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中等部編
第31話 成長
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記憶を探してテウリアを彷徨う二人はギルドのクエストによって生計を立てていた。
一人は剣の達人で炎の勇者として、もう一人は百発百中に近い腕を持つ弓使いとしてギルドでは有名となっていた。
そして今日も二人はクエストを探すため掲示板を見ていた。
「あっ!見てください勇者様、金貨200枚の依頼がありますよ!」
「えっ、すごいですね。200枚ってやっぱり貴族からも依頼があるんですね。」
「みたいですね。武器の捜索・・・・場所がテウリア周辺ってことはチャンスじゃないですか?」
「そ、そうですね。探索となるとモンスター討伐のクエストと平行すれば良さそうですね。」
「はい!」
そして二人はテウリアにほど近い渓谷に来ていた。
そこには竹が群生しており多くの竹林があった。
また水や気候条件が良好なので多くの生物が生息していた。
ルコが青々とした竹を見つけ指差す。
「勇者様、見てくださいすごく大きいですよ。」
「えぇ、変わった植物ですね。」
「竹っていうらしいですよ。」
二人は竹林を進む。
「あっ勇者様、あそこの林に目的のモンスター、ミノタウロスが・・・・」
「本当だ、2体ですか・・・。僕が近づいて倒すので援護おねがいします。」
ルコは笑って答える。
「はい!」
すると剣を構え、勇者は走ってモンスターに近づく。
ルコは力を振り絞って弓を引き、後ろから勇者を追随するように矢が放たれる。
放った矢は風きり音を立てながら、一体のモンスターの額に命中する。
「よし。」
そしてそれに追従するように勇者が炎の剣を出して2体目に斬りかかる。
「やぁぁっ!」
モンスターの切り口から炎が吹き出し倒れる。
奥の茂みから勇者の方へ3体目のモンスターが突進してきた。
「勇者様あぶない!」
ルコが隠れていた3体目を発見し弓を引こうとするが間に合わない。
「くっ。」
勇者は体を回転させながら器用に攻撃を回避して、同時に斬りつけていた。
切りつけられたモンスターは20箇所以上の傷から毛並みのように炎が吹き出しその場に倒れた。
「すごいです、勇者様。」
「ありがとうございます。ルコさん、無事討伐出来ましたね。」
「はい!ついでに武器も探しましょうか。」
「そうですね。」
二人は竹林を抜けて渓谷のせせらぎを聞きながら河原を歩いて行く。
「僕は小石が落ちてるところをあまり歩きたくないです・・・・」
その言葉を聞いて、ルコが勇者の手を握り、笑顔でつぶやく。
「大丈夫ですよ、私が守りますから。」
「あ、ありがとうございます。」
しばらくして渓谷に地鳴りが響く。
鳥達が騒ぎ出し、周辺林がざわめきだす。
「な、何でしょうか・・・」
「ルコさん!前から何か来ます。」
「なんですかアレ!?」
川に沿って先ほど討伐したモンスターよりも遥かに大蛇がこちらに迫って来ていた。
大蛇は大きく口を開けこちらを丸呑みにしようと向かって来る。
勇者は剣を前に構え叫ぶ。
「僕に任せてください。剣技 爆炎」
剣から炎が溢れ前方の大蛇が炎の渦に包まれる。
やがて炎の渦が収まり黒くなった大蛇が現れる。
それを見てルコは安堵する。
「やりましたね!」
「まだです。」
黒くなった大蛇にヒビが入りそれが徐々に剥がれる。
それは蛇が脱皮をするかの如く、中は無事だった。
「なっ、効いてない!?」
「みたいですね・・・仕方ないです。」
そして蛇は改めてこちらへと向かってくる。
勇者は剣を納刀して居合の形を取る。
「勇者様!まだそれは未完成じゃ・・・・?」
「一か八か、これしかありません。」
「剣技 一閃!」
一瞬で勇者は剣を振り終えていた。
ゆっくりと大蛇を真っ二つにするように切れ目が入り、血が噴き出る。
ガキィン!
