上 下
25 / 67
修学旅行編

第24話 ドラゴンVSキャッスル

しおりを挟む
「一か八かやるぞ!」

「リン!お前は飛んでくる破片の対処を。」
「わかった!」

「ナシェは合図をしたら、プロミネンスを!」
「うんっ!」

「ロモはこれを!」
「これは!あの時の槍かにゃ!?」
「あぁ。」
「わ、わかったにゃ!」


「まずは一口どうぞ!」
男は近くの床を勢い良く蹴り破壊する。

「この木材はあの剣を破壊する。」

すると勢い良く木材はコウ達の方へ飛んでいく。

「来たぞリン!」
「えぇ。ビーム!」

ビームは木材を捉え破壊する。
しかし破壊した木材の後ろから新たな木材が来ていた。

「なっ!間に合わない!」

「ストーム!」
「アースショット!」
「ウォーターシュート!」
「ファイア!」
「サンダー!」



下の馬車から複数人が顔を出す。
「エンリカ、リーク、モニカ!?」

それに馬車の他の生徒も出てくる。

「俺達も手伝うぜ!」
「ですわ!」
「ま、任せて!」
「任せろコウ!」
「任せて!」

「へぇ、複数の魔法使いがいますね。しかしこちらからは見えないのは厄介ですね・・・」

巨大な建物とドラゴンの間で激しい攻防戦が続く。

「なかなかしぶといですね。では大物と行きましょう!」

男は床に手を当てる。
「城はここから2つに割れる。」
すると床に亀裂が入り城の天守閣が分離する。
「天守閣はその剣を破壊する。」

天守閣が飛んでいく!

「きた!今だナシェ!」

「うんっ!プロミネンス!」

魔法と天守閣がぶつかり合い爆音とともに、夕日の空が更に真っ赤に染まる。

「残念ですね。」

天守閣は砕けその素材が再び速度を上げてコウの方に向かってくる。
「終わりです!」

「お前がな!!今だ!ロモ、槍で弾き落とせ!」
「にゃ!」

ロモは凄まじい勢いで槍を振り回しそれらの素材を弾いていた。
ヌルポインタで弾かれた素材は自由落下を始めていた。

「馬鹿な!?全て弾いてっ、そもそも弾けないはず!!」

「やはり、ヌルポインタで弾かれると無効化できるようだな・・・」

「となれば・・・次はこれだ!・・・・何だ!?」

さらなる攻撃を加えようとした男を目掛けて、大量の剣や槍といった武器が次々と飛んできた。

「何のこれしき!!」

(考えろ・・・意識を集中させるんだ・・・)
男は必死にかわしながら飛んでくる武器を視界に捉え続け、言葉を言い続ける。

「外れる!外れる!外れる!外れる!外れる!外れる!外れる!・・・」

すると次々と武器が明後日の方向に飛んでいく。
未だに大量の武器が飛び続けていた。

「知己そのままランダムに武器を取り出し続けてくれ」
「はい!わかりました。」

武器が出現すると俺は電磁力でその武器を飛ばす。

未だに男の方に様々な武器が飛び続けていた。
(爆炎、雷撃、氷結・・・おそらく大半は特典武器・・。一体・・・やつは何者だ!!)

そして、その時は訪れた。
「外れる!外れ・・・さっきの槍どこかで・・・・」

男はその槍に見覚えがあった。
「あの槍か!!!!しまっ・・・・」

一瞬男の視界が塞がると共に、次々と武器が男に刺さった。

「ぐぁあああああああああああああ」
強力な特性を持った特典武器による激痛に叫んだ瞬間、男の画面に大量のステータス異常が現れる。

電撃による麻痺から、爆炎により皮膚が溶け、追い打ちをかけるように神経を氷結が襲い、無慈悲に毒が全身に回っていった。

そして男はほぼ沈黙したと言っていい状態となっていた。

「ロモ、やつにその槍を!」
「にゃ!」

次の瞬間別の槍が男の右肩を直撃した。

「知己!武器取り出しは、そこまでだ。ダーティーハンドを出せ。」
「承知しました。」

俺はその剣を磁力で飛ばす。
「終わりだな。」

次の瞬間、男は城とともに自由落下を始めていた。

かろうじて目が覚めた男は必死に考えだす。
(おそらくどれかの武器に・・・封印の能力がっ・・・・それにやつの特典はなんだっ!!!)
「取り敢えず武器を抜かなければ・・・・」
男は激痛に耐えながら勢い良く一本、一本と武器を抜いていく。

