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第1章
私の豪運は南の島国を届ける。
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「わーい、猫さん。起きた!」
そんな無邪気な声で目を冷ました私は、褐色の少女に抱きかかえられていた。
リロと同じぐらいの年齢だろうか。
「が、ガキ!?ここは・・。」
「えっとねー。アロハ諸島!」
「そうかにゃ・・・。」
あれから私は森林で適当な川に飛び込んだが、どうやら前に訪れた火山の遥か南の島国まで流されたらしい。
どうやら、親友からの召喚はされていないようだ。
「レノ・・・・。」
「はい。猫さん・・・。」
目の前の少女は大事そうに銃を渡してくる。
それはあの惨劇が現実のものであり、実際にあの少女が死んでしまったという証でもあった。
「そうか・・・・。ありがとうにゃ。」
「それとね?あれは何なの?」
私と横たわるようにして置かれていた漆黒の銃が目に付いた。
それを親友に見立てて優しく触れる。冷たいはずなのになぜか暖かかった。
「猫さん、泣いてるの?」
「な、泣いてないにゃ・・・。」
「でも、涙出てるよ?痛いのかな?」
「にゃ・・・。」
少女はハンカチで私の涙を拭うと笑いながらこちらを見てきた。
「ほら、笑ったら痛くないよ」
「そうにゃね。」
奥から男性が出てきた。
「お、目を覚ましたのかい?」
「パパ!」
「いやー、当時は娘が猫を拾ってきたって言って見てみたら獣人だったから驚いたよ。」
「恩に着るにゃ。」
「こちらの人も無事でよかったよ。」
「にゃ!?こいつは・・・・。」
私は近くに居た、その人物と目が会う。
「知り合いじゃないのかい?」
「いや知ってるにゃけど・・・・どうしてコイツが・・・・。」
「お久しぶりですね・・・ロモさん・・・・」
それは船で私が襲撃したあの冒険者であった。
彼女の腕には痛々しい傷が未だに残っていた。
「えーっと・・・、あの時はごめんにゃ。」
「アイネ、アイネですよ。」
「でもどうして・・・」
「あの後、私も水の聖地を訪れてたんですけど・・・。ロモさんが川に流されているのを見かけて・・・。」
「助けてくれたんだにゃ・・・・」
その少女は照れながら気まずそうな顔をする。
「いや・・・・その・・・私も溺れまして・・・・ここに・・。」
「そうかにゃ・・・。」
「そういえば知ってますか?」
「にゃにが?」
「2年前起きたあの事件以来、世界中で水がなくなったんです。」
「にゃ!?水がどういうことにゃ??」
「2年前ですよ?」
「だからにゃに?」
「はぁ・・・。2年前、私達が出会ったあの水の聖地に四天王が現れてあの地域一帯を滅ぼしたんです。」
「はっはっは、アイネさん、猫の譲ちゃんは2年間寝てたから分からねえだろうよ。」
「あ、そうでした。」
2年眠っていたという事実に私は豆鉄砲を食らった様に驚く。
「待つにゃ!2年って言ったかにゃ!?」
「そうですよ?」
私はアイネにしがみつく。
「ほ、本当に2年も経ったのかにゃ!?」
「痛い、痛いですって!」
「ごめんにゃ。」
「えぇ。私も少し成長したように見えませんか?」
「確かに。だとするとレノはもう・・・。」
「そういえば、相方さんはどうしたんですか?」
私は悲しい顔をした。
「アイツは・・・・。」
「アイネさんや、空気を呼んだほうが良いぜ。」
「す、すいません!!」
「まぁなんだ。気分転換に外に出てみるのはどうだ?」
「そうですね。」
「私も行くー。」
私が家の外に出ると、眩いばかりの光を放つ太陽が目に入る。
南国をイメージさせるブルー・ハワイのような海が一面に広がっていて、水平線には入道雲が夏休みを感じさせるように湧き立っていた。
