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50日目:平手
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「ゔ……あぇ……?」
さっきまで頭がぐらぐらしていたが、急に治った。薬が完全に抜けたらしい。抜けるのが早すぎるような気もするが、解毒剤が相当凄いものだったに違いない。
「よしよし、風音、俺のこと分かる?」
「わんわんっ」
僕の目の前にいるのは、僕が大好きないつものお兄さんだ。にこにこしながら返事をすると、お兄さんは安心したように息を吐いた。
「よかった、さっきまで話しかけてもぼーっとしたままだったから壊れちゃったのかと…」
「わんっ、?」
確かにさっきまで頭がおかしかった。ぐらぐらするような、ふわふわするような。不快感はなく、浮いているような感覚だった。お兄さんがもし僕の頭を壊してしまったら、僕は永遠にあんな感覚を味わうのだろうか。……お兄さんにしてもらえるならどんなことになっても構わないけど。
「……じゃ、再開ね。」
ばちん、と音が響く。気づけば僕は横を向いていて、脳が理解に追いつくと同時に、頬がビリビリと痛み始めた。でも、嫌じゃないし痛いけど何故か幸せだ。
「わ、わん?わん…?」
「いい感じ。上手上手…そうやって気持ちいいって自分で思い込むんだよ…」
僕の頭の中は疑問でいっぱいだった。なぜお兄さんはそんなに楽しそうに僕を叩いているのか。なぜ僕は思いっきり引っぱたかれているというのに多幸感を感じているのか。
答えはすぐに出た。ああ、もう僕は壊れてきているんだ。人間を捨て、なりたかった犬とも違うものになって。僕は今、犬と呼ばれる性奴隷なんじゃないか?
「…っ…!きゃんっ!きゃんっ!」
僕がなりたいのは性奴隷じゃない。お兄さんに愛されるペットだ。
いくらお兄さんが僕のことを愛していても、常に何でもしていいわけじゃない。何でもしていいのはえっちな事をするときだけだ。
「ゔゔゔぅぅ……」
「あれ、犬みたいな威嚇してどうしたの?叩かれるの好きでしょ?俺に支配されるの好きでしょう?」
さっきお兄さんに引っぱたかれて目が覚めた。これはおかしい事だ。いくら犬が飼い主のことを好きでも、叩かれたら嫌がるだろう。苦しいことを喜べなんて、そんなの犬がすることじゃない。
「言う事聞いてくれないの?」
「わんっ…犬は、いたい、いやです、……たたく、やめて…」
どうしてだろう。言葉がうまく出てこない。人間語が少しずつ僕の中から出てこなくなって……まさか僕は本当に犬に…
「分かってくれないんだ。君は俺だけの家族で、特別な犬なんだよ。完璧にしたいじゃん。お仕置きとして、俺の事理解してくれるまで閉じ込めるから。」
「え……?」
ぱちん、と部屋の電気が消える。ドアも閉められ、鍵のかけられる音がする。あ…お兄さんは僕のことを完全に壊す気だ。頭じゃなくて、僕の精神をぐちゃぐちゃにするつもりなんだ。
扉を叩いても返事はない。音も全然聞こえない。僕は暗闇の中、ぺたりと座ったまま途方に暮れることしかできなかった。
さっきまで頭がぐらぐらしていたが、急に治った。薬が完全に抜けたらしい。抜けるのが早すぎるような気もするが、解毒剤が相当凄いものだったに違いない。
「よしよし、風音、俺のこと分かる?」
「わんわんっ」
僕の目の前にいるのは、僕が大好きないつものお兄さんだ。にこにこしながら返事をすると、お兄さんは安心したように息を吐いた。
「よかった、さっきまで話しかけてもぼーっとしたままだったから壊れちゃったのかと…」
「わんっ、?」
確かにさっきまで頭がおかしかった。ぐらぐらするような、ふわふわするような。不快感はなく、浮いているような感覚だった。お兄さんがもし僕の頭を壊してしまったら、僕は永遠にあんな感覚を味わうのだろうか。……お兄さんにしてもらえるならどんなことになっても構わないけど。
「……じゃ、再開ね。」
ばちん、と音が響く。気づけば僕は横を向いていて、脳が理解に追いつくと同時に、頬がビリビリと痛み始めた。でも、嫌じゃないし痛いけど何故か幸せだ。
「わ、わん?わん…?」
「いい感じ。上手上手…そうやって気持ちいいって自分で思い込むんだよ…」
僕の頭の中は疑問でいっぱいだった。なぜお兄さんはそんなに楽しそうに僕を叩いているのか。なぜ僕は思いっきり引っぱたかれているというのに多幸感を感じているのか。
答えはすぐに出た。ああ、もう僕は壊れてきているんだ。人間を捨て、なりたかった犬とも違うものになって。僕は今、犬と呼ばれる性奴隷なんじゃないか?
「…っ…!きゃんっ!きゃんっ!」
僕がなりたいのは性奴隷じゃない。お兄さんに愛されるペットだ。
いくらお兄さんが僕のことを愛していても、常に何でもしていいわけじゃない。何でもしていいのはえっちな事をするときだけだ。
「ゔゔゔぅぅ……」
「あれ、犬みたいな威嚇してどうしたの?叩かれるの好きでしょ?俺に支配されるの好きでしょう?」
さっきお兄さんに引っぱたかれて目が覚めた。これはおかしい事だ。いくら犬が飼い主のことを好きでも、叩かれたら嫌がるだろう。苦しいことを喜べなんて、そんなの犬がすることじゃない。
「言う事聞いてくれないの?」
「わんっ…犬は、いたい、いやです、……たたく、やめて…」
どうしてだろう。言葉がうまく出てこない。人間語が少しずつ僕の中から出てこなくなって……まさか僕は本当に犬に…
「分かってくれないんだ。君は俺だけの家族で、特別な犬なんだよ。完璧にしたいじゃん。お仕置きとして、俺の事理解してくれるまで閉じ込めるから。」
「え……?」
ぱちん、と部屋の電気が消える。ドアも閉められ、鍵のかけられる音がする。あ…お兄さんは僕のことを完全に壊す気だ。頭じゃなくて、僕の精神をぐちゃぐちゃにするつもりなんだ。
扉を叩いても返事はない。音も全然聞こえない。僕は暗闇の中、ぺたりと座ったまま途方に暮れることしかできなかった。
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