「ぐあっ!・・・・よ、よしすべての武器外せたぞ・・・・城はあの剣を破壊する。」

しかし男の言葉に城は反応せず自由落下を続けていた。
「!? ば、ばかなそんなはずは!?」


「ロモ、お父さんの無念を晴らせ。」
俺は手裏剣をロモに手渡す。

「うん・・・、お、お父さん、さようなら・・・」
泣きながらロモはその手裏剣を投げる。

「そ・・んな・・・・・・」
手裏剣は男の脳天を直撃した。


そして俺は手をかざし、叫ぶ。
「あの城は地面にゆっくりと着陸する!」

すると自由落下を続けていた城がゆっくりと大地に降り立った。

「コウ!まさか?」
「あぁ、スキルを奪ったんだ・・・」
「大丈夫なのかにゃ・・・?」
「かろうじてな。」

俺達はドラゴンでその城の近くに降りた。
「ちょっと見てくるから待機していてくれ」

「うん。」
「はい」

俺はロモと一緒に城の奥を探す。

「これだな・・・。」

「にゃ。」

見覚えのない顔、その不気味な男は笑ったように死んでいた。
その姿を見て安堵するようにロモは呟く。

「お、お父さん・・・やったにゃ・・」

俺とロモはしゃがみながら、近くに落ちていた剣を確認する。
「コウ、その剣は・・・」
「あぁ」
「なら私のスキルも奪ってほしいにゃ・・・」
「は?お前・・・・」
「そう、転生者にゃ・・・そのスキルもわかってるにゃね・・・」
「あぁ、不老不死か・・・」
「にゃ・・」
「わかった。」

俺は剣先でロモの指先をつつく。
「にゃ!」

俺の視界にメッセージが映る。

スキルを奪いますか? ---不老不死---
はい   いいえ

俺は、はいを選択する。

「できたぞ・・・」
「ありがとにゃ・・・」


・・・




長かった・・・。本当に・・・・。


永遠とも感じる時間の中から開放された私は、出会った多くの人を思い出していた。
常に笑い合い、最後は死んでいった親友。
無残な死を遂げた父親。
始まりから終わりまで見届けた人。
様々な人の思いが心から溢れ出る。

本当にいろんなことがあった・・・・・。

自分自身が安易に願った特典のせいで、多くの人が傷つき苦しみ、その思いを背負わなければならないという重責が常に自身を苦しめていた。

そんな全てから開放された今、残ったのは自分を大切だと言ってくれた目の前の男だけ・・・。
後は自分の思いを彼に託せばいいと思うと安心して死ぬ決意ができた。

さようなら・・・・。

私は剣を勢い良く、首に振りかざした。



・・・・



気がつくと男は剣を弾き飛ばしていた。おそらく魔法だろう。

加減したつもりはなかった。

そこで私は揺らいでしまった。
暗く深い底に落ちる恐怖に・・・・。

「最後ぐらい・・・・邪魔しないでほしい・・・にゃ・・・」

涙が頬を伝う・・・不思議な気持ちだった。

男は私を痛いほど抱きしめていた。
その痛みが思いと共に伝わり、心までも痛くなってくる・・・・。


そうか・・・最後はみんな・・・・。


その思いを境に、涙が止まらなかった。
「うっ・・うっ・・・やっぱり、死ぬのは怖い・・・・・にゃ・・・」

まだ私には思いを継ぐ人が居る・・・そう思った。
「お前には・・・感謝してもしきれない・・・・にゃ・・・」

「あぁ・・責任を取る必要があるからな。」

シンプルな言葉・・・・そこに私に対する思いのすべてが詰まっているような気がした。

すると男の体が勝手に動き出す・・・能力だろう。

「!?」

「にゃ・・・」
仕方のない男だ・・・私は男の顔を両手で優しく持つ。

私はゆっくりと男の唇にキスをした。
なんてことはない・・・優しく柔らかかった。


私は彼が好きだ・・・・その思いだけでいい・・・。


ゆっくりと立ち上がり、夕日を背に彼に手を差し伸べた。
「しかたない・・・にゃ・・・。」
「あぁ・・・・仕方ないな・・・」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

ざまあ~が終ったその後で BY王子 (俺たちの戦いはこれからだ)

mizumori
ファンタジー
転移したのはざまあ~された後にあぽ~んした王子のなか、神様ひどくない「君が気の毒だから」って転移させてくれたんだよね、今の俺も気の毒だと思う。どうせなら村人Aがよかったよ。 王子はこの世界でどのようにして幸せを掴むのか? 元28歳、財閥の御曹司の古代と中世の入り混じった異世界での物語り。 これはピカレスク小説、主人公が悪漢です。苦手な方はご注意ください。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

真実の愛に婚約破棄を叫ぶ王太子より更に凄い事を言い出した真実の愛の相手

ラララキヲ
ファンタジー
 卒業式が終わると突然王太子が婚約破棄を叫んだ。  反論する婚約者の侯爵令嬢。  そんな侯爵令嬢から王太子を守ろうと、自分が悪いと言い出す王太子の真実の愛のお相手の男爵令嬢は、さらにとんでもない事を口にする。 そこへ……… ◇テンプレ婚約破棄モノ。 ◇ふんわり世界観。 ◇なろうにも上げてます。

処理中です...