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少女放浪…次元放浪者 潮レンコ
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俺達はエリカを退けるとヒカワタウンに辿り着いた。ここら辺の大都市クマモトシティへの中継地点と言ったところだ。
旅人で賑わっているはず…なのだが。
「誰も居ませんね。シオン。本当に宿屋で聞いたヒカワタウンなのでしょうか?あまりにも殺伐としすぎています。あたし達を迎え撃つ為に既に帝国軍が攻めこんで来ているとかですかね。ふんす!何時でも相手になるのです。」
エクスに目配せする。
「探知結界に感知なし。帝国軍や聖道教会の追っ手が潜んでいる感じではないわね。本当にどうしたのかしら…まるで何かを恐れて身を隠しているみたい。」
「嫌な予感がするな。酒場に向かおう。情報収集の必要がある。」
「分かったわ。地元の住民への聞き込みも大事ね。この異常事態の正体が分かれば良いのだけれど。」
「あたしは何時でも闘えるように幻想顕現を起動状態で待機しています。どこからでも掛かってきなさい!」
俺達は会話を交わしながら酒場に入った。中には場違いな少女が一人。赤いマントに身を包んだ少女だ。酒場には他に誰も居ない。
俺が口を開く。
「君は?酒場のマスターって感じじゃないよな。」
「旅の者さ。何…この町に巣くう魔物を退治する依頼を受けたんでね。」
「やはりこの町には何かあるのか?」
「神話の魔物が町を何度も襲撃している。冒険者に何度も討伐を頼んだが、全員綺麗に殺られてしまったそうだ。そこで私の番って訳。」
エクスが口を開く。
「その清澄な闘気…神霊?神が何故人間の真似事を?」
「エクスカリバーかい?良い剣だね。私は次元放浪者…あまたの世界を渡り歩く時空の迷子。この世界には半年前に召喚された。旅をしながら魔物や帝国軍をやっつけていたんだ。神様なんてとんでもない。でも殺せと言われたら殺せるよ。神でもなんでもね。共同戦線といかないか?君達の旅に一度だけ加えさせてもらおう。この町の魔物を討つまでの間ね。」
「良くエクスカリバーと見抜いたな。良いだろう。君の手並を拝見させてもらう。名前は?」
「レンコ…潮レンコ。君とは縁が繋がれた。たとえ別れてもこの縁が再び私達を結びつけるだろう。仮の契約だけどよろしく。君は私のマスターだ。君の手となり足となり敵を討とう。」
「マスターになるのは二度目だが、仲間が増えるのは嬉しいものだ。一時的な共闘だが頼んだぞ。レンコ。俺はシオンだ。」
レンコは酒場の入口へ向かって歩いていった。
「この町の西に魔物が巣くうお寺がある。そこから毎日のように人喰い魔物がやってくる。それですっかり町の人は怯えてしまったという訳さ。そんな状態が一年も続いているとか…一晩休もう。そして明日の夜、現場に行こう。」
「了解です。魔物でも神でもなんでもこいです!レンコさん。貴女にも私の幻想顕現をお見せしたいですよ。びっくりして飛び上がると思いますよ。」
「幻想顕現か…久し振りに聞いたな。私もどんな能力かは知っている。強力な業だ。人間の手には余る位…それを使いこなしているんだ。素晴らしいね。」
「フフン。誉められると照れますよ。レンコさんの能力も闘いの中で見せてもらいましょう!明日が楽しみです!」
「おいおい、魔物退治だぞ。気を抜くな。さあ宿屋…と言っても住人は居なさそうだが…に行って英気を養おう。」
俺達はもぬけの殻の宿屋に行くと休息を取った。
翌日………夜半
ヒカワタウン西部…廃寺
俺達は人喰い魔物が出るという話の廃寺に到着した。
「ここか…エクス。敵の気配は?」
「お堂の奥から夥しい霊圧。それと濃厚な血の匂い。居るわね。何かが。」
「先駈けするよ。」とレンコ。
彼女は背中から赤く輝く弓と漆黒の矢を取り出した。
「無銘霊弓発射。」
ギリギリまで振り絞った弓を放つ。その瞬間衝撃波が発生した。俺達は吹き飛ばされそうになる。これが次元放浪者の実力。
矢が着弾したお堂は木っ端微塵に吹き飛んだ。中から何かが飛び出してくる。真っ黒な肌に角が生えた野人…鬼か!右腕がひしゃげてもげかけている。レンコの一射が壊滅的な打撃を与えたようだ。
