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32日目:不調
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昨日のことが頭から離れない。お兄さんに行った通りトラウマにはなってはいないのだが、僕以外にも誘拐された子がいるなんて驚きだ。あの子はあの後どうなったんだろう。
「わんわん……」
隣で寝ているお兄さんに話しかける。お兄さんは最近、僕に添い寝をしたいらしく自分のベッドに入れてくれる。暖かくて最高だ。
あの男の人はその辺にいた子を誘拐したと言っていた。あの子は…家族に大切にされていたんだろう。
「…わん、わんわん…」
お兄さんが起きない。というか、なんだか辛そうだ。体温も高いし、熱だろうか。
「わんっ…」
僕は慌ててベッドから降りる。お兄さんが熱を出したのは昨日、慣れないことをしてしまったせいだろうか。とりあえず熱が高いなら冷やさなければ。
「ど、どうしよ、えっとえっと…氷っ…」
お兄さんの部屋を出てキッチンに向かい、冷蔵庫を開けてみる。中には食材が入っていたが、氷は見当たらない。別のところを開けると氷はあった。でも袋がない。急いでお兄さんを冷やさなくてはと思い、僕は小さい氷を2つほど持ち、手を冷やした。
「お兄さん…今冷やすから…っ」
氷で冷たくなった手で、お兄さんの熱い首に触れる。僕の手が暖かくなっても、お兄さんの身体は熱いままだ。僕はまた氷を触りに行き、戻ってきてはお兄さんの首や頭を冷やした。
「ご飯…僕作れるかな…」
料理は少しだけしたことがある。きっと大丈夫、この家のキッチンも使えるはずだ…
とりあえず冷蔵庫の中から野菜を取り出し、洗って包丁で切った。鍋で茹でて、冷凍されていたご飯も茹でてみた。すると、いい感じにおじやのようなものができた。
「お兄さんお兄さん…」
「ん…今何時……あ…ごめん寝坊した…」
お兄さんは身体を起こすと、僕が持ってきたおじやを見てびっくりしたような顔をした。その後に僕の顔を見ては、それ以上にびっくりしていた。
「ゔぅっ…ひぐっ…おにぃさんっ、ご飯できた、からぁっ…ぐすっ…たべでぇ……」
「そ…そんなに泣かなくても……ひょっとしてさっき冷たいの当ててくれたのも風音?」
「ゔんっ…」
僕が泣きじゃくりながら頷くと、お兄さんは僕の頭を撫でてくれた。そしておじやを食べて、美味しい…と笑ってくれた。
「俺が追いかけられないんだから、警察にでも駆け込めばよかったのに…いいの?今なら逃げられるんだよ?」
「なんでそんなこと言うの…っ、僕がお兄さんの事好きなの知ってるくせに……見殺しにするのは…やだ……」
家に帰りたくないと言っているのとほぼ同じだな、なんて思いながら僕は涙を拭いた。お兄さんは軽症だったらしく、少し寝たら元気になった。原因はやはり昨日の疲れだったみたいだ。
何はともあれ、お兄さんが元気になってよかった。
「わんわん……」
隣で寝ているお兄さんに話しかける。お兄さんは最近、僕に添い寝をしたいらしく自分のベッドに入れてくれる。暖かくて最高だ。
あの男の人はその辺にいた子を誘拐したと言っていた。あの子は…家族に大切にされていたんだろう。
「…わん、わんわん…」
お兄さんが起きない。というか、なんだか辛そうだ。体温も高いし、熱だろうか。
「わんっ…」
僕は慌ててベッドから降りる。お兄さんが熱を出したのは昨日、慣れないことをしてしまったせいだろうか。とりあえず熱が高いなら冷やさなければ。
「ど、どうしよ、えっとえっと…氷っ…」
お兄さんの部屋を出てキッチンに向かい、冷蔵庫を開けてみる。中には食材が入っていたが、氷は見当たらない。別のところを開けると氷はあった。でも袋がない。急いでお兄さんを冷やさなくてはと思い、僕は小さい氷を2つほど持ち、手を冷やした。
「お兄さん…今冷やすから…っ」
氷で冷たくなった手で、お兄さんの熱い首に触れる。僕の手が暖かくなっても、お兄さんの身体は熱いままだ。僕はまた氷を触りに行き、戻ってきてはお兄さんの首や頭を冷やした。
「ご飯…僕作れるかな…」
料理は少しだけしたことがある。きっと大丈夫、この家のキッチンも使えるはずだ…
とりあえず冷蔵庫の中から野菜を取り出し、洗って包丁で切った。鍋で茹でて、冷凍されていたご飯も茹でてみた。すると、いい感じにおじやのようなものができた。
「お兄さんお兄さん…」
「ん…今何時……あ…ごめん寝坊した…」
お兄さんは身体を起こすと、僕が持ってきたおじやを見てびっくりしたような顔をした。その後に僕の顔を見ては、それ以上にびっくりしていた。
「ゔぅっ…ひぐっ…おにぃさんっ、ご飯できた、からぁっ…ぐすっ…たべでぇ……」
「そ…そんなに泣かなくても……ひょっとしてさっき冷たいの当ててくれたのも風音?」
「ゔんっ…」
僕が泣きじゃくりながら頷くと、お兄さんは僕の頭を撫でてくれた。そしておじやを食べて、美味しい…と笑ってくれた。
「俺が追いかけられないんだから、警察にでも駆け込めばよかったのに…いいの?今なら逃げられるんだよ?」
「なんでそんなこと言うの…っ、僕がお兄さんの事好きなの知ってるくせに……見殺しにするのは…やだ……」
家に帰りたくないと言っているのとほぼ同じだな、なんて思いながら僕は涙を拭いた。お兄さんは軽症だったらしく、少し寝たら元気になった。原因はやはり昨日の疲れだったみたいだ。
何はともあれ、お兄さんが元気になってよかった。
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