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外
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目が覚める。お兄さんが目の前にいる。これはいつもと同じだ。
いつもと、同じ……そのはずなのにすごく嬉しい。お兄さんの顔を見られることが、お兄さんと目を合わせられることが嬉しくてたまらない。
「おはよう、どう?体調は。」
「とっても元気です!えへへ、お兄さんおはようございます!」
お兄さんの笑った顔が、僕の目に映る。その隅に、光る何かがちらりと映った。
不思議に思い、光の方に視線を向けるといつもは閉まっているカーテンが開いていた。外の光が部屋の中に漏れているのだ。
「…そういえば…お外出たことないような…」
無意識にそう呟いてしまった。家族として見られていないロボットは普通、外には出ない。家事をするためにいる物だからだ。
「夜空くんはお外出たいの?」
「お兄さんと一緒にいられるなら出なくてもいいです。僕はここが大好きですから。」
お兄さんが少し眉をひそめる。もしかして、お使いでも頼んでくれる予定だったのだろうか。
「俺と一緒…か。夜空くん、今からちょっとお散歩行こっか。」
「お散歩?お外出てもいいんですか…?」
外に出られるのは嬉しかった。しかも大好きなお兄さんと一緒だ。
でも、あのお兄さんが僕を外に出すなんて何か企んでいるんだろうか。お散歩なんて唐突な娯楽に、僕は動揺を隠せない。
「いいよ。見せたいものあるし。行こ。」
見せたいもの…?少し引っかかる部分がありつつも、玄関で靴を履いた。ロボットには靴や服が一緒になって入っているのだが、初めて履く靴は少し汚れていた。
お兄さんに会ってから、ちょっとした違和感みたいなものが度々ある。
緊急事態で使うはずの充電器が設置してあったり、初めて会うはずのお兄さんに恐怖心や安心感を覚えたり。
「準備できました。お兄さん、どこ行くんですか?」
「楽しいとこ。」
よいしょ、とお兄さんに抱っこされる。あれ、お散歩って歩くものだと思っていたのに。そう思っていると、車の助手席に乗せられた。
「お散歩じゃなくてドライブ……」
「細かいことはいいじゃん、お外嬉しいでしょ。」
「はい。」
お兄さんの言うとおり、外に出るとわくわくした。道があって、草が生えていて、お兄さんじゃない他の人が歩いている。ああもしかして、お兄さんは僕を見せたくないから車に乗せたのかもしれない。
窓から外を眺めていると、車が軽く音を立て、出発した。
いつもと、同じ……そのはずなのにすごく嬉しい。お兄さんの顔を見られることが、お兄さんと目を合わせられることが嬉しくてたまらない。
「おはよう、どう?体調は。」
「とっても元気です!えへへ、お兄さんおはようございます!」
お兄さんの笑った顔が、僕の目に映る。その隅に、光る何かがちらりと映った。
不思議に思い、光の方に視線を向けるといつもは閉まっているカーテンが開いていた。外の光が部屋の中に漏れているのだ。
「…そういえば…お外出たことないような…」
無意識にそう呟いてしまった。家族として見られていないロボットは普通、外には出ない。家事をするためにいる物だからだ。
「夜空くんはお外出たいの?」
「お兄さんと一緒にいられるなら出なくてもいいです。僕はここが大好きですから。」
お兄さんが少し眉をひそめる。もしかして、お使いでも頼んでくれる予定だったのだろうか。
「俺と一緒…か。夜空くん、今からちょっとお散歩行こっか。」
「お散歩?お外出てもいいんですか…?」
外に出られるのは嬉しかった。しかも大好きなお兄さんと一緒だ。
でも、あのお兄さんが僕を外に出すなんて何か企んでいるんだろうか。お散歩なんて唐突な娯楽に、僕は動揺を隠せない。
「いいよ。見せたいものあるし。行こ。」
見せたいもの…?少し引っかかる部分がありつつも、玄関で靴を履いた。ロボットには靴や服が一緒になって入っているのだが、初めて履く靴は少し汚れていた。
お兄さんに会ってから、ちょっとした違和感みたいなものが度々ある。
緊急事態で使うはずの充電器が設置してあったり、初めて会うはずのお兄さんに恐怖心や安心感を覚えたり。
「準備できました。お兄さん、どこ行くんですか?」
「楽しいとこ。」
よいしょ、とお兄さんに抱っこされる。あれ、お散歩って歩くものだと思っていたのに。そう思っていると、車の助手席に乗せられた。
「お散歩じゃなくてドライブ……」
「細かいことはいいじゃん、お外嬉しいでしょ。」
「はい。」
お兄さんの言うとおり、外に出るとわくわくした。道があって、草が生えていて、お兄さんじゃない他の人が歩いている。ああもしかして、お兄さんは僕を見せたくないから車に乗せたのかもしれない。
窓から外を眺めていると、車が軽く音を立て、出発した。
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