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少女黄昏…つかの間の日常
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俺達はサツマタウンについてから久しぶりに穏やかな日常を送っていた。到着してから二週間は経つ。帝国軍の追っ手も聖道教会も襲ってこない。イカれたギフテッドや星の災害なんて大層な者もやってこない。
穏やかでささやかな幸せ。サツマタウンの珍味を堪能しつつゆっくりと時間を過ごす。
サツマタウンの珍味は黒豚のタン…舌の部分だ。肉厚で食べ応えがあり、何度食べても飽きがこない。もちろん店では他の部分の肉も食べられるので、片っ端から食べてみる。結構高くついて金貨一袋の内、三分の一くらい使ってしまった。まあ金貨は十袋はあるのでそこまで痛くないのだが…
今日もサツマタウンの西にある湖に来て、釣りを楽しんでいる。エクスとリィナも一緒だ。
釣りを始めて三時間は経つ。
エクスが口を開く。
「本当に何も起きないわね。まあ平和に超したことは無いのだけれど、少し退屈だわ。シオン何か面白い事を考えて頂戴。」
「と…言われてもだなぁ。うーん、エクス実体化してくれよ。」
「その心は?」とエクス。
「めっちゃ美人だから眼福になる。ムフムフの材料にもなる。」
「貴方の一人ムフムフには付き合えないわね。何しろ私にメリットが欠片もないじゃない。却下よ。却下。他に面白い事。」
リィナが口を挟む。
「黒豚を狩りに行きませんか?倒したものを店に持っていって、調理してもらうんです。楽しそうでしょう!」
「黒豚って飼育されてるんじゃないのか?野生の黒豚なんて居るのかな?」
「宿屋のおじさんに聞きました。野良の黒豚もいるらしいです。ねぇ!良いでしょう!釣りも良いですけど…黒豚ハンティングも楽しいですよ。」
「エクスはどう思う?」
「まあ多少は退屈を紛らわせそうね。で何処でハンティングするの?」
リィナが答える。
「はい!既にポイントは割り出してあります。サツマタウンの北にある黒縄山に黒豚が多数生息しているようです。注意点があって、主がいるそうなんですが、尋常じゃない強さらしいです。気をつけて行きましょう!」
「了解。豚にエクスカリバーを使うのは何か勿体ない気もするがハンティングなら仕方ないな。エクスも良いな?」
「全然闘ってなくて腕も鈍るもの。闘いは賛成。さあ黒縄山に行きましょう。」
俺達は釣りをやめ、黒縄山に出掛けて行った。湖からは三時間程の距離だった。夕方になりかけている。余り長時間狩りはできまい。
「エクス…黒豚をサーチしてくれ。一気に終わらせよう。」
「風情が無いけれど辺りも暗くなってきたし仕方無いわね。探知結界発動…あら…神霊クラスの反応があるわ。」
リィナが叫ぶ。
「もしかして帝国軍や聖道教会の追っ手ですか!ついに来ましたね!私が目にもの見せてやります!必殺の幻想顕現で!」
「いや…ただの豚ね。神霊並みに強いただの黒豚。あっこっちに気づいた。すごい速度で突っ込んでくるわ。」
「リィナの言っていた山の主って奴か。良いだろうどうせ狙うなら大物だ!エクスカリバー装着!エクス行けるか?」
「いつでも!」
森を駆け抜け俺達の前に十メートルはあろうかという黒豚が現れた。思い切り息を吸い込み、ブレスを吐いてくる。燃え盛る火炎だ。
リィナは俺の後ろに隠れ、エクスがアヴァロンを張って防いだ。
反撃に移る間もなく黒豚は突進してきて牙で俺を撥ね飛ばした。アヴァロンの護りは貫通出来なかったが後ろに吹っ飛ばされる。
「ゲイボルグ投擲します。」
リィナがそう叫ぶと偽ゲイボルグを黒豚に向かって投擲した。幾十にも槍先が別れ黒豚を刺し穿つ。黒豚は絶命しなかったが動きが鈍った。
今がチャンスだ。エクスカリバーを強く握る。
「エクス対人奥義!」
「了解。龍脈大剣!エクスカリバーオーバーロード!斬!」
青い剣刃が伸ばしながら縮地で黒豚の目の前に躍り出てその頭にエクスカリバーの剣刃をたたき込む。黒豚は頭から両断され絶命した。戦闘終了。
「中々の強敵だったな。どうやって持って帰るんだこれ。十メートル近くあるんですけどォォォ!いくらなんでもでかすぎでしょうがァァァ!」
「落ち着いて下さい。シオン。最大の珍味である舌だけを頂いて帰りましょう。どれどれ、舌だけで10キロくらいありますね。頑張って持って帰りましょう。」
「やれやれ倒した後も一騒ぎね。まっこれで目標の珍味を大量に入手できたわけだし良しとしましょう。」
「10キロある豚タンとかどうすんだよ。誰がこんなに食べるのよ。普通の豚を狙うべきだったなぁ。」
「シオン…沢山召し上がって下さいね?」
「もうイヤァァァァァ!」
その後俺は一生分の豚タンを食べるはめになった。うっぷゲプ…次の冒険でまた会おう!