目の前に広がる白い砂浜のビーチは優しく足を包み込みながらほのかに暖かみを感じ、それを中和させるかのように海は透き通るような綺麗さを誇っていた。
「きれいにゃ・・・。」
「少し歩きませんか?」
「にゃ。」
私とアイネの間を取り持つかのように褐色の少女が手を繋いでいる。
そして不思議そうな顔をしてこちらを見てくる。
「おねーちゃんは何処から来たの?」
「テウリアってところにゃ・・・・。」
「あっ!そう言えば、あのテウリアでしたね!!」
「あの??テウリアがどうかしたかにゃ?」
褐色の少女は無邪気に残酷な現実を突きつける。
「テウリアって街は一年前に滅んだんだよ??」
「は!?どういうことにゃ!?」
私はその言葉の詳細を問いただそうと少女の肩を強く握った。
「いたい、痛いよ、おねーちゃん。」
「ごめんにゃ。」
「その・・・。住んでいたほとんどの獣人が突然暴れだし一夜で滅びたそうです・・・。」
「馬鹿にゃっ!おい、嘘だよにゃ??」
今度はアイネの肩を強く揺さぶる。
「痛いですよ!本当ですってば!」
大切な仲間との思い出が詰まったその場所を失った事実に私は力が抜けたかのようにその場に座り込む。
いっその事、このまま柔らかい砂に吸収されてしまいたいとさえ思った。
「そんにゃ・・・・。」
「おねーちゃん・・・。」
「ごめんだけど、ちょっと一人にしてくれないかにゃ・・・・。」
「分かりました。」
近くにあったヤシの木にもたれ掛かりながら、私は一人静かに涙を流していた。
親しかった仲間も、訪れた場所も、帰る場所もない・・そんな世界で不老不死という呪いを受けながら生きていくというのは正直地獄であった。
周りはこんなにも明るいのに私一人だけが暗い世界に取り残されたような感覚・・・・。
潮騒を聞きながら、いっそのことこのまま海に身を任せようと砂浜に近づいたときであった。
後ろから私の手をアイネは力強く握りしめていた。
「ダメです。せっかく助けたんだから死なないでください。」
「お、お前・・・・にゃんで・・・・。」
その冒険者に、あの日救えなかった少女の面影を感じた私は少し懐かしみを覚える。
「そんな、泣きそうな顔をしていれば誰でも分かりますよ。」
その少女は冷たい飲み物を渡してきた。
「これ飲んで、気分直してください。」
「ありがとうにゃ。」
その飲み物を一口飲むと甘ったるい味に、後から柑橘系の爽やかな酸味が広がる。
初めて飲んだはずなのになぜか懐かしい味がするそれは気分を少し紛らわさせてくれたようだ。
しばらくして私は白い砂浜に座り込んだ。
「これからどうするんですか・・・?」
「そうにゃね・・・。大切な場所も仲間ももう居ないしここでのんびりするのもいいかもにゃ・・・。」
「そうですか・・・。」
「お前はどうしてここに居るんだにゃ?」
「それは・・・・。」
「そうか、お前も仲間を・・・」
「そうですよ、私の仲間もこの世には居ません・・・・。」
「そうか・・・あの船の時・・・。」
「はい、仇です。何ならここで取りたいぐらいです。」
アイネは腰に下げている剣の柄に手を掛ける。
「お前になら殺されてもいいにゃ。」
「やめてください。こんな、しみったれた奴を・・・こんな素敵なところで殺してもスッキリしませんよ。」
「しみったれた奴か・・・そうにゃね。」
「どうしたんですか。」
「私も仇が居ると思ってにゃ・・・。」
「取りたいんですか?」
「そうにゃ。」
「しょうがないですね。手伝いますよ。」
「何でにゃ?」
「仇をこんな、しみったれた奴にした罰です。」
「お前・・・・。」
「それに好きで私の仲間を手に掛けたわけでは無いですよね?」
「そもそも記憶がないんだにゃ。」
「そうなんですか!?」
「にゃ。その原因も調査したい所だにゃ。」
「とりあえず帰りますよ」
私は彼女の手を取り立ち上がる。
その立ち姿から、あの船の時からこの2年で彼女は力強く逞しく成長していた事を感じた。