それでも闘気は失われない。鬼は高速でレンコ目掛けて突っ込んでくる。まずい殺られる!?エクスカリバーも幻想顕現も間に合いはしない。俺ならアヴァロンの守りがあるが、レンコに対しては発動できない。
「遅い。遅すぎる。夢想天生…九連無明閃光刃!」
レンコは持っていた弓矢への霊脈を即座に遮断すると二振りの陰陽双剣を呼び出した。そして一瞬で九回斬撃を叩き込む業を放つ。
鬼は飛び込んで来た所でもろにそれを食らってしまう。
鬼は爆裂した。
「私の実力分かって貰えたかな。へへ…中々でしょ。」
「ああ…驚きすぎてなんて言葉を掛けて良いか分からない。あんなに凶悪な鬼を手玉に取って殺すなんて…」
「すごすぎです!あたしあんな風に倒せる自信がありません。エクスカリバーさんを100%の精度で使う時のシオン並み…いえそれ以上かもしれないです!」
「認めたくないけれど…ギフテッド並みの戦闘能力ね。どんな修羅場を潜ってきたんだが…敵じゃなくて良かったわ。旅を一緒に続けられないかしら。」
と、レンコの身体が歪み始めるそして薄れ始めた。
「ゴメン!この世界にはこれ以上居られないみたいだ。でも縁は絆は結ばれた。本当に困った時は私を呼ぶと良い。何かしらの助力が出来るかもしれない。じゃあね短い間だったけど久し振りに人間と話して楽しかったよ。それでは…さらば。」
彼女は嵐の様に去っていった。
「レンコ…忘れられるキャラしてねーよ。まあ呼ばないに限るが…いざという時はマスターの回路を使って呼ばせてもらうぜ。じゃあな!」
「レンコさん。何時かは貴女の強さに追い付きます!この幻想顕現の力で…何処かで見守っていて下さい!」
別れに尾を引きずられながら、
俺達はヒカワタウンに戻ると町中を訪ね回り、人喰い鬼が死んだ事を報告した。町は歓喜に包まれ俺達は町を上げた歓待と大量の金貨を貰うことが出来た。
一週間程休息を取り、新たなる町ウドシティを目指して北上するのであった。
レンコだよ。たまには顔を出すかもしれないからよろしくね。まあそれはシオン達のピンチって事だけど、真打ち登場って事で!
次の冒険でまた会いましょう!じゃあね皆!
旅人で賑わっているはず…なのだが。
「誰も居ませんね。シオン。本当に宿屋で聞いたヒカワタウンなのでしょうか?あまりにも殺伐としすぎています。あたし達を迎え撃つ為に既に帝国軍が攻めこんで来ているとかですかね。ふんす!何時でも相手になるのです。」
エクスに目配せする。
「探知結界に感知なし。帝国軍や聖道教会の追っ手が潜んでいる感じではないわね。本当にどうしたのかしら…まるで何かを恐れて身を隠しているみたい。」
「嫌な予感がするな。酒場に向かおう。情報収集の必要がある。」
「分かったわ。地元の住民への聞き込みも大事ね。この異常事態の正体が分かれば良いのだけれど。」
「あたしは何時でも闘えるように幻想顕現を起動状態で待機しています。どこからでも掛かってきなさい!」
俺達は会話を交わしながら酒場に入った。中には場違いな少女が一人。赤いマントに身を包んだ少女だ。酒場には他に誰も居ない。
俺が口を開く。
「君は?酒場のマスターって感じじゃないよな。」
「旅の者さ。何…この町に巣くう魔物を退治する依頼を受けたんでね。」
「やはりこの町には何かあるのか?」
「神話の魔物が町を何度も襲撃している。冒険者に何度も討伐を頼んだが、全員綺麗に殺られてしまったそうだ。そこで私の番って訳。」
エクスが口を開く。
「その清澄な闘気…神霊?神が何故人間の真似事を?」
「エクスカリバーかい?良い剣だね。私は次元放浪者…あまたの世界を渡り歩く時空の迷子。この世界には半年前に召喚された。旅をしながら魔物や帝国軍をやっつけていたんだ。神様なんてとんでもない。でも殺せと言われたら殺せるよ。神でもなんでもね。共同戦線といかないか?君達の旅に一度だけ加えさせてもらおう。この町の魔物を討つまでの間ね。」
「良くエクスカリバーと見抜いたな。良いだろう。君の手並を拝見させてもらう。名前は?」