切れ目が大蛇のお腹まで来たところで謎の金属音が聞こえた。
勇者の振るっていた炎の剣の刀身が半分になり、片方が空から降ってきた。
「えぇー!」
切れ目が入ったところから炎が飛び出し大蛇が倒れる。
「あれ?勇者さま・・・どうしました?」
「うまく行けたと思うんですけど・・・剣が・・・」
「あっ!」
そして二人は金属音があった大蛇のお腹部分に向かう。
ルコが炎の間から何か煌めく物を見つける。
「勇者様、あれ!」
「何でしょうアレは・・・・」
しばらくすると炎が収まり煌めく物の正体が判明する。
それをルコが慎重に取り出す・・・そこには金色の刃を持つ刀があった。
「うわぁ・・・・剣みたいですけど、変わった形をしていますね。」
「そうですね・・・あっ、テウリアの武器屋で似たようなもの見ませんでしたっけ?」
「そういえばそうですね。店主の方は刀って呼んでいた気がします。」
剣技を受けたであろう刀には刃こぼれが一切なかった。
「これ、勇者様の剣技を受けても無事みたいですね。」
「そうですね・・・炎の剣よりも強いのかも・・・・」
ルコが突然こちらを見て提案してくる。
「剣が使えなくなったので貰って行きましょう!これ!」
「え、えぇー!大蛇から出てきたし、気持ち悪くないですか?」
「大丈夫ですよ!」
勇者は刀を手に入れた。
「どうやら探している武器とは違うみたいですね。」
「ですね・・・」
「それと鞘がありませんね・・・・」
「討伐報告してからテウリアの武器屋に行きましょう。」
「はい。」
一人は剣の達人で炎の勇者として、もう一人は百発百中に近い腕を持つ弓使いとしてギルドでは有名となっていた。
そして今日も二人はクエストを探すため掲示板を見ていた。
「あっ!見てください勇者様、金貨200枚の依頼がありますよ!」
「えっ、すごいですね。200枚ってやっぱり貴族からも依頼があるんですね。」
「みたいですね。武器の捜索・・・・場所がテウリア周辺ってことはチャンスじゃないですか?」
「そ、そうですね。探索となるとモンスター討伐のクエストと平行すれば良さそうですね。」
「はい!」
そして二人はテウリアにほど近い渓谷に来ていた。
そこには竹が群生しており多くの竹林があった。
また水や気候条件が良好なので多くの生物が生息していた。
ルコが青々とした竹を見つけ指差す。
「勇者様、見てくださいすごく大きいですよ。」
「えぇ、変わった植物ですね。」
「竹っていうらしいですよ。」
二人は竹林を進む。
「あっ勇者様、あそこの林に目的のモンスター、ミノタウロスが・・・・」
「本当だ、2体ですか・・・。僕が近づいて倒すので援護おねがいします。」
ルコは笑って答える。
「はい!」
すると剣を構え、勇者は走ってモンスターに近づく。
ルコは力を振り絞って弓を引き、後ろから勇者を追随するように矢が放たれる。
放った矢は風きり音を立てながら、一体のモンスターの額に命中する。
「よし。」
そしてそれに追従するように勇者が炎の剣を出して2体目に斬りかかる。
「やぁぁっ!」
モンスターの切り口から炎が吹き出し倒れる。
奥の茂みから勇者の方へ3体目のモンスターが突進してきた。
「勇者様あぶない!」
ルコが隠れていた3体目を発見し弓を引こうとするが間に合わない。
「くっ。」
勇者は体を回転させながら器用に攻撃を回避して、同時に斬りつけていた。
切りつけられたモンスターは20箇所以上の傷から毛並みのように炎が吹き出しその場に倒れた。
「すごいです、勇者様。」
「ありがとうございます。ルコさん、無事討伐出来ましたね。」
「はい!ついでに武器も探しましょうか。」
「そうですね。」
二人は竹林を抜けて渓谷のせせらぎを聞きながら河原を歩いて行く。
「僕は小石が落ちてるところをあまり歩きたくないです・・・・」
その言葉を聞いて、ルコが勇者の手を握り、笑顔でつぶやく。
「大丈夫ですよ、私が守りますから。」
「あ、ありがとうございます。」
しばらくして渓谷に地鳴りが響く。
鳥達が騒ぎ出し、周辺林がざわめきだす。
「な、何でしょうか・・・」
「ルコさん!前から何か来ます。」
「なんですかアレ!?」
川に沿って先ほど討伐したモンスターよりも遥かに大蛇がこちらに迫って来ていた。
大蛇は大きく口を開けこちらを丸呑みにしようと向かって来る。
勇者は剣を前に構え叫ぶ。
「僕に任せてください。剣技 爆炎」
剣から炎が溢れ前方の大蛇が炎の渦に包まれる。
やがて炎の渦が収まり黒くなった大蛇が現れる。
それを見てルコは安堵する。
「やりましたね!」
「まだです。」
黒くなった大蛇にヒビが入りそれが徐々に剥がれる。
それは蛇が脱皮をするかの如く、中は無事だった。
「なっ、効いてない!?」
「みたいですね・・・仕方ないです。」
そして蛇は改めてこちらへと向かってくる。
勇者は剣を納刀して居合の形を取る。
「勇者様!まだそれは未完成じゃ・・・・?」
「一か八か、これしかありません。」
「剣技 一閃!」
一瞬で勇者は剣を振り終えていた。
ゆっくりと大蛇を真っ二つにするように切れ目が入り、血が噴き出る。
ガキィン!
切れ目が大蛇のお腹まで来たところで謎の金属音が聞こえた。
勇者の振るっていた炎の剣の刀身が半分になり、片方が空から降ってきた。
「えぇー!」
切れ目が入ったところから炎が飛び出し大蛇が倒れる。
「あれ?勇者さま・・・どうしました?」
「うまく行けたと思うんですけど・・・剣が・・・」
「あっ!」
そして二人は金属音があった大蛇のお腹部分に向かう。
ルコが炎の間から何か煌めく物を見つける。
「勇者様、あれ!」
「何でしょうアレは・・・・」
しばらくすると炎が収まり煌めく物の正体が判明する。
それをルコが慎重に取り出す・・・そこには金色の刃を持つ刀があった。
「うわぁ・・・・剣みたいですけど、変わった形をしていますね。」
「そうですね・・・あっ、テウリアの武器屋で似たようなもの見ませんでしたっけ?」
「そういえばそうですね。店主の方は刀って呼んでいた気がします。」
剣技を受けたであろう刀には刃こぼれが一切なかった。
「これ、勇者様の剣技を受けても無事みたいですね。」
「そうですね・・・炎の剣よりも強いのかも・・・・」
ルコが突然こちらを見て提案してくる。
「剣が使えなくなったので貰って行きましょう!これ!」
「え、えぇー!大蛇から出てきたし、気持ち悪くないですか?」
「大丈夫ですよ!」
勇者は刀を手に入れた。
「どうやら探している武器とは違うみたいですね。」
「ですね・・・」
「それと鞘がありませんね・・・・」
「討伐報告してからテウリアの武器屋に行きましょう。」
「はい。」
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