「改めてこれからよろしくおねがいします。ロモさん。」
「こちらこそよろしくにゃ。アイネ。」
そんな無邪気な声で目を冷ました私は、褐色の少女に抱きかかえられていた。
リロと同じぐらいの年齢だろうか。
「が、ガキ!?ここは・・。」
「えっとねー。アロハ諸島!」
「そうかにゃ・・・。」
あれから私は森林で適当な川に飛び込んだが、どうやら前に訪れた火山の遥か南の島国まで流されたらしい。
どうやら、親友からの召喚はされていないようだ。
「レノ・・・・。」
「はい。猫さん・・・。」
目の前の少女は大事そうに銃を渡してくる。
それはあの惨劇が現実のものであり、実際にあの少女が死んでしまったという証でもあった。
「そうか・・・・。ありがとうにゃ。」
「それとね?あれは何なの?」
私と横たわるようにして置かれていた漆黒の銃が目に付いた。
それを親友に見立てて優しく触れる。冷たいはずなのになぜか暖かかった。
「猫さん、泣いてるの?」
「な、泣いてないにゃ・・・。」
「でも、涙出てるよ?痛いのかな?」
「にゃ・・・。」
少女はハンカチで私の涙を拭うと笑いながらこちらを見てきた。
「ほら、笑ったら痛くないよ」
「そうにゃね。」
奥から男性が出てきた。
「お、目を覚ましたのかい?」
「パパ!」
「いやー、当時は娘が猫を拾ってきたって言って見てみたら獣人だったから驚いたよ。」
「恩に着るにゃ。」
「こちらの人も無事でよかったよ。」
「にゃ!?こいつは・・・・。」
私は近くに居た、その人物と目が会う。
「知り合いじゃないのかい?」
「いや知ってるにゃけど・・・・どうしてコイツが・・・・。」
「お久しぶりですね・・・ロモさん・・・・」
それは船で私が襲撃したあの冒険者であった。
彼女の腕には痛々しい傷が未だに残っていた。
「えーっと・・・、あの時はごめんにゃ。」
「アイネ、アイネですよ。」
「でもどうして・・・」
「あの後、私も水の聖地を訪れてたんですけど・・・。ロモさんが川に流されているのを見かけて・・・。」
「助けてくれたんだにゃ・・・・」
その少女は照れながら気まずそうな顔をする。
「いや・・・・その・・・私も溺れまして・・・・ここに・・。」
「そうかにゃ・・・。」
「そういえば知ってますか?」
「にゃにが?」
「2年前起きたあの事件以来、世界中で水がなくなったんです。」
「にゃ!?水がどういうことにゃ??」
「2年前ですよ?」
「だからにゃに?」
「はぁ・・・。2年前、私達が出会ったあの水の聖地に四天王が現れてあの地域一帯を滅ぼしたんです。」
「はっはっは、アイネさん、猫の譲ちゃんは2年間寝てたから分からねえだろうよ。」
「あ、そうでした。」
2年眠っていたという事実に私は豆鉄砲を食らった様に驚く。
「待つにゃ!2年って言ったかにゃ!?」
「そうですよ?」
私はアイネにしがみつく。
「ほ、本当に2年も経ったのかにゃ!?」
「痛い、痛いですって!」
「ごめんにゃ。」
「えぇ。私も少し成長したように見えませんか?」
「確かに。だとするとレノはもう・・・。」
「そういえば、相方さんはどうしたんですか?」
私は悲しい顔をした。
「アイツは・・・・。」
「アイネさんや、空気を呼んだほうが良いぜ。」
「す、すいません!!」
「まぁなんだ。気分転換に外に出てみるのはどうだ?」
「そうですね。」
「私も行くー。」
私が家の外に出ると、眩いばかりの光を放つ太陽が目に入る。
南国をイメージさせるブルー・ハワイのような海が一面に広がっていて、水平線には入道雲が夏休みを感じさせるように湧き立っていた。
目の前に広がる白い砂浜のビーチは優しく足を包み込みながらほのかに暖かみを感じ、それを中和させるかのように海は透き通るような綺麗さを誇っていた。
「きれいにゃ・・・。」
