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13日目:お留守番
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今日は、朝から家の中が静かだ。部屋の前にあった書き置きには、お兄さんが急な予定で出かけることになったことが書いてあった。僕は1人で留守番らしい。
「ぅえ……誰も…いないの…?」
僕はずっとずっと、お兄さんが側にいてくれるものだと思っていた。まさか家に1人になる日が来るなんて。
……僕は留守番が大の苦手だ。というか、1人きりでいるのが怖い。家出した夜だって本当は怖くて仕方がなかった。
「う…うぅ…お兄さん早く帰ってきて…」
クッションをずらして、壁とクッションの間に挟まる。こうすると少し落ち着くのだ。部屋の隅っこに入れば、何か危ないものが来ても見つからないような気がして。
でもお腹が空いてきた。メモには、ご飯はリビングにあると書いてある。
「うぁぁぁんっ…おにいさぁぁぁ…っ…なんでいないのぉぉ…っ」
目に涙をいっぱいためて、リビングに向かう。置いてあったパンを食べたが、怖がっているからか味を感じない。
もそもそとパンを食べていると、不意に冷蔵庫がブゥゥン…という音を立てる。僕はびっくりして飛び跳ねた。
「ぎゃぁぁっ…!!お兄さんお兄さんっ!!」
パンを持ったまま走り、お兄さんの部屋のベッドに飛び込む。ここならお兄さんの匂いがするし、少しは安心できるだろう。
ガクガクと震えながらお兄さんの帰りを待つ。お昼ご飯もリビングに置いてあったが、冷蔵庫に勝てる気がしない。
「うっ…ぐすっ…うぇぇぇん…っ…ひぐっ…」
お兄さんの布団に包まっても、怖いものは怖い。このままお兄さんが帰ってこなかったらどうしよう。
ふと窓の外を眺めて、今なら余裕で逃げられるということに気付く。でも、1人で帰れるだろうか。100日が終わったら、お兄さんは僕の家まで送ってくれるんだろうか……
そんな事をぐるぐると考えていると、玄関からガチャガチャと音がした。
「お兄さんおかぇ……」
そこまで言いかけて、僕は布団に潜った。お兄さんじゃなかったらどうしよう。強盗だったら、もしも凶器を持っていたら僕は…痛いことをされる前に恐怖で死んでしまう気がする。
「風音ー?あれ!?え!?逃げた…?嘘でしょ…風音!!いるなら返事して!!」
どうやら帰ってきたのは本当にお兄さんだったらしい。ドタドタと家の中を走る音が聞こえ、僕のいる部屋のドアが開けられる。
「あ、いた…良かったぁ…って、なんで泣いてるの…?俺の布団びちょびちょなのは…涙…?」
「う…うぇぇぇ…っ…わんわんっ…うぁぁんっ…わんわんぁぁぁ」
僕が布団に包まりながら泣いていると、お兄さんは僕を抱っこしてあやした。お兄さんに甘えたいが、ここで甘えたらお兄さんを好きになったんだと思われてしまう。僕は犬語で泣き喚くことしかできなかった。
「わんわんぅあああんっっ」
「ほらもう俺がいるから大丈夫だよ…結構しっかりしてる子だから留守番できると思ってたけど…こんなに寂しがりやだったとは…」
どう頑張ってみても涙が止まらない。安心したせいで涙が滝みたいに出る。
その日、お兄さんは夜になるまで僕をあやす羽目になってしまった。
「ぅえ……誰も…いないの…?」
僕はずっとずっと、お兄さんが側にいてくれるものだと思っていた。まさか家に1人になる日が来るなんて。
……僕は留守番が大の苦手だ。というか、1人きりでいるのが怖い。家出した夜だって本当は怖くて仕方がなかった。
「う…うぅ…お兄さん早く帰ってきて…」
クッションをずらして、壁とクッションの間に挟まる。こうすると少し落ち着くのだ。部屋の隅っこに入れば、何か危ないものが来ても見つからないような気がして。
でもお腹が空いてきた。メモには、ご飯はリビングにあると書いてある。
「うぁぁぁんっ…おにいさぁぁぁ…っ…なんでいないのぉぉ…っ」
目に涙をいっぱいためて、リビングに向かう。置いてあったパンを食べたが、怖がっているからか味を感じない。
もそもそとパンを食べていると、不意に冷蔵庫がブゥゥン…という音を立てる。僕はびっくりして飛び跳ねた。
「ぎゃぁぁっ…!!お兄さんお兄さんっ!!」
パンを持ったまま走り、お兄さんの部屋のベッドに飛び込む。ここならお兄さんの匂いがするし、少しは安心できるだろう。
ガクガクと震えながらお兄さんの帰りを待つ。お昼ご飯もリビングに置いてあったが、冷蔵庫に勝てる気がしない。
「うっ…ぐすっ…うぇぇぇん…っ…ひぐっ…」
お兄さんの布団に包まっても、怖いものは怖い。このままお兄さんが帰ってこなかったらどうしよう。
ふと窓の外を眺めて、今なら余裕で逃げられるということに気付く。でも、1人で帰れるだろうか。100日が終わったら、お兄さんは僕の家まで送ってくれるんだろうか……
そんな事をぐるぐると考えていると、玄関からガチャガチャと音がした。
「お兄さんおかぇ……」
そこまで言いかけて、僕は布団に潜った。お兄さんじゃなかったらどうしよう。強盗だったら、もしも凶器を持っていたら僕は…痛いことをされる前に恐怖で死んでしまう気がする。
「風音ー?あれ!?え!?逃げた…?嘘でしょ…風音!!いるなら返事して!!」
どうやら帰ってきたのは本当にお兄さんだったらしい。ドタドタと家の中を走る音が聞こえ、僕のいる部屋のドアが開けられる。
「あ、いた…良かったぁ…って、なんで泣いてるの…?俺の布団びちょびちょなのは…涙…?」
「う…うぇぇぇ…っ…わんわんっ…うぁぁんっ…わんわんぁぁぁ」
僕が布団に包まりながら泣いていると、お兄さんは僕を抱っこしてあやした。お兄さんに甘えたいが、ここで甘えたらお兄さんを好きになったんだと思われてしまう。僕は犬語で泣き喚くことしかできなかった。
「わんわんぅあああんっっ」
「ほらもう俺がいるから大丈夫だよ…結構しっかりしてる子だから留守番できると思ってたけど…こんなに寂しがりやだったとは…」
どう頑張ってみても涙が止まらない。安心したせいで涙が滝みたいに出る。
その日、お兄さんは夜になるまで僕をあやす羽目になってしまった。
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