穏やかでささやかな幸せ。サツマタウンの珍味を堪能しつつゆっくりと時間を過ごす。
サツマタウンの珍味は黒豚のタン…舌の部分だ。肉厚で食べ応えがあり、何度食べても飽きがこない。もちろん店では他の部分の肉も食べられるので、片っ端から食べてみる。結構高くついて金貨一袋の内、三分の一くらい使ってしまった。まあ金貨は十袋はあるのでそこまで痛くないのだが…
今日もサツマタウンの西にある湖に来て、釣りを楽しんでいる。エクスとリィナも一緒だ。
釣りを始めて三時間は経つ。
エクスが口を開く。
「本当に何も起きないわね。まあ平和に超したことは無いのだけれど、少し退屈だわ。シオン何か面白い事を考えて頂戴。」
「と…言われてもだなぁ。うーん、エクス実体化してくれよ。」
「その心は?」とエクス。
「めっちゃ美人だから眼福になる。ムフムフの材料にもなる。」
「貴方の一人ムフムフには付き合えないわね。何しろ私にメリットが欠片もないじゃない。却下よ。却下。他に面白い事。」
リィナが口を挟む。
「黒豚を狩りに行きませんか?倒したものを店に持っていって、調理してもらうんです。楽しそうでしょう!」
「黒豚って飼育されてるんじゃないのか?野生の黒豚なんて居るのかな?」
「宿屋のおじさんに聞きました。野良の黒豚もいるらしいです。ねぇ!良いでしょう!釣りも良いですけど…黒豚ハンティングも楽しいですよ。」
「エクスはどう思う?」
「まあ多少は退屈を紛らわせそうね。で何処でハンティングするの?」
リィナが答える。
「はい!既にポイントは割り出してあります。サツマタウンの北にある黒縄山に黒豚が多数生息しているようです。注意点があって、主がいるそうなんですが、尋常じゃない強さらしいです。気をつけて行きましょう!」
「了解。豚にエクスカリバーを使うのは何か勿体ない気もするがハンティングなら仕方ないな。エクスも良いな?」
「全然闘ってなくて腕も鈍るもの。闘いは賛成。さあ黒縄山に行きましょう。」
俺達は釣りをやめ、黒縄山に出掛けて行った。湖からは三時間程の距離だった。夕方になりかけている。余り長時間狩りはできまい。
「エクス…黒豚をサーチしてくれ。一気に終わらせよう。」
「風情が無いけれど辺りも暗くなってきたし仕方無いわね。探知結界発動…あら…神霊クラスの反応があるわ。」
リィナが叫ぶ。
「もしかして帝国軍や聖道教会の追っ手ですか!ついに来ましたね!私が目にもの見せてやります!必殺の幻想顕現で!」
「いや…ただの豚ね。神霊並みに強いただの黒豚。あっこっちに気づいた。すごい速度で突っ込んでくるわ。」
「リィナの言っていた山の主って奴か。良いだろうどうせ狙うなら大物だ!エクスカリバー装着!エクス行けるか?」
「いつでも!」
森を駆け抜け俺達の前に十メートルはあろうかという黒豚が現れた。思い切り息を吸い込み、ブレスを吐いてくる。燃え盛る火炎だ。
リィナは俺の後ろに隠れ、エクスがアヴァロンを張って防いだ。
反撃に移る間もなく黒豚は突進してきて牙で俺を撥ね飛ばした。アヴァロンの護りは貫通出来なかったが後ろに吹っ飛ばされる。
「ゲイボルグ投擲します。」
リィナがそう叫ぶと偽ゲイボルグを黒豚に向かって投擲した。幾十にも槍先が別れ黒豚を刺し穿つ。黒豚は絶命しなかったが動きが鈍った。
今がチャンスだ。エクスカリバーを強く握る。
「エクス対人奥義!」
「了解。龍脈大剣!エクスカリバーオーバーロード!斬!」
青い剣刃が伸ばしながら縮地で黒豚の目の前に躍り出てその頭にエクスカリバーの剣刃をたたき込む。黒豚は頭から両断され絶命した。戦闘終了。
「中々の強敵だったな。どうやって持って帰るんだこれ。十メートル近くあるんですけどォォォ!いくらなんでもでかすぎでしょうがァァァ!」
「落ち着いて下さい。シオン。最大の珍味である舌だけを頂いて帰りましょう。どれどれ、舌だけで10キロくらいありますね。頑張って持って帰りましょう。」
「やれやれ倒した後も一騒ぎね。まっこれで目標の珍味を大量に入手できたわけだし良しとしましょう。」
「10キロある豚タンとかどうすんだよ。誰がこんなに食べるのよ。普通の豚を狙うべきだったなぁ。」
「シオン…沢山召し上がって下さいね?」
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