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修学旅行編
第13話 買い出し
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ものひろいと無限収納で必要はなかったが、俺だけ手ぶらなのもおかしいので揃えることにした。
「やはり修学旅行となると前もって準備が必要だよな」
どこかナシェは嬉しそうだった。
「だよね、だよね!」
「どこで揃えればいいかわからないんだが、手伝ってくれないか?」
「うんっ!ここらだと王都で全部揃うと思うけど・・・」
土人形の変人やらアカネに会いに行くのに結構な頻度で行っていたが、どこにどんな店があるのか知らなかったな。
後日ナシェと待ち合わせをして王都へと向かう。
「王都へ買い出しに行くだけだぞ。なんでそんな綺麗な服なんだ?」
「いいのー!」
ナシェはフリルの付いた華やかな黄色いミニドレスを着ていた。
人は服を変えただけでも大分印象が変わるようで、別人に見間違えそうだった。
俺の目の前でドレスを見せるように踊る。
「かわいいな」
「ふふっ。ありがとう!」
褒めると満面の笑みを浮かべていた。
王都へ到着すると王城の反対側、つまり普段行かないところに市場が広がっていて、人で溢れかえっていた。
「ほう、食べ物や服は日常に必要なものはここで揃いそうだな。」
「いらっしゃい、兄ちゃん!可愛い彼女じゃねえか!」
市場の店主から揶揄われる。
その言葉にナシェが照れる。
「あぁ俺の自慢の彼女だ。」
「もう!・・・」
「このお菓子をいただこう。」
「まいどあり!」
そのお菓子を食べながら市場を歩く。
パイ生地に生クリームが入った前世では食べたことのない食べ物であった。
「サクサクしてうまいなこれ。」
「うん!あ、生クリーム付いてるよ。」
「あぁ、ありがとう。」
とりあえず旅行用品が揃っていそうな、用品店を探す。
「用品店ってどこかな?」
「多分、あそこの角を右に曲がったとこじゃないかな。」
角を曲がるとアンティーク風の建物が立ち並ぶ市場あり、そこの一角に立てかけられた看板には旅行用品と書かれていた。
「ここだな」
扉を開けるとベルが涼し気な音を出し店主を呼び出す。
「いらっしゃい。」
「金貨10枚で旅行用品を一式そろえて欲しいんだが。」
「わかりました。少々お待ちください」
そう言うと店主は店の奥へ行ってしまった。
「金貨10枚ってすごい大金だね。」
「そうか。普通だと思うんだが。」
この世界では金貨1枚は1万円ぐらいらしい。
ものひろいの能力でお金には困っていなかった。
「ナシェも何かいるか?」
「えっ。私は・・・いいや。」
俺はナシェの視線がある所に向かうのを見逃さなかった。
ついでにナシェに渡す物があったのを思い出し手持ちから取り出す。
初めてその杖を取り出したが学生が使うような質素な杖ではなく、杖先の中心にオーブのようなものが浮いており、
その周りのリングに金の派手な装飾が施されたプロの魔法使いが使うような代物だった。
(派手すぎじゃね?)
「そういえばナシェに渡したいものがあってな。受け取ってくれないか?」
そう言うと俺はこの間、ものひろいで手に入れた転生特典の杖プロミネンスコアを渡した。
これでナシェはユニーク魔法『紅炎』が使えるようになりかなりの魔法力が上がるはずだ。
「えっ!ここで!?・・・・・」
装飾が派手だったのか、なぜかナシェは口に両手を当てて顔が真っ赤になる。
「俺、何かしたか?」
すると店の奥から出てきた店主に言われる。
「お客さん、ここでプロポーズはちょっと・・・・」
「は?」
「知らないんですか?杖を女の子に渡すのはプロポーズと一緒なんですよ!」
(知らなかった・・・・)
「すいません、結構雰囲気の良い場所だったもので・・・」
「えぇいいんですよ。」
「ということだ受け取ってくれナシェ。」
「う、うん!」
「お客様、おめでとうございます」
「ありがとう。それが一式ですか?」
「えぇ、どれも高級品でございます。」
そこにはかばんや、マントなど旅行用品が並べられていた。
「ありがとう。では代金を・・・。それとあのペンダントも」
「かしこまりました。」
俺は商品を受け取り、金貨11枚を支払う。
「ナシェ、受け取ってくれ。」
「えっ!?いいの?」
「あぁ」
「ありがとー!」
嬉しさのあまりナシェが抱きついてくる。
「ありがとうございました。またのご利用お待ちしております。」
