SSランクの聖剣エクスカリバーを手に入れた少年…聖剣少女と旅に出る

八雲 全一

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少女蒼天…天使降臨

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後ろ髪を引かれながらカゴシマシティを立ち、三日が経つ。帝国軍の追撃も聖道教会の攻撃もなかった。

それでも俺達の間の空気は重かった。
ヒオキシティは星獣の影響で滅び去ったが、カゴシマシティは明らかに俺達の責任だ。
死んだ人を生き返らせ、崩れた町を元に戻したものの…俺達がこなければこんなことにはそもそもなら無かったのではないか?

俺達は死神か…行く先々で闘いを引き起こしている。色々な人を傷つけてしまった。帝国軍も沢山殺した。

彼らにも家族があっただろう。友が居ただろう。恋人が…大切な人が居ただろう。

俺に彼らを裁く権利は無い。殺して良いわけ無いんだ。

嫌な汗が出てきた。思考盗撮…?

「シオン。帝国軍を殺したり、様々な町を巻き込んだ事を後悔しているのね。」
「うわあああ!?人の思考を読むな!この駄聖剣!変な事ばっかりにエネルギー使っていると霊脈遮断するぞ。分かったな。」
「フフフ…悪かったわよ。ごめんなさいね。何だか貴方元気が無いみたいだったから、心配になったのよ。いつもシニカルだけど元気いっぱいだからね。」
「俺があんたを拾ったせいで皆の人生が狂ったんだと思ってな。リィナも町の人達も俺がこなければこんな目には合わなかったんだ。帝国軍もいっぱい殺した。誰一人顔も覚えちゃいない。そんな奴らでも家族や大事な人がいたはずなんだ。俺は本当に旅を続けて良いのか?」
エクスは凛とした様子で話す。
「死んでいったもの、犠牲になったものの為にもここで降りることは許されないわ。ウラグスク連邦共和国に行くんでしょう?そこでなんて事無い日常を取り戻しなさい。それが貴方に出来る事よ。」

俺は俯きながら答える。
「そっか…確かにここで投げ出せば全て無駄だった事になる。帝国軍との闘いも町の人達と飲んで騒いだ楽しい記憶も…恐ろしい教会の執行者も…そしてリィナとの出会いも…。そうだな俺は止まっちゃいられない。前に進もう。ありがとうエクス。お前も落ち着ける環境で闘いを忘れてのんびり暮らしたいよな。」

「シオン…前を向いて闘い続けなさい。それが彼らへの鎮魂歌よ。」

「ああ…。シオンさんに任せなさい。パーフェクトに敵を倒して見せる…どんなに困難で苦痛に満ちていても俺は折れない。やるぞ!克つ!打ち克つ!己の弱さに…自分という敵に!」

と…先行していたリィナが戻ってきた。
「あれ…シオン…何か辛いことでもあったんですか?泣いています?」

「大丈夫だ。何でもないよ。どうした何かあったか?」

「大きな穴とその中心に人が埋まっているんです。変でしょう?取り急ぎ伝えに来ました。」

エクスが口を開く。
「高レベルな霊圧を観測。天使クラス…神には及ばないけど強力ね。闘いの準備を…」

「待て待て…どうして天使が敵なんだ。俺達は神様に対してなにもやっていないぞ。」

エクスが呟く。
「聖道教会。」

「それです!聖道教会の人も近くにいました。エェイメェンって女の子が叫びながら巡回していましたね。」

「最悪だ。フレデリカも一緒にいるのか。最近大人しいと思っていたけど先回りして仕掛けてくるとはな。」

「覚悟を決めなさい。さっき口走っていたセリフが本当かどうか確かめさせてもらうわ。」

「了解!エクスカリバーを装備。エクスいつでも行けるぞ!」

「地面を蹴りなさい。縮地で飛び込むわよ。」

俺とリィナは地面を蹴った。一瞬で風景が切り替わる。高速の歩法…縮地の効果だ。

そこにはフレデリカの姿と地面に埋まってうずくまっている裸の少女の姿があった。銀髪で脆そうな雰囲気の少女だ。

フレデリカがこちらに気づく。
「ようやくやってきたか少年。今日は私が相手ではない。
天に召します我等が神…×✕✕の奇跡により地上に使わされた異端撲滅の権化…天使ダミンフェル様が貴様らの相手だ。愛おしき天使よ!目覚めたまえ!エェイメェン!」