「レンコ…潮レンコ。君とは縁が繋がれた。たとえ別れてもこの縁が再び私達を結びつけるだろう。仮の契約だけどよろしく。君は私のマスターだ。君の手となり足となり敵を討とう。」
「マスターになるのは二度目だが、仲間が増えるのは嬉しいものだ。一時的な共闘だが頼んだぞ。レンコ。俺はシオンだ。」
レンコは酒場の入口へ向かって歩いていった。
「この町の西に魔物が巣くうお寺がある。そこから毎日のように人喰い魔物がやってくる。それですっかり町の人は怯えてしまったという訳さ。そんな状態が一年も続いているとか…一晩休もう。そして明日の夜、現場に行こう。」
「了解です。魔物でも神でもなんでもこいです!レンコさん。貴女にも私の幻想顕現をお見せしたいですよ。びっくりして飛び上がると思いますよ。」
「幻想顕現か…久し振りに聞いたな。私もどんな能力かは知っている。強力な業だ。人間の手には余る位…それを使いこなしているんだ。素晴らしいね。」
「フフン。誉められると照れますよ。レンコさんの能力も闘いの中で見せてもらいましょう!明日が楽しみです!」
「おいおい、魔物退治だぞ。気を抜くな。さあ宿屋…と言っても住人は居なさそうだが…に行って英気を養おう。」
俺達はもぬけの殻の宿屋に行くと休息を取った。
翌日………夜半
ヒカワタウン西部…廃寺
俺達は人喰い魔物が出るという話の廃寺に到着した。
「ここか…エクス。敵の気配は?」
「お堂の奥から夥しい霊圧。それと濃厚な血の匂い。居るわね。何かが。」
「先駈けするよ。」とレンコ。
彼女は背中から赤く輝く弓と漆黒の矢を取り出した。
「無銘霊弓発射。」
ギリギリまで振り絞った弓を放つ。その瞬間衝撃波が発生した。俺達は吹き飛ばされそうになる。これが次元放浪者の実力。
矢が着弾したお堂は木っ端微塵に吹き飛んだ。中から何かが飛び出してくる。真っ黒な肌に角が生えた野人…鬼か!右腕がひしゃげてもげかけている。レンコの一射が壊滅的な打撃を与えたようだ。
それでも闘気は失われない。鬼は高速でレンコ目掛けて突っ込んでくる。まずい殺られる!?エクスカリバーも幻想顕現も間に合いはしない。俺ならアヴァロンの守りがあるが、レンコに対しては発動できない。
「遅い。遅すぎる。夢想天生…九連無明閃光刃!」
レンコは持っていた弓矢への霊脈を即座に遮断すると二振りの陰陽双剣を呼び出した。そして一瞬で九回斬撃を叩き込む業を放つ。
鬼は飛び込んで来た所でもろにそれを食らってしまう。
鬼は爆裂した。
「私の実力分かって貰えたかな。へへ…中々でしょ。」
「ああ…驚きすぎてなんて言葉を掛けて良いか分からない。あんなに凶悪な鬼を手玉に取って殺すなんて…」
「すごすぎです!あたしあんな風に倒せる自信がありません。エクスカリバーさんを100%の精度で使う時のシオン並み…いえそれ以上かもしれないです!」
「認めたくないけれど…ギフテッド並みの戦闘能力ね。どんな修羅場を潜ってきたんだが…敵じゃなくて良かったわ。旅を一緒に続けられないかしら。」
と、レンコの身体が歪み始めるそして薄れ始めた。
「ゴメン!この世界にはこれ以上居られないみたいだ。でも縁は絆は結ばれた。本当に困った時は私を呼ぶと良い。何かしらの助力が出来るかもしれない。じゃあね短い間だったけど久し振りに人間と話して楽しかったよ。それでは…さらば。」
彼女は嵐の様に去っていった。
「レンコ…忘れられるキャラしてねーよ。まあ呼ばないに限るが…いざという時はマスターの回路を使って呼ばせてもらうぜ。じゃあな!」
「レンコさん。何時かは貴女の強さに追い付きます!この幻想顕現の力で…何処かで見守っていて下さい!」
別れに尾を引きずられながら、
俺達はヒカワタウンに戻ると町中を訪ね回り、人喰い鬼が死んだ事を報告した。町は歓喜に包まれ俺達は町を上げた歓待と大量の金貨を貰うことが出来た。
一週間程休息を取り、新たなる町ウドシティを目指して北上するのであった。
レンコだよ。たまには顔を出すかもしれないからよろしくね。まあそれはシオン達のピンチって事だけど、真打ち登場って事で!
次の冒険でまた会いましょう!じゃあね皆!
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