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27日目:お外さんぽ
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「風音~、お手!」
「わんっ!わんっ!」
僕はお兄さんに言われたとおりに、ニコニコ顔でお手をする。これも美味しいささみのジャーキーのためだ。犬用とはいえ、あれは美味しいから好きだった。
「よし!食べていいよ。」
「わふっ!!」
お兄さんの手からジャーキーを食べ、もぐもぐと口を動かす。最初の方はじろじろ見られて嫌だったが、今ではもう慣れきってしまった。
「風音、だいぶ懐いてくれたよね。いろんなとこ触ってもあんまり嫌がらないし。違和感がすごいって、下も履かなくなっちゃったもんね。」
下を履いていないのはお兄さんのせいだ。貞操帯なんてつけるせいで、履いたときに違和感がする。だから履いてないだけで、露出したいわけじゃない。
「もうそろそろいいよね、お散歩。」
「わんんっ…!」
いつものお家散歩か。それなら割と好きだ。お兄さんのベッドに潜り込んだり、洗濯物にダイブしたり。廊下でごろんと寝転ぶのも気持ちがいい。
早く行こうとお兄さんに擦り寄ると、お兄さんも嬉しそうに僕に首輪とリードをつけた。
「そんなに喜んでもらえるなんてなぁ、お外楽しみだねぇ、と言っても出られるのは庭くらいかなぁ…夜だけど人に見つかったら俺捕まっちゃう。」
「………わん!?!?」
外なんて聞いてない。嫌だ…!とお兄さんから離れるが、もう時すでに遅し。リードを引っ張られて外に連れ出される。庭は芝生が生えていてふかふかしていた。
「わん……もぐもぐ…」
「ん!?風音、芝生食べちゃ駄目だよ!ぺってして…!」
しまった。いい匂いがするからつい噛んでしまった。苦い味と芝の独特な味が口いっぱいに広がり、水を求めてお兄さんの服を引っ掻いた。
「ほらぁ…言わんこっちゃない…そこに水道あるから…」
お兄さんが水を出し、僕はぺろぺろとそれを飲んだ。水が程よく冷たくて美味しい。
そういえば僕は今、庭とはいえ外に出ているわけだが、もし人に見つかったらどうなるんだろう。お兄さんは僕に露出をさせた罪で捕まるのか、それとも誘拐で捕まるのか。テレビでも僕の行方不明のニュースは見ていない。
「わぅん…」
「あはは、お腹出しちゃって…暖かくて気持ちいいのかな?」
お兄さんが捕まったとしても、僕は家に帰るだけだ。でも家に帰ったらまた、学校に行って、夫婦喧嘩に巻き込まれて……今とどっちが幸せなんだろう。
僕は家に帰るべきだけど、幸せを求めるなら、このままお兄さんの犬になって……
「わんわんっ!!」
「うあ、触っちゃ駄目だった?お腹柔らかそうだったからつい…ごめんごめん。」
自由を捨てるか、幸せを捨てるか。大人になれば自由なんてないんだから、答えは一択しかない。でも、それを出してしまえば僕は……
このことを考えるのはまた今度でもいいだろう。
「わんっ!わんっ!」
僕はお兄さんに言われたとおりに、ニコニコ顔でお手をする。これも美味しいささみのジャーキーのためだ。犬用とはいえ、あれは美味しいから好きだった。
「よし!食べていいよ。」
「わふっ!!」
お兄さんの手からジャーキーを食べ、もぐもぐと口を動かす。最初の方はじろじろ見られて嫌だったが、今ではもう慣れきってしまった。
「風音、だいぶ懐いてくれたよね。いろんなとこ触ってもあんまり嫌がらないし。違和感がすごいって、下も履かなくなっちゃったもんね。」
下を履いていないのはお兄さんのせいだ。貞操帯なんてつけるせいで、履いたときに違和感がする。だから履いてないだけで、露出したいわけじゃない。
「もうそろそろいいよね、お散歩。」
「わんんっ…!」
いつものお家散歩か。それなら割と好きだ。お兄さんのベッドに潜り込んだり、洗濯物にダイブしたり。廊下でごろんと寝転ぶのも気持ちがいい。
早く行こうとお兄さんに擦り寄ると、お兄さんも嬉しそうに僕に首輪とリードをつけた。
「そんなに喜んでもらえるなんてなぁ、お外楽しみだねぇ、と言っても出られるのは庭くらいかなぁ…夜だけど人に見つかったら俺捕まっちゃう。」
「………わん!?!?」
外なんて聞いてない。嫌だ…!とお兄さんから離れるが、もう時すでに遅し。リードを引っ張られて外に連れ出される。庭は芝生が生えていてふかふかしていた。
「わん……もぐもぐ…」
「ん!?風音、芝生食べちゃ駄目だよ!ぺってして…!」
しまった。いい匂いがするからつい噛んでしまった。苦い味と芝の独特な味が口いっぱいに広がり、水を求めてお兄さんの服を引っ掻いた。
「ほらぁ…言わんこっちゃない…そこに水道あるから…」
お兄さんが水を出し、僕はぺろぺろとそれを飲んだ。水が程よく冷たくて美味しい。
そういえば僕は今、庭とはいえ外に出ているわけだが、もし人に見つかったらどうなるんだろう。お兄さんは僕に露出をさせた罪で捕まるのか、それとも誘拐で捕まるのか。テレビでも僕の行方不明のニュースは見ていない。
「わぅん…」
「あはは、お腹出しちゃって…暖かくて気持ちいいのかな?」
お兄さんが捕まったとしても、僕は家に帰るだけだ。でも家に帰ったらまた、学校に行って、夫婦喧嘩に巻き込まれて……今とどっちが幸せなんだろう。
僕は家に帰るべきだけど、幸せを求めるなら、このままお兄さんの犬になって……
「わんわんっ!!」
「うあ、触っちゃ駄目だった?お腹柔らかそうだったからつい…ごめんごめん。」
自由を捨てるか、幸せを捨てるか。大人になれば自由なんてないんだから、答えは一択しかない。でも、それを出してしまえば僕は……
このことを考えるのはまた今度でもいいだろう。
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