そう言うとフレデリカはその場から飛び去った。
ダミンフェルと呼ばれた少女がゆっくりと立ち上がる。指をこちらに向けクンと中指を上に突き立てた。

エクスが叫ぶ。
「限定結界…アヴァロン!」
目に見えない連続の斬撃が叩き込まれる。これくらいならアヴァロンの守りは抜けな…えっ!
ダミンフェルが目の前まで一瞬で距離を詰めると右腕で薙いできた。
エクスカリバーが自動で動き弾き返す。ダミンフェルは俺の後ろに隠れていたリィナに狙いを着けると魔法を放った。

「ホーミングレイ…ヘルレイズスパーク。」
幾条もの光の束がリィナに襲いかかる。リィナは神話の楯を呼び身を守る。
「幻想顕現!アイギスの楯!」
英雄の楯が全ての光を防ぎきる。

しかしそこに更なる追撃が…ヘルレイズスパーク。乱れ落ちる雷の雨が俺とリィナに降り注いだ。
アヴァロンの守りは抜けないが…激しい攻撃に反撃の余裕が無い。
リィナは楯で防ぎきれない手足を雷で焼かれその場にたおれこんだ。

「…がはっガハッ幻想顕現…ロンギヌス…うわあああああ!リミットブレイク!グハァハァ召喚!」

フレデリカの持つ神殺しの聖槍を霊脈の限界を超えてリィナは召喚した。耐えられない激痛に襲われているはずだ。無茶だ!リィナ!

あたしはロンギヌスの槍を握る。赤い聖槍。原初の神を滅ぼした物。それを振るう。槍を構えて縮地する。ダミンフェルの前に躍り出る。連続の魔法の詠唱で一呼吸ついた瞬間…槍が闘い方を覚えている。思い切り全身を振り絞ってダミンフェルの顔面を穿った。何か硬いものを潰す感触…そしてダミンフェルは立ったまま光の泡に還っていった。

その場に崩れ落ちるリィナに駆け寄る。
「リィナ!無茶するな!死んじまったら何にもならないんだぞ。お前に死なれたら俺は俺は…どうしたら良いんだ。畜生…」
「泣かないでください。あたしはシオンに生かされて生きているんです。シオンを守って死ねるならそれで良いと思いますが…そんな寂しそうな笑顔をしないでください。大丈夫…あたしは死にません。少し横にならせて下さい。」

エクスが溜め息をつく。
「まさかフレデリカの現物を見たわけでもないのにロンギヌスを呼ぶとはね。無茶をするものだわ。でもその誰かを守りたいと言う想いは本物ね。強くなりなさい。リィナ。」

フレデリカは遠くの岩山から様子を見ていたが決着が着いたようなので、現地に戻ってきた。
シオン達はぎょっとして武器を構える。
「やる気か?少年。ハハハハ…弱ったお前らを討っても何にも愉しくはない。今日は見逃してやろう。エェイメェン。それにしても仮にも神の使徒たる天使を倒してしまうとはなぁ。つくづく恐れ知らずだ。異端者よ。常々行動は見張っているぞ。恐れおののき眠れる夜を過ごすが良い。お前達に安寧を与えるのは死という神の祝福だけだ。さらば!フハハハハ!」

フレデリカは去っていった。

「何だったんだ。あいつは弱っている俺達になら勝機もゼロじゃないだろうに。」
「結構礼儀正しいんじゃないかしら、天使も殺られたし上司への報告が大変なのかもしれないわね。」
リィナはエクスカリバーの効能で身体の傷と霊脈が癒えたらしく立ち上がった。
「フレデリカさんとは闘った事が無いんですけど相当強いんでしょうね。戦闘にならなくて良かったです。」

俺達はその後も喋りながら道を進む。そして無事サツマタウンに辿り着いたのだった。

リィナ…こっちにこい!起きろ!タイトルコール!
ふぁああ!おはようございます!次の冒険に注目です!じゃあね♪
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