次の日に修学旅行の告知があった。
どうやら中等部進級の祝いと近接戦闘訓練としてテウリアに行くらしい。
「やはり修学旅行となると前もって準備が必要だよな」
どこかナシェは嬉しそうだった。
「だよね、だよね!」
「どこで揃えればいいかわからないんだが、手伝ってくれないか?」
「うんっ!ここらだと王都で全部揃うと思うけど・・・」
土人形の変人やらアカネに会いに行くのに結構な頻度で行っていたが、どこにどんな店があるのか知らなかったな。
後日ナシェと待ち合わせをして王都へと向かう。
「王都へ買い出しに行くだけだぞ。なんでそんな綺麗な服なんだ?」
「いいのー!」
ナシェはフリルの付いた華やかな黄色いミニドレスを着ていた。
人は服を変えただけでも大分印象が変わるようで、別人に見間違えそうだった。
俺の目の前でドレスを見せるように踊る。
「かわいいな」
「ふふっ。ありがとう!」
褒めると満面の笑みを浮かべていた。
王都へ到着すると王城の反対側、つまり普段行かないところに市場が広がっていて、人で溢れかえっていた。
「ほう、食べ物や服は日常に必要なものはここで揃いそうだな。」
「いらっしゃい、兄ちゃん!可愛い彼女じゃねえか!」
市場の店主から揶揄われる。
その言葉にナシェが照れる。
「あぁ俺の自慢の彼女だ。」
「もう!・・・」
「このお菓子をいただこう。」
「まいどあり!」
そのお菓子を食べながら市場を歩く。
パイ生地に生クリームが入った前世では食べたことのない食べ物であった。
「サクサクしてうまいなこれ。」
「うん!あ、生クリーム付いてるよ。」
「あぁ、ありがとう。」
とりあえず旅行用品が揃っていそうな、用品店を探す。
「用品店ってどこかな?」
「多分、あそこの角を右に曲がったとこじゃないかな。」
角を曲がるとアンティーク風の建物が立ち並ぶ市場あり、そこの一角に立てかけられた看板には旅行用品と書かれていた。
「ここだな」
扉を開けるとベルが涼し気な音を出し店主を呼び出す。
「いらっしゃい。」
「金貨10枚で旅行用品を一式そろえて欲しいんだが。」
「わかりました。少々お待ちください」
そう言うと店主は店の奥へ行ってしまった。
「金貨10枚ってすごい大金だね。」
「そうか。普通だと思うんだが。」
この世界では金貨1枚は1万円ぐらいらしい。
ものひろいの能力でお金には困っていなかった。
「ナシェも何かいるか?」
「えっ。私は・・・いいや。」
俺はナシェの視線がある所に向かうのを見逃さなかった。
ついでにナシェに渡す物があったのを思い出し手持ちから取り出す。
初めてその杖を取り出したが学生が使うような質素な杖ではなく、杖先の中心にオーブのようなものが浮いており、
その周りのリングに金の派手な装飾が施されたプロの魔法使いが使うような代物だった。
(派手すぎじゃね?)
「そういえばナシェに渡したいものがあってな。受け取ってくれないか?」
そう言うと俺はこの間、ものひろいで手に入れた転生特典の杖プロミネンスコアを渡した。
これでナシェはユニーク魔法『紅炎』が使えるようになりかなりの魔法力が上がるはずだ。
「えっ!ここで!?・・・・・」
装飾が派手だったのか、なぜかナシェは口に両手を当てて顔が真っ赤になる。
「俺、何かしたか?」
すると店の奥から出てきた店主に言われる。
「お客さん、ここでプロポーズはちょっと・・・・」
「は?」
「知らないんですか?杖を女の子に渡すのはプロポーズと一緒なんですよ!」
(知らなかった・・・・)
「すいません、結構雰囲気の良い場所だったもので・・・」
「えぇいいんですよ。」
「ということだ受け取ってくれナシェ。」
「う、うん!」
「お客様、おめでとうございます」
「ありがとう。それが一式ですか?」
「えぇ、どれも高級品でございます。」
そこにはかばんや、マントなど旅行用品が並べられていた。
「ありがとう。では代金を・・・。それとあのペンダントも」
「かしこまりました。」
俺は商品を受け取り、金貨11枚を支払う。
「ナシェ、受け取ってくれ。」
「えっ!?いいの?」
「あぁ」
「ありがとー!」
嬉しさのあまりナシェが抱きついてくる。
「ありがとうございました。またのご利用お待ちしております。」
次の日に修学旅行の告知があった。
どうやら中等部進級の祝いと近接戦闘訓練としてテウリアに行くらしい。
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