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40日目:帰郷
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車の中で軽く朝食を済ませ、車から降りる。目の前には見慣れた景色が広がっていて、少し嫌な気持ちになった。
「ずっと見てるから。……じゃあ、またね。俺の可愛い風音。」
「うん。お兄さんまたね。またすぐ会おうね。」
そう言って、お兄さんと別れる。すぐまた会えるはずなのに、悲しくてたまらなかった。
家に向かい、ドアを軽く引くと鍵は開いていて、僕は玄関に入った。
「……っ…ただいま…」
家の中に向かって声をかけると、お母さんが顔を覗かせた。暫く驚いたような顔で僕の上から下まで凝視して、それからいつもの顔に戻った。
「あぁ…おかえり。もう帰ってこないかと思った…」
「家出…ごめんなさい。」
お母さんは僕に近づき、何かを怪しむようにずっと見てきたが、お腹空いたでしょう、と家に上げてくれた。
お母さんのご飯って、どんな味だっけ。
少し前まであんなに帰りたがっていたのに。今はお兄さんのもとに帰りたいなんて。
「ごめんね、いまおにぎりしか作れないけど。」
「あ…う、うんっ!ありがとう!」
精一杯、笑顔を作る。お母さんからピリピリとした空気が出ているような、沈黙の中僕は探られているような気持ちになる。
「…学校は行けそう?お母さん、あなたが帰ってこないと思ってお部屋ほとんど片付けちゃった。」
「う……学校行けるよ…!大丈夫…」
おにぎりを食べて、お母さんの味ってこんなだっけ…なんて思って、食器を洗って自分の部屋へ入った。物が少し置いてあった部屋は片付けられ、僕が気に入って両親の前で使っていたものが残されていた。
「………帰れた…のか…」
僕はベッドに座り、転がっていたぬいぐるみを抱きしめる。このぬいぐるみは確か小学1年生の時に誰かから貰ったものだ。誰なのかは思い出せないけど。
「学校…行けるかな…」
壁に貼り付けてある時間割を見ると、明日は6時間授業の日だった。体育は…体操服が無いと言って休めばいいか…と軽く現実逃避をした。
「…お母さん、お父さんは怒ってた…?」
「怒っては無いみたい。明日大切な話をしなくちゃいけないから、学校から帰ってきたら家族会議ね。」
リビングにいたお母さんに声をかけると、そんなことを言われた。ああ、きっとそこで僕はめちゃくちゃに怒られるんだ。それは、仕方のないことだ。
とりあえず今は、学校のことだけを考えなくては。孤独に耐えられるかわからないけど、何とか持って帰れるものを持って帰らないと。
「ずっと見てるから。……じゃあ、またね。俺の可愛い風音。」
「うん。お兄さんまたね。またすぐ会おうね。」
そう言って、お兄さんと別れる。すぐまた会えるはずなのに、悲しくてたまらなかった。
家に向かい、ドアを軽く引くと鍵は開いていて、僕は玄関に入った。
「……っ…ただいま…」
家の中に向かって声をかけると、お母さんが顔を覗かせた。暫く驚いたような顔で僕の上から下まで凝視して、それからいつもの顔に戻った。
「あぁ…おかえり。もう帰ってこないかと思った…」
「家出…ごめんなさい。」
お母さんは僕に近づき、何かを怪しむようにずっと見てきたが、お腹空いたでしょう、と家に上げてくれた。
お母さんのご飯って、どんな味だっけ。
少し前まであんなに帰りたがっていたのに。今はお兄さんのもとに帰りたいなんて。
「ごめんね、いまおにぎりしか作れないけど。」
「あ…う、うんっ!ありがとう!」
精一杯、笑顔を作る。お母さんからピリピリとした空気が出ているような、沈黙の中僕は探られているような気持ちになる。
「…学校は行けそう?お母さん、あなたが帰ってこないと思ってお部屋ほとんど片付けちゃった。」
「う……学校行けるよ…!大丈夫…」
おにぎりを食べて、お母さんの味ってこんなだっけ…なんて思って、食器を洗って自分の部屋へ入った。物が少し置いてあった部屋は片付けられ、僕が気に入って両親の前で使っていたものが残されていた。
「………帰れた…のか…」
僕はベッドに座り、転がっていたぬいぐるみを抱きしめる。このぬいぐるみは確か小学1年生の時に誰かから貰ったものだ。誰なのかは思い出せないけど。
「学校…行けるかな…」
壁に貼り付けてある時間割を見ると、明日は6時間授業の日だった。体育は…体操服が無いと言って休めばいいか…と軽く現実逃避をした。
「…お母さん、お父さんは怒ってた…?」
「怒っては無いみたい。明日大切な話をしなくちゃいけないから、学校から帰ってきたら家族会議ね。」
リビングにいたお母さんに声をかけると、そんなことを言われた。ああ、きっとそこで僕はめちゃくちゃに怒られるんだ。それは、仕方のないことだ。
とりあえず今は、学校のことだけを考えなくては。孤独に耐えられるかわからないけど、何とか持って帰れるものを持って帰らないと。
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