしれない。
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「お兄さん…わん…えっと…喋る練習…したい、から…何か話そう…」
僕が提案すると、お兄さんはああそうか、みたいな顔をして僕の提案に乗ってくれた。お兄さんはまだ混乱しているんだろうか、さっき僕を痛めつけたくないといったくせに、電気なんて。
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「あーうん。まあまあ…?会ってないけど。」
お兄さんがつく嘘はすぐ分かる。お兄さんの目が泳ぎまくっているから。必死にごまかすお兄さんが面白くて、僕は少し笑ってしまった。そうだ、僕がしたかったのはこういう事だ。他愛のない話で笑い合う。今が一番幸せなんじゃないか。
「僕は…えと…わん…夢によく、お兄さんが出てきて…一緒に遊ぶ…」
「へぇ~、いいね。夢の中の俺はどんな感じなのかな。かっこいい?」
「わん。ドッグランの、ときみたいに、危ないのから守ってくれるの。」
まさかあの危なそうな男の人が僕の担任だったとは知らなかったけど。お兄さんはきっと知らないんだろう。僕が元に戻ったら、世間話として話そうと思った。
もう、先生と会うことはないのだけれど。
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