「少し歩きませんか?」
「にゃ。」
私とアイネの間を取り持つかのように褐色の少女が手を繋いでいる。
そして不思議そうな顔をしてこちらを見てくる。
「おねーちゃんは何処から来たの?」
「テウリアってところにゃ・・・・。」
「あっ!そう言えば、あのテウリアでしたね!!」
「あの??テウリアがどうかしたかにゃ?」
褐色の少女は無邪気に残酷な現実を突きつける。
「テウリアって街は一年前に滅んだんだよ??」
「は!?どういうことにゃ!?」
私はその言葉の詳細を問いただそうと少女の肩を強く握った。
「いたい、痛いよ、おねーちゃん。」
「ごめんにゃ。」
「その・・・。住んでいたほとんどの獣人が突然暴れだし一夜で滅びたそうです・・・。」
「馬鹿にゃっ!おい、嘘だよにゃ??」
今度はアイネの肩を強く揺さぶる。
「痛いですよ!本当ですってば!」
大切な仲間との思い出が詰まったその場所を失った事実に私は力が抜けたかのようにその場に座り込む。
いっその事、このまま柔らかい砂に吸収されてしまいたいとさえ思った。
「そんにゃ・・・・。」
「おねーちゃん・・・。」
「ごめんだけど、ちょっと一人にしてくれないかにゃ・・・・。」
「分かりました。」
近くにあったヤシの木にもたれ掛かりながら、私は一人静かに涙を流していた。
親しかった仲間も、訪れた場所も、帰る場所もない・・そんな世界で不老不死という呪いを受けながら生きていくというのは正直地獄であった。
周りはこんなにも明るいのに私一人だけが暗い世界に取り残されたような感覚・・・・。
潮騒を聞きながら、いっそのことこのまま海に身を任せようと砂浜に近づいたときであった。
後ろから私の手をアイネは力強く握りしめていた。
「ダメです。せっかく助けたんだから死なないでください。」
「お、お前・・・・にゃんで・・・・。」
その冒険者に、あの日救えなかった少女の面影を感じた私は少し懐かしみを覚える。
「そんな、泣きそうな顔をしていれば誰でも分かりますよ。」
その少女は冷たい飲み物を渡してきた。
「これ飲んで、気分直してください。」
「ありがとうにゃ。」
その飲み物を一口飲むと甘ったるい味に、後から柑橘系の爽やかな酸味が広がる。
初めて飲んだはずなのになぜか懐かしい味がするそれは気分を少し紛らわさせてくれたようだ。
しばらくして私は白い砂浜に座り込んだ。
「これからどうするんですか・・・?」
「そうにゃね・・・。大切な場所も仲間ももう居ないしここでのんびりするのもいいかもにゃ・・・。」
「そうですか・・・。」
「お前はどうしてここに居るんだにゃ?」
「それは・・・・。」
「そうか、お前も仲間を・・・」
「そうですよ、私の仲間もこの世には居ません・・・・。」
「そうか・・・あの船の時・・・。」
「はい、仇です。何ならここで取りたいぐらいです。」
アイネは腰に下げている剣の柄に手を掛ける。
「お前になら殺されてもいいにゃ。」
「やめてください。こんな、しみったれた奴を・・・こんな素敵なところで殺してもスッキリしませんよ。」
「しみったれた奴か・・・そうにゃね。」
「どうしたんですか。」
「私も仇が居ると思ってにゃ・・・。」
「取りたいんですか?」
「そうにゃ。」
「しょうがないですね。手伝いますよ。」
「何でにゃ?」
「仇をこんな、しみったれた奴にした罰です。」
「お前・・・・。」
「それに好きで私の仲間を手に掛けたわけでは無いですよね?」
「そもそも記憶がないんだにゃ。」
「そうなんですか!?」
「にゃ。その原因も調査したい所だにゃ。」
「とりあえず帰りますよ」
私は彼女の手を取り立ち上がる。
その立ち姿から、あの船の時からこの2年で彼女は力強く逞しく成長していた事を感じた。
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